原作・石田衣良×監督・廣木隆一の大人のラブストーリー「眠れぬ真珠」で、主人公・咲世子を演じた黒谷友香さん。年下の男性と恋に落ちる咲世子役を演じた感想や、芸能生活20年を迎えた思いを語ってくれました!
この世界観に入って演じられるのはすごい楽しかった
――脚本を読んだときの感想を教えてください。
すごい面白くて一気に最後まで読みました。終わるのが惜しいくらいで、もう終わっちゃうのかって感じで一気に読みました。
――石田衣良さんのほかの作品は読まれたことはありますか?
読んでいましたし、10年くらい前に対談でご本人とお会いしたことがあるんです。まさかこういうかたちで、作品を映像化するときに出させていただくことになるとはと思っていませんでした。
――主人公・咲世子を演じてみていかがでしたか?
脚本も面白かったですし、原作も面白かったので、この世界観に入って演じられるのはすごい楽しかったです。
――咲世子さんは人気版画家で、すごく自分の世界観を持った役柄でした。演じるのに難しかったところなどはありますか?
意外に難しさは感じませんでした。銅版画の先生に付いていただき、版画をつくる動きを教わり、そういう面では練習しましたけど、廣木監督の廣木組の力強さというか、そこに入って行けたので本当に面白かったですね。
――役作りで意識されたことはありますか?強いのかと思いきやちょっと弱い部分もあったりして、繊細なキャラクターですよね。
そうですね。
原作だと黒のトレンチコートの腰ひもをシュッと締めるというような表現があったりして、もうちょっとシャープな感じなんです。住んでるところも山だったりと、少し原作と違う部分もあるんですね。
だからこの世界(ドラマの世界)はこの世界で出来上がっている感じなんですけど、原作がお好きな方でも納得していただけるんじゃないかなと思っています。
確かに咲世子はいろんな面があるし、主人公なのでずっと出ていたんですが、大変というよりはこの世界でいさせてもらったっていう感じでしたね。
「あ、そうそう!」みたいに共感してくれると思うんです
――咲世子さんとご自身で似ている点や共感できるところはありましたか?
年は近いですよね。17歳離れている恋人っていう内容に、私自身は現実感はそんなにないですけど、だからこそ作品として出来上がったときに見た方が何か…例えば同じ年代の女性が見た場合に、今この年代だからこそ思っている、人に言えないような内面を咲世子がサラッと出してくれてたりすると「あ、そうそう!」みたいに共感してくれると思うんですよ。
実際に私も原作を読んでいるときに「石田さんって女性だったっけ?」と思うくらい、心の機微を描いていることにすごく衝撃を受けて。何度も「男性だよね?」と思いながら読んだんです(笑)。
だから本当に演じやすいっていうか、女心をつかんでいらっしゃるんですよね。
――廣木監督はどのような演出をされるんですか?
最初「どうぞやってください」みたいな感じで、ここに立ってどうとかっていうんではなくて、自由にやらせていただけるんですよ。その上でいろんな関係でここでこうしてみたいなものは多少はあるんですけど、基本的には自由な感じでした。
――黒谷さんの作った咲世子さんがそのままその世界で生きているという感じですね。
私が作る部分も確かにありますけど、メイクや衣装でも世界を作り上げていて、それが廣木監督の世界観を醸し出す重要なファクターなので、その中にいられたことが心地よかったです。
――印象に残っているシーンはありますか?
(井浦)新さん演じる三宅さんと「30代、40代ってこうだよね」って話すシーンですね。恋愛を越えて、人間として、男女は違いますけど、お互いに語り合って共感しあうシーンが記憶に残っています。
気が付いたら今、っていう感じ
――咲世子さんは女性があこがれる女性として描かれていますが、黒谷さんも同じようにあこがれられる存在ですよね。余談ですが、私の知人の20代女子にも黒谷さんの大ファンがいます。
本当ですか!うれしい(笑)。
そういうふうに思われる今がありがたいと思います。
19歳からこの仕事を始めたので……いや~時が流れました(笑)。
いろんな人に支えてもらいながら、いろんな作品に出てやっていけているんですよね。
――経験を重ねてきたからこそ、この役に出会えたということですよね。
10年前に石田さんにお会いしたころは、多分こういう役はできないですよね。年を重ねていくことでできることもあるし、若いときにやってきたこともある。いろんな体験をさせていただいて、これからもいろんなことがあるだろうけど、そのときにできることをやっていくというのは続けていきたいと思っています。
――今年でデビューから20年を迎えられますが、振り返っていかがですか?
ドラマの中でも咲世子が「作家生活20年の半生を振り返って」と聞かれるシーンがありますが、「う~ん、分かんない」みたいなのは共感できますね(笑)。気が付いたら今、っていう感じなんですよね。
作品を見ていくと「ああ、このときはこうだったな」と振り返ることができるので、ここまでやってこれたことがうれしい限りです。
――ずっと第一線で活躍されている黒谷さんのリフレッシュ方法は?乗馬やガーデニングをされているのは有名ですね。
仕事が立て込んできたりすると、時間も食生活もぐちゃぐちゃしがちなんですが、そういう事がひと段落して、やっぱり自然の中に出かけたり、馬に乗ったりすることで、リフレッシュ、一回クリアになって、また自分に戻れるというか新たな自分になれるというか、そういう感じですね。ガーデニングをやったり、馬に乗ったりして、植物に触ったり、動物に触ったりすることでリセットしてるんじゃないかなと思います。
――そうやってリセットしてまた新しい仕事に取り組むという繰り返しで20年間走り続けてこられたんですね。では、もし女優になっていなかったら何をしていたでしょうか?例えば咲世子さんみたいな版画家、アーティストも似合いそうです。
たしかに図画工作は好きでした。でも、彫刻刀で手を切ったことがあります(笑)。あんまり向いてないかもしれないですね。何になってたかな…。
――最後に『眠れぬ真珠』の見どころをお願いします。ちなみにdビデオがdTVに生まれ変わる記念すべき日(4月22日)から配信開始です。とにかくすごく注目が集まっている作品です。
うれしいですね。
30代、40代の女性に見ていただきたいですね。20代の子はちょっと早いかもしれないけど(笑)。でも、女の人ってこんなに楽しい部分もあるよっていうところも見ていただきたいです。
ジャケット&パンツ:マウリツィオ ペコラーロ/三喜商事
ブラウス:ピアッツア センピオーネ/三喜商事
アクセサリー:koaniani/コアニアニ
スタイリスト 関けいこ
ヘアメイク Nico
PROFILE
黒谷友香
くろたに・ともか…1975年12月11日生まれ。大阪府出身。
19歳で映画「BOXER JOE」で女優活動を開始。
以後、CM・ドラマ・映画・雑誌等幅広いジャンルで活動。
オフィシャルサイト(http://www.spacecraft.co.jp/tomoka_kurotani/)
作品情報
「眠れぬ真珠」
4月22日よりdTVで配信中
全4話・毎週水曜更新
原作:石田衣良(『眠れぬ真珠』新潮文庫刊)
監督:廣木隆一
出演:黒谷友香、中村蒼、大政絢、若葉竜也、吉岡里帆、井浦新
公式サイト(http://video.dmkt-sp.jp/ft/s0004350)