◆いっぽう、坂口さんはパイロットを志し、日本の航空会社の社員となる三島役です。
坂口:演じながら、この時代のエネルギーというものを強く感じました。戦後でいろんなものが不足している中で、日本初の飛行機を飛ばすなんてことは相当大きな夢だったはず。そうした、夢に向かって突き進むエネルギーを僕なりの解釈で、何とか三島という役に落とし込めたらいいなと思って演じていました。また、三島には兵隊だった過去があるんです。ですから、撮影中は顔つきや内面から自分を律するような空気感を出すように意識していましたね。
◆今回のドラマでは史実の要素とは別に、小鞠と三島の関係性も気になるところです。
広瀬:小鞠と三島の関係性は恋愛と呼べるのかどうか…何だか不思議な感じなんですよね(笑)。
坂口:うん、そうだね(笑)。
広瀬:台本を読むと、少し恋心が動くようなシーンはあるんです。でも、監督は「ここはラブシーン“のような”場面だから」という言い方をされていて。“のような”というそのニュアンスが結構絶妙だなと。小鞠も三島さんも、お互いにはっきりと口に出さないから、本当に2人の間には何もないのかもしれないし、もしかしたら自分の気持ちに気づいていないだけなのかもしれない。小鞠が三島さんに抱いている感情が恋なのか、純粋に人としての憧れなのか、私にもよく分からないんです。
坂口:僕もよく分からない(笑)。ある瞬間ではラブな印象も受けるけど、決定的なものはないもんね。それに小鞠も三島もお互い夢を持つ“同志”のようなところもある。だから、二人の関係性については見る側に判断してもらっていいんじゃないかと。ただ、終盤にとてもきれいな二人の関係性を表現しているシーンがあって。その場面が大好きなので、ぜひ注目してほしいですね。
◆撮影現場はどんな雰囲気でしたか?
広瀬:私、実はテレビ朝日さんのドラマに出演するのが初めてなんです。
坂口:そうなの!? 意外ですね。
広瀬:最初はドキドキしていたのですが、現場に行ったら以前お世話になったスタッフさんもたくさんいたので、違和感なく過ごすことができました(笑)。
坂口:この現場はすごく居心地がいいですよね。雰囲気が温かいというか。
広瀬:監督をはじめ、個性豊かなスタッフさんがたくさんいらっしゃって。こんなにずっと役者、スタッフが笑っている現場もあまりないと思います。
坂口:確かに。撮影したのは夏で、しかも飛行場だと日陰や待機する場所が全然ないんです。そうした逃げ場のない状況でも、みんな「暑いなぁ、暑いなぁ」って言いながら、ニコニコしていて(笑)。おかげで、軽やかな気持ちで撮影することができましたね。