映画「バイプレイヤーズ」公開!田口トモロヲ&松重豊&光石研&遠藤憲一「この映画は大杉漣さんが大事に育ててきた土壌を、多くの人たちが支え、完成させたものだと感じています」

特集・インタビュー
2021年04月09日

映画「バイプレイヤーズ~もしも100人の名脇役が映画を作ったら~」がついに公開! 本作は3月に放送を終えたドラマシーズン3から続くストーリーということもあり、まさにファン待望の内容となっている。そこでTV LIFE webでは公開に合わせた連続インタビューをお届け。第3弾を飾ってくれるのは元祖バイプレイヤーズの4人だ!

◆『バイプレイヤーズ』の映画化は大杉漣さんたっての願いだったと伺いました。実際にこうして映画が完成した今のお気持ちをお聞かせください。

田口:正直にいうと、我々としては漣さんを抜きにした『バイプレイヤーズ』は考えられなかったので、映画化に関しては少し消極的でした。我々にとっての『バイプレイヤーズ』は終了したと思っていましたから。でも、ドラマのシーズン1からずっと携わってくれていたプロデューサーや監督、スタッフさんたちが時間をかけて説得してくださったと言いますか…。いろんなアイデアを出してくれて、次世代のバイプレイヤーズたちにバトンを渡すような役割を我々に与えてくださったんですね。そこまでしていただけるのであれば、もう断る理由がないと思いまして。結果的に、漣さんが抱いていたものとは少し形が変わったかもしれませんが、こうして映画にできたのは喜ばしいことだと思っています。

松重:もともとの話をすると、この『バイプレイヤーズ』はかつて下北沢にあった小さな映画館(シネマ下北沢)で、僕たちの出演作品を集めた『6人の男たちフィルムズ』(2002年)という特集上映をしてくださったことが今につながっているんです。その中心にいたのが大杉漣さんでした。その後、大杉さんがこのシリーズを大事に育ててくださり、それがやがて映画にまでなった。その意味では、こんなにうれしいことはないです。ただ、撮影中も、作品がここまで規模が大きくなったことがにわかには信じられなかったですし、こうして映画が完成し、皆さんに見ていただく段階になっても、まだ不思議な感覚で。あらためて振り返ってみても、この映画はまさしく大杉さんが作ってきた土壌を、いろんな人たちが支えて完成したものだと言えますし、我々としても、その一部として参加させてもらったという思いでいっぱいです。

光石:それに、『バイプレイヤーズ』は大杉さんあってこそのものなので、出来上がったものを見ると、やはりいろんなところに大杉さんの存在を感じますよね。とはいえ、僕もいまだに映画にまでなったというのが信じられなくて。今日だってこんな豪華な場所でインタビューを受けて、完成披露会まであって。ずっと疑心暗鬼で、ここに来る時も車を降りた瞬間から、“誰かが俺をだまそうとしているんじゃないか?”と思ってたくらいでした(笑)。

遠藤:映画化に関しては、多分僕が一番、“大杉さんなしでは無理だ”って思っていた気がしますね。参加したくないとも思ってましたから。でもね、4人での場面を撮影したら、“あ、いける!”と思ったんです。自画自賛するわけではありませんが、これほど肩の力を抜いた役者4人が好き放題やっている作品って、できそうでできるものじゃないなと思えて。この『バイプレイヤーズ』は大杉さんや寺島(進)さんたちと6人でスタートしたものでした。でも、そうやってみんなで培ってきたものがしっかりと表れているようで、そのことにすごく感動をしたのを覚えています。

◆今、撮影中のお話がありましたが、実際の現場はいかがでしたか?

