胸キュンの純愛と、ドロドロの修羅場が入り乱れるクレイジーな恋愛ドラマを手掛けてきた鈴木おさむが、この春、新たに仕掛けるのは“愛ある殴り合い”!? 山崎育三郎さん、瀧本美織さん、市原隼人さんが共演する2週連続ドラマ『殴り愛、炎』が、2021年4月2日と9日(金)に2週連続で登場(テレビ朝日系 後11・15ほか ※一部地域を除く)。人格者だった心臓外科医の光男(山崎)が婚約者の看護師・秀実(瀧本)の心移りを察知して豹変し、恋敵の陶芸家・信彦(市原隼人)と激しく争う愛憎劇だ。新たな“ドロキュン劇場”に真正面から挑んだ3人に、作品への思いを聞きました。
◆鈴木おさむさんの台本をお読みになって、どんな感想を持ちましたか?
山崎:タイトルが『奪い愛』シリーズを彷彿とさせる『殴り愛、炎』。どんな内容になっているんだろうと、わくわくしながら台本を読み始めました。いろいろなエンタメがぎゅーっと詰まった作品で、本当に面白かったです。僕が衝撃を受けたのは、叫び声などのせりふに付随する“ー(音引き)”の多さ。これは、「挑んで演じてくれ」という鈴木さんからのメッセージなのかなと(笑)。どこまで振り切ってやるか、台本を読んでますます楽しみな気持ちになりました。
瀧本:タイトルでも表現されているように、アクションの中にも愛憎が込められているんです。台本にはその辺の内面的な感情があえてざっくり書かれていたので、山崎さんがおっしゃったように、細かい部分は私たち演者に委ねてくださっているんだろうなと。感情の起伏が激しい作品だからこそ、演じる側もジェットコースターに乗っているような気分で楽しめればいいのかなと思いました。
市原:まず、タイトルの付け方が素晴らしいなと思いました。愛情、憎しみ、情熱など、いろいろなものが込められている。そんなタイトルにひかれていざふたを開けてみたら、「待ってました!」と思えるような、とんでもない世界が待ち受けていて(笑)。視聴者の方もジェットコースターに乗っているかのような気分が味わっていただけると思います。ストーリーも含めて、振り幅がとてつもなく大きな作品なので、皆さんにはツッコミを入れながらお楽しみいただきたいです(笑)。
◆独特の雰囲気を持つ作品だけに、どこまで突き抜けて演じるか、あるいは抑えるか、見せ方の選択が難しかったのではないかと思います。撮影中、どんなことを意識されたのでしょうか?
山崎:確かに、バランスはすごく難しいなと感じていました。ずっとやりすぎの演技をしていると、肝心のストーリーを追えなくなってしまいますから。役としてしっかり演じるところと振り切るところ、そのメリハリみたいなものは特に意識して演じました。瀧本さんや市原さんをはじめ出演者の皆さんも絶妙なバランスで挑んでいたので、ただ単にぶっ飛んだ作品ということではなく、ドラマとしての面白さも表現できていると思います。
瀧本:私が演じた秀実というキャラクターは、この物語の登場人物の中では一番まともというか(笑)。多分、普通の人に見えると思うんです。ただ、本当に好きな人に気づいてからは平気でうそをつける冷酷さみたいなものが浮かび上がってくる。その人間性の変化を大切に演じました。山崎さんと市原さんの演技に引っ張っていただいたところもあって。お2人に素直についていくことで、引き出された部分も多かったと思います。
市原:僕が演じた信彦は、愚直なまでに真っすぐな人物。育三郎君演じる光男は恋敵になるわけですが、光男のこと自体を憎んだり恨んだりしているわけではない。そういうばか正直なところが信彦の魅力であり、人物像としての面白さだと思うので、特に気持ちを込めて演じました。そうやって演技として真剣勝負を仕掛けている分、逆にそれが滑稽に見えて、笑えるシーンにもなっていると思います。
◆本作が初共演となる山崎さんと市原さんは、お互いに役者としてどんな印象を持ちましたか?
山崎:今回の作品には、実際に殴り合うシーンがあるのですが、その撮影をする中で市原隼人という俳優のファンになりました。真っすぐで、飾らなくて、自分に正直。そういう人間味が役ともリンクしていて、本当に魅力的です。
市原:ありがとうございます! 僕は、以前から育三郎君のファンなので、今回共演させていただけてすごくうれしかったです。育三郎君は直接多くの観客と向き合う“舞台”という場所に多く立ち、最初から最後まで全てを演じ切ることに日々取り組んでこられた方。今回の撮影でも1つひとつのお芝居を、前後のシーンにつなげていくさまが素晴らしくて。クリエイティブな作業を楽しまれているのが印象的でした。
瀧本:私はB’zさんです! 父の影響で昔からずっと聞いていて。中でも「Pleasure~人生の快楽~」という曲が大好き。メーク中とかに聞くと、気持ちを上げて仕事に臨めます。
市原:僕は一つに絞るのが難しいですが、料理は特に好きですね。食材を築地に仕入れにいくところから始めます。
山崎:えっ!? わざわざ築地まで?
