「食」を支える農業という職業の魅力を軸に描かれる「種まく旅人」シリーズの4作目映画「種まく旅人〜華蓮のかがやき〜」に出演する女優の大久保麻梨子さん。台湾に在住する彼女が、本作の撮影で感じた「日本」の魅力とは。作品の見どころに加えて、移住を決断した理由、台湾の現状などについても聞きました。
大久保麻梨子インタビュー
◆台湾在住の大久保さん。今回の映画は新型コロナウイルス感染症の感染拡大前に日本で撮影されたとのことですが、いつもはどれくらいの頻度で来ていましたか?
新型コロナウイルス感染症の感染が拡大する前は、毎月日本に戻っていました。いま住んでいる場所から台北の空港までがわりと近く、ドアtoドア3時間半くらいで東京に行けるんですよ。デビューした頃は兵庫に住んでいて、仕事の度に東京へ行っていたのですが、それと同じような感覚です。
◆私は兵庫県の北部に実家があるのですが、東京までは4〜5時間くらいかかります。それと比べたら、台北から東京のほうが移動時間は短いんですね(笑)。
確かに! もう1年近くは日本に帰ることができていませんが、以前は国内を移動するのと変わらない感覚で往来していました。
◆そもそも、台湾に移住しようと思ったきっかけは?
子供の頃から、役者への憧れと併せて、外国語を話す仕事をするという夢も持っていたんです。18歳の頃から芸能のお仕事をやってきたのですが、ふと時間が空いたときに「外国語を話す仕事って今からでもできるのかな」と思いまして。そうしたら、それまで勉強していた英語やスペイン語に加えて、中国語も学んでみたくなったんです。その後、興味が湧いて26歳で台湾へ一人旅。そのときに、「ここに住みたい!」って思ったんです。帰りの飛行機の中で、もう移住することを決意していました。
◆直感が働いたんですね。それまでも海外に行ったことはありましたか?
グラビアの撮影でサイパンやハワイなどに行くことはありましたが、お仕事以外ではほとんどありませんでした。一人旅をしたのは台湾が初めてだったんです。当時は旅行で使える中国語くらいは覚えていたつもりだったのですが、実際はあんまり通じなくて……。それでも、台湾の方々が諦めずに、私が何を話そうとしているか聞いてくれたんです。なかには日本語が分かる方をわざわざ連れてきてくれる人もいて。そういう人柄にもひかれて、気が付けば「住みたい!」「もっとこの国のことを知りたい」と思うようになっていました。