田口:僕も最初は、リーダーの大杉さんが不在である以上、これまでのようにはできないと思っていました。それぐらい大きな存在でしたし。けど、やっぱり“元祖”のメンバーで集まると楽しいんですよね。ついはしゃいじゃう。ドラマのシーズン1・2で積み上げてきた安心感やムードが、どれだけ時間がたっても我々がそろった瞬間に再生されるんだとも感じて、それがすごく心地よかったですね。

遠藤:僕も、なんだかみんなでばか騒ぎをしているうちに撮影が終わっちゃったという感じでした(笑)。特に僕は一人だけフィリピンのシーンが多かったので、もうちょっと4人の場面を増やしてもらえばよかったなぁ、なんて思ったりもして。

松重:この『バイプレイヤーズ』の面白さは、やはり実名で演じているというところなんですよね。自分自身であり、役を演じている部分もある。見てくださる方に対しても、「今のは素なの? それとも演技なの?」と感じさせるような、そうしたギリギリの虚実を楽しく見せていくことが究極の目的でもあるので、その意味で言えば、僕らも演じるという感じではなく、普段の関係性のままカメラの前にいられる面白さがありますね。また、そうした中で、外に出していい素の部分と、“これは放送できないぞ”というところを、僕たちなりに使い分けたりもしていますし。

田口:僕の下ネタとかね。

松重:そうそう。監督からカットがかかる直前にトモロヲさんは必ず下ネタを言うんですよ。でも、そこは確実に放送されないなっていうのが分かってますからね(笑)。

光石:また、今回の映画に限ったことではありませんが、この作品を全員が50歳を超えて集まってやれたこともよかったんじゃないかと思うんです。もっと若いころにやろうとしていたら、きっといろんなことがあったでしょうから。この年齢だから、お互いを邪魔せず、節度を持って品よく芝居ができているんじゃないかなって、僕は勝手に思ってます。

松重:……品、いいですかね?(笑) トモロヲさんの下ネタも?

田口:まぁ、僕のは品位のある下ネタですから(笑)。

松重:全然(放送で)使えませんけどね(笑)。

田口:使えないけど、礼節を持った下ネタなんです!

◆(笑)。また、今回の映画とドラマのシーズン3はタイトルにもあるように100人以上もの役者が登場する大群像劇になっています。共演者とのお芝居で印象に残っていることはありますか?

田口:どうだったかなぁ。実は、あまり多くの方と現場でお会いしてないんですよね。ブルーバック撮影の時はおじさんばっかりでしたし。なので、現場はおじさんの同窓会みたいな感じで、ずっと昔話をしてたことぐらいしか覚えてないんです。あとは健康の話とか(笑)。

松重:そもそも、みんな芝居をしているという感じではなかったですからね。先ほども言いましたが、自分の名前を背負っているので、演じているのが分かると逆に浮いちゃうし、自分でも恥ずかしくなっちゃうんです。それにトモロヲさんがおっしゃったように、現場では本番直前までずーっとみんなで病気とか親の介護の話をしていて、本番もその空気のまま、「じゃあ、ここに立って銃を撃ってください」「分かりました」で銃を撃って、「はい、OKです」みたいな感じなんです(笑)。それが成立するところが、この作品のみそでもあるので、共演者の芝居については本当に記憶がなくて。みんな元気そうでよかったなと思ったくらいでした(笑)。

光石:本当にそうでしたよね。ただ、僕が驚いたのは、若い共演者の皆さん方。お芝居の素晴らしさはもちろんですが、度胸がすごいなと思って。例えば、僕が濱田岳君くらいの年齢のころに60歳前後のおじさんの中に入った時は、もうガチガチでしたから。でも、岳君も(柄本)時生君も、すっと輪の中に入ってきて、楽しそうに芝居をして帰っていく。本当にすごいなと思いましたよ。そうした若い方たちの存在感といいますか、演技もぜひ見ていただきたいですね。

遠藤:僕だけちょっと質問の答えが異質になっちゃうんですが、いいですか? 僕はフィリピンのシーンが多くて、モニカ役のメラニーさんとよく一緒にお芝居をしていたんですけど、彼女とは僕が初めて三池崇史監督の映画(「天国から来た男たち」/2001年)に出た時にフィリピンで共演しているんです。

田口・松重・光石:えーっ!?