瀧本:すごーい!
市原:魚介類を実際に見て、「これがいい!」と選ぶのも好きで。
山崎:へぇ~!! こだわるなぁ。
市原:人を招いて振る舞うのが好きなんです。ただ、こういう時期なので、最近はできていないのですが。人に喜んでもらうのが好きなんです。
山崎:すごくすてきだ(笑)。
市原:あとはカメラですね。目の前の空間を切り取って共有できるのが楽しいです。
山崎:今回の撮影の合間にも、撮ってくれましたよね。どれもすっごくいい写真で。イッチー(市原)には、その人の自然体の魅力を切り取る才能があると思います。
市原:一番の特等席で芝居が見られるのは役者の特権。その瞬間を撮りたいって思ってしまうんです。育三郎君と美織は被写体として最高だったので、いつも以上にたくさん撮らせていただきました(笑)。
山崎:自分は音楽かな。高校のころから使っているヤマハのアップライトピアノが好きで、部屋で弾き語りをしていると気づいたら何時間もたってしまっていて(笑)。ネットで楽譜を調べながら、気になる曲を片っ端から歌うんです。特に好きなのが、玉置浩二さん。
市原:あ~、いいですよね!
山崎:呼吸の使い方、体の使い方がとにかくすごい方で、日本で一番素晴らしいアーティストだと尊敬しているんです。普通、小さい音で歌う時は、軽く声を出してしまいがちなのですが、玉置さんは小さい音でも大きな音でも、そこに同じエネルギー、同じ圧を込める。だからこそ、聴く者を引き込むエネルギーがとてつもない。すごく憧れます。
PROFILE
山崎育三郎
●やまざき・いくさぶろう…1986年1月18日生まれ。東京都出身。A型。近作にドラマ『私たちはどうかしている』、連続テレビ小説『エール』など。ミュージカル「モーツァルト!」が2021年4月8日(木)から上演。
瀧本美織
●たきもと・みおり…1991年10月16日生まれ。鳥取県出身。O型。近作にドラマ『知ってるワイフ』『運命から始まる恋-You are my Destiny-』『刑事ゼロ』シリーズなど。映画「HOKUSAI」が2021年5月28日(金)公開。
市原隼人
●いちはら・はやと…1987年2月6日生まれ。神奈川県出身。A型。近作に映画「劇場版 おいしい給食」など。映画「太陽は動かない」「ヤクザと家族 The Family」が公開中。また、写真家・映像監督としても活躍中。
番組情報
2021年4月2日、9日(金)テレビ朝日系 後11・15~深0・15ほか ※一部地域を除く
<STAFF&CAST>
脚本:鈴木おさむ
演出:樹下直美
出演:山崎育三郎、瀧本美織、市原隼人、酒井若菜、永井大、石野真子、西岡德馬ほか
<前編(4月2日放送)あらすじ>
この手は人の命を救うためにある―そう心から信じ、一生人は殴らない…と心に誓っていたすご腕心臓外科医・明田光男(山崎)。彼は同じ病院に勤める看護師・豊田秀実(瀧本)との結婚式を1か月後に控え、幸せの絶頂にいた。そんなある日、光男は心臓発作を起こした急患・緒川信彦(市原)の手術を担当。生死の境をさまよう信彦の命を、鮮やかなオペで救う。ところが…。
信彦に、担当看護師として秀実を紹介した瞬間、運命の歯車はあらぬ方向へと目まぐるしく回りだす。なんと、信彦は秀実の高校時代の先輩だったのだ! 秀実が光男と結婚すると聞き、心から祝福する信彦。だが、そのまま何事も起こらないほど、人生は甘くなかった…。光男に思いを寄せる幼なじみ・徳重家子(酒井)が、その会話を盗み聞き! さらには味方の顔をして秀実にすり寄り、信彦に告白するもフラれた過去を聞き出すことに成功してしまったのだ!!
この状況を利用し、一気に光男を奪おうと画策した家子は、こっそり信彦に「秀実が光男のDVに悩んでいる」というデマを流したばかりか、たき付けるように「秀実はまだ信彦のことが好きだ」と吹聴。いっぽう、光男はふと、秀実が信彦のことを好きだったのではないかと勘ぐり始め…!
そんな中、退院の日を迎えた信彦は、病室で2人きりになった秀実を思わず抱き締めてしまう。しかもあろうことか、そこへ光男が姿を現し…!?
●photo/中村 功 text/海老原誠二 衣装協力/Bagutta、BERWICH(市原)
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