ミッツ・マングローブ「細川たかしさんに『北酒場』の歌い出しを確認できてうれしかった」

特集・インタビュー
2021年03月22日

“もっと上手に歌えたら…”そう思う全ての歌謡曲ファンの気持ちに応えて生まれた音楽番組『熱唱!うた道』。MCのミッツ・マングローブさんがゲストに細川たかしさんを迎え、名曲の数々をフルコーラスで披露してもらうほか、曲にまつわるエピソードや歌う時のちょっとしたコツを教えてもらう音楽番組。収録を終えたミッツさんに、番組の見どころや、歌い継ぎたい曲などを語ってもらいました。

◆収録の感想を教えてください。

今回、ダイアナ・エクストラバガンザさんもMCとして出ていただきました。少し気持ちの逃げ場というか、ゲストの方と1対1で対峙させてもらうよりは、ちょっとお店に飲みに来られたお客さんとの会話のような雰囲気でできたのではないかなと思います。ゲストの細川たかしさんは、いろいろなことをお話ししてくださいました。細川さんのお話は面白いということは知っていたので、決まったエピソードだけではなく、そこから少し脱線するところもぜひお聞きしたいと思い、そういうお話も聞けたので良かったと思います。

◆MCをされるに当たって準備されたことはありますか?

細川さんに披露していただいた「北酒場」や「浪花節だよ人生は」は、私たちの世代だとリアルタイムで聴いているので思い出もありますし、僭越ながら自分でカバーさせていただいたりもしているので、それなりに知っていました。今回細川さんが、井沢八郎さんの「北海の満月」を歌われるということで、井沢八郎さんについて勉強したんです。「こんなすごい曲があるんだ」と発見になりましたし、「すごい歌手の方だったんだ」っていうことをあらためて知ることができたので、こうやって勉強するきっかけを頂けてとてもありがたいなと思います。

◆細川さんから“うまく歌うコツ”を教えていただいていました。

「北酒場」の歌い出しについて気になっていたことがあったんです。以前お店でお客さんが歌う時に出だしがクライマックスだと思って歌われていて、ずっこけている人が多かったんです。今回、細川さんご本人に出だしの歌い方を確認できたのが、私はうれしかったです。細川さんのヒット曲は、今の言葉で言うと“神曲”ばかりなんです。「北酒場」や「心のこり」の軽快な流行感のある曲もあれば、「矢切の渡し」みたいな深い歌もありますし、「浪花節だよ人生は」はいわゆるダンスパーティーソング。「望郷じょんから」は民謡っぽい曲ですし、いろんなタイプの人がさまざまなシチュエーションで歌える曲なんです。私は、本当の意味での大衆的なポピュラー歌手というのは、男性歌手の中では細川さんが日本一だと思っています。細川さんには、ほかにも「背筋が大切」「利き手ではないほうの手でマイクを持つ」など、まねできるコツを教えていただいたので、ぜひ番組をチェックしていただきたいです。

◆ミッツさんも歌手として活動されていますが、うまく歌うコツはありますか?

私は3人組で歌っているので、3人でのハーモニーやバランスというのは、気にしています。あとは、きれいに日本語を発音するということです。由紀さおりさんと対談した時に、最近の歌手の方は日本語の解釈や発音がおろそかになっていることが話題になりました。味になっている部分もあると思うんですけど、「きれいに言葉を発して、歌えるってことは大事よね」と由紀さんがおっしゃっていて、私もそれは感じでいたんです。こういったことは身に着けるというよりも、言語っていうものに対してどのくらい誇りを持っているかっていうことだと思います。私はそんなに言葉がきれいなほうではないんですが、常に意識として持っておきたいなと思っています。いわゆるネットの中での言葉や略語などは、時代によって成長していくものだと思うんですが、私はあまりそこに染まらないタイプですし、歳も歳なので新しい言葉をどんどん使えるほうではないですけど、昔からそこまで略すことが好きじゃなかったんです。語感が嫌で、語感に対してのこだわりみたいなのって大事だと思うんです。そういうのを気にしないで、「みんなが使っているからいいや~」みたいな感じで、女性でも「~とかじゃね?」って言っているのを見て、意識低いなと思ってしまうんです。そういうことも歌に対しての意識に影響しているのかもしれないです。