遠藤:その後、彼女は東京に来て女優を続けていて、偶然今回のオーディションを受けて選ばれたそうで。再会した時はびっくりしました。すっかりベテランの域に達していて、演技に対してものすごく細かい女優さんになってましたし。今回の映画の中で彼女に抱き着くシーンがあるんですが、本番の時、「遠藤、ちょっと早い」って怒られましたからね。「もうちょっとゆっくり来てくれたら、私、涙流すから」って(笑)。だから僕はもう言われたとおりに演じるだけでした(笑)。

◆それはすごい体験ですね。また、この『バイプレイヤーズ』は放送開始直後から女性からの人気も高く、話題となっていました。そうした思いがけない評判に関してはどのように感じていらっしゃいましたか?

遠藤:確か、シーズン1の時から “かわいい”と言われ始めたんですよね。だからか、2のころはすごく衣装にこだわるようになりましたよね(笑)。

光石:そうだっけ?

遠藤:おしゃれになっていきました、みんな。

松重:でも、あれは基本的に用意していただいた衣装ですからね。3では私服もありましたけど。

光石:僕は、かわいいとかそういう反響を感じたことはなかったかなぁ。撮影が地方だったから、あまり漏れ聞こえてこなかったというのもあったかもしれませんが。

松重:…いや、思い出したんですが、シーズン2の時にタイトルバックの撮影を千葉の海でしていて、地元の方たちがキャーキャー言ってたことがありましたよね。僕らはカッコつけて海から上がってきて、しかも5人だったから、「僕ら、嵐と間違われてるんじゃないの?」って話をしていて。そしたら光石さんが、「それなら僕はニノ(二宮和也)かな」って言ったんです(笑)。

全員:(爆笑)

松重:その時、“あ、意識するってこういうことなんだ!”と思いました(笑)。

光石:いや、あれは冗談で言っただけじゃないですか!(笑)

松重:もうね、周りからかわいいと思われたことで、自分の中ではニノになっているんですよ(笑)。

遠藤:それで言えば、今回の映画には有村架純ちゃんが出てくれていて。僕らからすれば、もう父親と娘みたいな感じなんですが、光石さんに「架純ちゃんって、かわいいよね」って言ったら、「うん、まぁタイプかなぁ」って(笑)。気分はアイドルなんですよ、光石さんは(笑)。

光石:冗談だってば(笑)。

松重:“かわいい担当”を意識されているのは見受けられますよね。

光石:意識なんてしてないですって!(笑)

田口:(笑)。僕は、女性からの人気が高いといった噂があったことすら知りませんでした。なので、光石さんの耳にはそんなにも多くの声が入っていたんだなと、今すごく驚いてます(笑)。あ、ただ、一度だけ街で女性に声をかけられたことがありまして。「『バイブレーターズ』、見てます!」って言われたんです。

遠藤:いや、絶対にそれは話を作ってるでしょ(笑)。

田口:本当ですって。あの時はちゃんと訂正してあげるべきか悩みました。…“下ネタ担当”らしく、下ネタで落としてみました(笑)。

◆(笑)。では、お互いのことに関して、“今だから言えること”や“言っておきたいこと”などはありますか?

