詐欺に遭わないための心構えやノウハウが満載された異色のドラマ『あなたもきっと騙される』(BS-TBSほか)で、親子初共演を果たす松崎しげるさんと松谷優輝さん。詐欺に遭った経験から、だまされるよりだます側になろうと行動を始める主人公・ユウキを演じる松谷さんと、悪徳舞台プロデューサーからユウキの後輩、さらにはユウキを惑わす天使と悪魔など、6役に扮する松崎さん。実験的ともいえる異色作に挑んだお2人に、親子共演の経緯や感想、この番組ならではの楽しみ方を語ってもらいました!
◆記念すべき初の親子共演! オファーを受けられた時はどんな思いがありましたか?
松谷:最初は本当に驚きました。ドラマに主演させていただけるうれしさはもちろんあったのですが、親子で共演するのは未経験のことでしたし、こんなに早く一緒に仕事をすることになるなんて思ってもみませんでしたから、喜びよりも驚きが勝った…というのが率直な感想です。
松崎:僕は、嫌でしたね。最初に頭に浮かんだのは、「一緒にやるのは、まだ早いんじゃないか」ということ。“松谷優輝”という役者が皆さんに認められて、独り立ちした後、「たまにはおやじと一緒に」ということならいいんだけど、せがれは役者としてまだ産毛が生えたくらいの存在ですから。
◆実際にクランクインしてからは、どうだったのでしょう。
松崎:いざふたを開けてみたら、今度は僕が驚かされました。(松谷さんにチラリと目をやって)彼は、自身の長せりふはもちろん、僕のせりふやナレーションまで完璧に頭に入れていて。撮影期間中、現場で台本を手にしている姿を一度も見なかった。僕は随分長くこの業界にいるけど、そういう新人にほとんど出会ったことがないし、何と言っても僕のせがれですから、そんなはずないだろうと(笑)。
松谷:ははは(笑)。でも、僕としては初主演という不安が大きかったし、父と一緒にやるという変なプレッシャーもありましたから、とにかくできる準備は全てしておきたいと思って。まじめに頑張ったというより、自分の不安を少しでも和らげるために全部覚えてから現場に臨んだ、というのが正直なところです。
松崎:ただ、せりふを全部入れてあったからといって、演技がうまくいくとは限らない。それでも、息子がそういう姿勢で仕事に臨むというのは、父親として新たな発見だったし、こういう子なら、皆さんに認めていただけるような役者になれるんじゃないかという期待感は持てました。
◆今回のドラマでは、松谷さんが「だまされるよりだましてやろう」と考える舞台俳優・ユウキという役を演じるいっぽう、松崎さんはユウキの友人や後輩、さらには詐欺のターゲットになる主婦など、一人6役を演じられました。
松崎:僕と息子は、50歳近くも離れているんだけど、まさか息子に(せりふとして)「おまえさぁ」なんて言われる日が来るとは(笑)。
松谷:最初に台本を読んだ時、こんなふうに言われたら、父はどう思うんだろうと、ちょっと心配になりました。母親に、「“おまえ”ってせりふがあるんだけど」と相談したり(笑)。逆に、「どうせならキツく言ってやろう」なんて考えたりして(笑)。
松崎:ははは(笑)。でも、いざ本番が始まってみると、言い難いせりふも、スッと言えてたよな。
松谷:実際にやってみると、あまり気にならなかったです(笑)。何の躊躇もなく…と言ったら変ですが、自然とせりふが口から出たという感じでした。
◆啓発的な側面もありつつ、コミカルな要素も盛り込まれたドラマ。番組としての面白さは、どんなところに?
