◆今回のドラマでは、松谷さんが「だまされるよりだましてやろう」と考える舞台俳優・ユウキという役を演じるいっぽう、松崎さんはユウキの友人や後輩、さらには詐欺のターゲットになる主婦など、一人6役を演じられました。
松崎:僕と息子は、50歳近くも離れているんだけど、まさか息子に(せりふとして)「おまえさぁ」なんて言われる日が来るとは(笑)。
松谷:最初に台本を読んだ時、こんなふうに言われたら、父はどう思うんだろうと、ちょっと心配になりました。母親に、「“おまえ”ってせりふがあるんだけど」と相談したり(笑)。逆に、「どうせならキツく言ってやろう」なんて考えたりして(笑)。
松崎:ははは(笑)。でも、いざ本番が始まってみると、言い難いせりふも、スッと言えてたよな。
松谷:実際にやってみると、あまり気にならなかったです(笑)。何の躊躇もなく…と言ったら変ですが、自然とせりふが口から出たという感じでした。
◆啓発的な側面もありつつ、コミカルな要素も盛り込まれたドラマ。番組としての面白さは、どんなところに?
松谷:いろいろなキャラクターを演じ分ける父の六変化でしょうか(笑)。オタクのキャラを演じる時はロン毛のかつらにバンダナを巻いたり、いかにもっていう衣装を着て。当然ながら、家ではそんな姿、見たことがないですから面白かったです。
松崎:扮装としては、ちょっとやり過ぎちゃったかなという思いがなきにしもあらず(笑)。主題はあくまで“詐欺の撲滅”ですから、余計なギャグはいらないし、(相手役として)せがれに妙な感覚を与えちゃうのも違うと思うし。でも、僕自身、それくらいやらないと役を表現し切れないというジレンマがあって。
松谷:とは言え、そのへんのやりにくさはなかったよ。僕自身、緊張やプレッシャーでいっぱいいっぱいだったから、“妙な感覚”を覚えている余裕もなかったし。逆に、振り切ってやってくれた分、ちょっと和んだかも(笑)。
松崎:肩の力を抜いて楽しめるドラマであることは確かだよな。
松谷:ユウキというキャラクターは、人をだまそうと思って、逆にだまされてしまうんですけど、そういう安直なダメっぷりも楽しんでもらえたらと思います。