◆今回、細川さん一押しの若手歌手として、彩青さんも登場されました。

星屑のスキャットと同じレコード会社っていうこともあり、以前から注目していたんですが、本当に歌も、楽器の演奏も素晴らしいんです。2019年にはレコード大賞新人賞も受賞されていました。今の演歌界は、若手がすごく多いみたいで、切磋琢磨して、どのタイミングで頭一つ抜けるかっていうところで、皆さん闘ってらっしゃる。彩青さんのほかにも、いろんな若手の方とお会いするんですけど、本当に皆さん真っすぐで、芸能に対して真摯なんです。そこから活動していくうちに、いろんな毒だったり、気持ちの抜き方だったりっていうのを身につけていって、細川さんはそういうもののバランスが絶妙だと思うんです。ただ、そういうことは教えてもらうものではないく感じ取っていくものなので、若い方に味がどんどん出てくる今後が楽しみです。

◆先ほど、きれいな日本語のお話が出ましたが、彩青さんが18歳とは思えないぐらいしっかりとした話し方をされていました。

時代の流れと逆行しているのかもしれないけど、すごく貴重な存在だと思います。何かを究める人ってそういうジェネレーションというか、年齢とどこか乖離していて、将棋の藤井聡太さんとかもそうだと思うんです。なぜそんな日本語を知っているんだろうと感じるような。今後の日本の文化を継承していく上で大事な存在なのかもしれないです。

◆番組でもありましたが、ミッツさんが歌い継ぎたい曲は何でしょうか?

今ってなかなか時代を象徴するような国民的なヒット曲が、生まれにくいと思うんです。そういう中でも昨年だと「香水」などがありましたが、テレビでは昔の名曲を掘り下げることのほうが多い気がするんです。ただ例えば松田聖子さんの名曲を歌い継ぎたいとなると「赤いスイートピー」や「あなたに逢いたくて~Missing You~」が象徴的なものとして挙げられるんですが、実際にはそれ以外にもいっぱい名曲はあるんです。そういった名曲の知識や記憶がない制作陣が増えてきたことで蔑ろにされて、その象徴的なものだけが使われて、視聴者の方にもそれが根付いてしまっていると思うんです。なので、私はずっと聴いている80年代、90年代の音楽の中から、みんなが知っている象徴的な曲の2番手、3番手とされる曲を、何かしらの形で歌い継ぐというか、残していきたいなと思っています。ラジオで選曲する時もそうですし、テレビで「松田聖子さんや中森明菜さんの曲から1曲を選んでエピソードください」と言われたら、その2番手、3番手を選ぶことを意識しています。カバーアルバムなどで無難な印象的な曲を収録することは否定をしませんが、そうじゃない、まだまだ名曲あるんだよということを視聴者の方に知っていただけたらいいなと思います。

◆最後に、番組の見どころをお願いします。

細川さん、ダイアナさん、私っていう3ショットは、画力がすごいと思います(笑)。そこはぜひとも期待していただきたいです。そして、細川さんの奇想天外ないろんな方向に行くトークもぜひ楽しみしていただけたらと思います。また今後のテレビと音楽番組の行く末を左右するぐらい、すごくいい音でフルコーラスを収録していただいているので、そこを楽しみにぜひ聴いていただけたらと思います。

PROFILE

●みっつ・まんぐろーぶ…1975410日生まれ。神奈川県出身。ギャランティーク和恵、メイリー・ムーと共に、星屑スキャットとして音楽活動をしている。

星屑スキャット オフィシャルサイト (hoshikuzu-scat.com) 

作品紹介

『熱唱!うた道』
BSスカパー!(無料放送)
2021322日(月)後600

MC:ミッツ・マングローブ
アシスタント:ダイアナ・エクストラバガンザ
ゲスト:細川たかし、彩青
コーナーゲスト:テツandトモ

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