松谷:いろいろなキャラクターを演じ分ける父の六変化でしょうか(笑)。オタクのキャラを演じる時はロン毛のかつらにバンダナを巻いたり、いかにもっていう衣装を着て。当然ながら、家ではそんな姿、見たことがないですから面白かったです。
松崎:扮装としては、ちょっとやり過ぎちゃったかなという思いがなきにしもあらず(笑)。主題はあくまで“詐欺の撲滅”ですから、余計なギャグはいらないし、(相手役として)せがれに妙な感覚を与えちゃうのも違うと思うし。でも、僕自身、それくらいやらないと役を表現し切れないというジレンマがあって。
松谷:とは言え、そのへんのやりにくさはなかったよ。僕自身、緊張やプレッシャーでいっぱいいっぱいだったから、“妙な感覚”を覚えている余裕もなかったし。逆に、振り切ってやってくれた分、ちょっと和んだかも(笑)。
松崎:肩の力を抜いて楽しめるドラマであることは確かだよな。
松谷:ユウキというキャラクターは、人をだまそうと思って、逆にだまされてしまうんですけど、そういう安直なダメっぷりも楽しんでもらえたらと思います。
◆今回のドラマで共演を果たすまで、親子であることを公表していなかったお2人。その間、松谷さんは、舞台「転校生」や、映画「ブレイブ-群青戦記-」に出演し、キャリアを積まれてきたわけですが、そもそもこの道を志すきっかけは、どんなところに?
松谷:西田敏行さんとお話しさせていただいた経験が、1つのきっかけになりました。
松崎:西田さんは、せがれが生まれる前から、大親友で飲み仲間なんだけど、ある時、僕が仕事で約束していた飲み会に参加できなくなって、代役としてせがれを行かせたんです。
松谷:僕が大学2年のころだったと思います。西田さんのことは、小さいころから知っていたのですが、その時は、あまり“すごい人”という意識がなくて。僕にとっては、“西田のおっちゃん”くらいの感じでした(笑)。
松崎:高校までは朝から晩まで野球漬けで、それしかやってなかったから芸能界自体に興味がなかったんだよな。
松谷:大学に入ってからは野球を卒業して、新たな目標が見つけられずにいた時にそういう機会があって、初めて父抜きで西田さんとお話をさせていただいて。いろいろとお聞きする中で、役者の世界に興味を持つようになったんです。
松谷:どんな役でも幅広く演じられる役者になるのが目標です。例えば、同じ“悪人”を演じるにしても、いろいろなタイプの悪人がいる。その人物像の違いを演じ分けられるような役者になりたいと思っています。
松崎:そういう意味では今回、詐欺に手を染める“悪人”を演じたわけだけど、どこかせがれ自身が持っている善人の部分というか、悪に染まり切れていない素の部分が垣間見えていた。今回のドラマに関しては、それが逆に救いになっているんだけど、今後は、絶対的な悪も演じられるようにならないと。
松谷:大きな課題ですね。西田さんという素晴らしいお手本が身近にいてくださるので、吸収できるものは全部、吸収していきたいと思います!
松崎:先輩に限らず、若い者同士、いろいろと話をして切磋琢磨するのは絶対に必要なこと。
松谷:はい! これまでは、あまり能動的に動くことがなかったけど、これからは、共演者の方々と積極的にコミュニケーションを取るようにしたいと思います。
松崎:若い役者たちが、悩みを打ち明けあったり、腹を割って話したりするのは、すごくいいこと。僕自身、二十歳やそこらの時は、そんなことばかりしていたから(笑)。
松谷:僕は、父とは全くタイプが違うんですけど(笑)、アドバイスに耳を傾けながら、自分の道を進んで行けたらと思います!
PROFILE
松谷優輝●まつや・ゆうき…1998年11月1日生まれ。東京都出身。A型。出演映画「ブレイブ‐群青戦記‐」が公開中。
松崎しげる●まつざき・しげる…1949年11月19日生まれ。東京都出身。出演コンサート「~筒美京平 オフィシャル・トリビュート・プロジェクト~ ザ・ヒット・ソング・メーカー 筒美京平の世界 in コンサート」が2021年4月17日(土)、18日(日)開催。
番組紹介
『あなたもきっと騙される』
2021年3月28日(日)
BS-TBS 前10・00~10・30
BS11 後6・00~6・30
<STAFF&CAST>
監督:吉田浩太 脚本:太田善也
出演者:松谷優輝、松崎しげる
ナビゲーター:生島ヒロシ
●photo/金井尭子 text/海老原誠二
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2021年4月11日(日)23:59