松重:僕は特にないかなぁ。頭で考えるよりも先に思ってることを口に出しちゃうので、腹に溜めるということがないんです。普段、言い争うようなこともないですし。これまででもめたのって、光石さんにニノを取られたから、“じゃあ誰が松潤(松本潤)だ!?”ってことぐらい?(笑)

遠藤:してないよ、そんな言い争い(笑)。あ、でもまっちゃん(松重)に怒られたことはある。前に、4人で待ち合わせをしたことがあって。前日にまっちゃんから「ここで待ち合わせをします」って言われたのに、僕とトモロヲさんは別の場所に行っちゃって。

光石:僕と松重さんは2人で待っていたんです。なのに、残りの2人が全然来なくて。松重さんは「おかしいなぁ」なんて言いながら、ちょっとイライラし始めてね。いつもそうした待ち合わせの段取りをするのは松重さんなので、「ちょっと待っていてください」って探しに行ったら、すぐに帰ってきて、「いた! いました!!」って。

遠藤:近くにいたんだけど、微妙に場所が違ったんですよ。そしたら、その後の車の中で、「下で待ち合わせるって言いましたよね!」「散々、確認しましたよね!!」ってものすごく怒られて(笑)。

光石:あの時は本当に怒ってたなぁ。

松重:ちょっと待ってくださいよ。あのね、そういう暴露をしていいのなら、俺、本書けますよ(笑)。みんなのだらしなさとか、聞いてなさ加減とか。

遠藤:まぁ、僕らは怒られながらもヘラヘラしてましたけどね。

田口:しょうがないよ。だって俺たちもう耳が遠いんだもん(笑)。

◆最後に、改めてこのシリーズがここまで人気が出た理由はどこにあると感じていますか?

光石:そうですね…僕らはただ作品の中にいるので、どこに皆さんがこの作品に魅力を感じてくださっているのか、よく分かっていないんですよ。ここまで続く作品になるとは予想もしていなかったですし。ですから、最初にもお話ししたように、僕はいまだに狐につままれたような感じがしていますね。

遠藤:僕は新鮮さもあったのかなと思っています。実は、この4人が一つの作品で共演しているのって、すごく珍しいことなんです。普段であれば、同じ作品に一緒に出たとしても、せいぜい2人の組み合わせくらいですから。そういった、あまり同時に出ることのない役者たちが共演して、お祭り騒ぎをしている。そこも魅力なのかもしれませんね。

松重:しかも今回の映画に関していえば、ものすごい数の役者さんが登場していますからね。脇役、主役に関わらずたくさんの役者が実名で出演して物語を展開していくというのは、いろんな国でやっても面白いんじゃないかと思いますので、今後そうした広がりが出来ていったらいいですよね。

田口:僕個人としては、ここまで多くの方に支持されたのは、やはり大杉さんが作ってくれたレールがあったからだと感じています。そのレールに乗って、突き進んできた結果、こうして映画というとても大きくて遠い場所まで連れてきてもえたのではないかなと。それに、1作目から一緒に作ってきたプロデューサーやスタッフの皆さんの中に、漣さんを思う気持ちがずっと続いていたことも非常に大きくて。この映画はそうした思いの結晶ですし、我々にとっても最後に訪れた思いがけないプレゼントなのかなという気がしています。

PROFILE

田口トモロヲ
●たぐち・ともろを…19571130日生まれ。東京都出身。O型。

松重豊
●まつしげ・ゆたか…1963119日生まれ。福岡県出身。AB型。

光石研
●みついし・けん…1961926日生まれ。福岡県出身。A型。

遠藤憲一
●えんどう・けんいち…1961628日生まれ。東京都出身。O型。

作品紹介

映画「バイプレイヤーズ~もしも100人の名脇役が映画を作ったら~」

映画「バイプレイヤーズ~もしも100人の名脇役が映画を作ったら~」
2021年4月9日(金)より全国公開

STAFFCAST)
監督:松居大悟
主題歌:Creepy NutsWho am I(ソニー・ミュージックレーベルズ)
脚本:ふじきみつ彦、宮本武史
出演:田口トモロヲ、松重豊、光石研、遠藤憲一、濱田岳、柄本時生、菜々緒、高杉真宙、芳根京子、有村架純、天海祐希、役所広司ほか

©2021「映画 バイプレイヤーズ」製作委員会

 

●photo/干川 修 text/倉田モトキ

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