◆苦労話やハプニングもありましたか?
水原:冒頭でレイが七恵に暴力を振るっていた夫を殺害するシーンでは、全身に血しぶきを浴びるんですが、特殊メイクの方がポンプを経由して血糊をセッティングしてくださることもあって、なかなか失敗できないんです。でも、1回目の撮りでは接触ミスか何かで、血しぶきが全く出なかったんです。とはいえ、夫役の新納(慎也)さんはすごい真剣なお芝居を続けられているし、されているし、それを見ている私はどうしたらいいか分からなくなって、不謹慎ながらカットがかかった瞬間、笑ってしまいました。でも、2回目は成功して、迫力あるシーンになりました。
さとう:私はレイとけんかするシーン(笑)。レイに押し倒された七恵もやり返して、罵声を浴びせるんですが、しっかり段取りをやった後で本番に挑んだのですが、私が変な転び方をしてしまい、反射的にマジ切れしてしまったんです。そこから始まるリアルなけんかが、そのまま本編にも使われたんですが、けがとか大変なことにならなくて良かったハプニングでした。
◆ちなみに、ドライブしながらYUIさんの「CHE.R.RY」を歌うシーンも印象的です。
さとう:脚本では「2人が高校時代に聴いていたヒットソングが、偶然ラジオから流れる」という設定で、10年前に流行していたヒット曲というくくりで、希子ちゃんと「わぁ、懐かしい!」とか言いながら候補を出し合っていたんです。それで一番ハマったのがYUIさんの「CHE.R.RY」。でも、リアルな反応をしたかったので、あえて歌詞を覚えないようにしました。
水原:それで歌詞がうろ覚えな感じで、実際に歌ってみると、あの時の感情がよみがえるようなエモーショナルな気持ちになったんです。そんな予期しない感情は、自分でも驚くほどでした。そういったスパークみたいなものは現場で起きるものなんだ、と実感しましたね。