◆ドラマや映画製作の裏側を見せるという設定も面白かったです。コロナ禍においてエンターテインメントの必要性は二の次だという声を多く耳にしましたが、自粛などで疲弊した心を癒やしてくれるものの1つとしてエンタメは欠かせないものだと、あらためて感じさせられました。
そう言っていただけると本当にうれしいです。そうなんですよね、やっぱりみんなエンタメが好きだし、こんなご時世だけに、何も考えず楽しめるものを心のどこかで求めていると思うんです。正直に言うと、撮影がスタートしたのが昨年の夏で、不要不急という言葉が叫ばれている中でしたので、果たして今、映画を撮っていていいのかと思うこともありました。でも、しっかりと対策をして挑めば、これほどすごいものが作れる。そう願いながら、取り組んでいました。
◆撮影の裏話についてもお聞きしたいのですが、これだけ多くのキャストがいると、台本どおりにせりふを話す方とアドリブだらけの方などバラバラですか?
バラバラですね(笑)。特に50歳以上のバイプレイヤーズの皆さんはやりたい放題です(笑)。でも、全て好き勝手にやっているわけではなく、 “ここは台本どおりにしなくてもいいんだな”とか、“むしろ台本から逸れたほうがいいんじゃないか”といった判断が、皆さんは一瞬でできるんですね。それを現場で待っている自分もいますし(笑)。なので、自由に演技してほしい時はあえて放置し、長回しで撮ることもありました。とはいえ、いろんな角度から何度も撮影を繰り返すので、たまに映像がつながらないこともあって。映画をよく見ていただくと分かるのですが、さっきまで何も手にしていなかったのに、別カットになるといきなり武器を持っていたりします(笑)。それでもいいかなと思えるのが、この作品の面白さですね。