『バイプレイヤーズ』の松居大悟監督が、自身の実体験を基にしたオリジナル舞台劇を映画化した「くれなずめ」。高校の帰宅部仲間6人で唯一、東京で会社員をしている大成を演じた藤原季節さんに、映画同様にわちゃわちゃした現場エピソードや自身の高校時代の話も聞きました。
◆本作への出演が決まっての感想は?
「自分の事ばかりで情けなくなるよ」「君が君で君だ」など、松居監督の作品が好きだったので、お話を頂いた時は何の迷いもなく「やらせてください!」という気持ちと、「映画化の大成は、僕でいいんですか?」という気持ちが入り交じっていました。
◆高校時代の仲間を演じる成田凌さん、高良健吾さんなどの俳優陣との共演に関しては?
成田(凌)君や若葉(竜也)さんの作品はたくさん見ていましたし、高良(健吾)さんの大ファンだったので、めちゃくちゃうれしかったです。テンションも上がりましたね。
◆会社員で、後輩気質である大成の役作りについては?
この6人のメンバーの中では、かなり真っ当な生活をしている役なので、台本には書かれていない、そういう生活感みたいなものを出していけたらと思っていました。そのため、衣装合わせの時から、サラリーマンで営業をやっている友人を参考に、あえて手持ちかばんではなく、リュックにしたり、靴がちょっと疲れていたり、常にスマホを片手に持っていたり。営業周りをしているので日焼けをしてみるか?など、いろんなアイデアを出しました。そして、違和感のない会社員の雰囲気を作っていきました。
◆ちなみに、藤原さん自身の高校時代の立ち位置やキャラはどうだったんですか?
昼休みに、「わー!」とはしゃいでいる人たちを横目で見ながら、お弁当を食べているような…。とにかくプライドが高く、図書室で、よく本を読んでいました。今思えば、ただのひねくれ者だっただけですが(笑)。
◆わちゃわちゃノリが楽しく魅力的な本作ですが、現場でのエピソードを教えてください。
第二の青春じゃないですが、現場はものすごく楽しかったですね。焼き肉屋さんのシーンではずっと本気で食べてお代わりまでしてましたし。カメラが回っているのか回っていないのかも曖昧になっていましたから(笑)。
◆そんないい意味でのユルさが、作品にしっかり反映されていますよね。
待ち時間も、ずっとみんなではしゃいでいて、「いつか、誰かに怒られるんじゃないのか?」と、ヒヤヒヤしてたぐらいです。でも、高良さんが率先してはしゃいでいたので、どこかで安心もしてましたが(笑)。
◆完成した作品を見た時の感想は?
劇中で、僕らが“はしゃぐ”ことが、とある“重要なこと”に触れないためのオブラートになっているわけですが、そこに1つひとつの優しさみたいなものを感じました。なので、作り手みんなも優しいですし、出来上がった映画もとても優しい作品になったと思います。
◆藤原さんが好きなシーンは? また、本作同様、“友人の存在”を描き、昨年話題になった主演作「佐々木、イン、マイマイン」との違いは、何だと思いますか?
僕が出ている好きなシーンだと、前田敦子さんとの駅のシーン。たまたま雪が降って、前田さんが「『鉄道員(ぽっぽや)』みたい」と、つぶやいたのも印象的でした。映画が好きな方なんだなと。「くれなずめ」も「佐々木~」も“生きていたら避けられないこと”を描いていることは変わりませんが、「くれなずめ」は白黒はっきりつけられないことや優しさみたいなものを教えてくれる。そこが現実と必死に向き合った「佐々木~」との違いじゃないかな、と思います。
◆藤原さんにとって、今泉力哉監督作「his」で始まり、内山拓也監督作「佐々木、イン、マイマイン」で終わった2020年を振り返って、自身の変化はいかがでしたか?
昨年の緊急事態宣言の時に、僕は何もできなかったのですが、「自分を高めるための期間」とか「気持ちを切り替えた」という、インタビューなどを読んだ時に、自分の弱さみたいなものを感じたんです。でも、最近になって、「切り替える」とか「乗り越える」ということは、必ずしも必要ないんじゃないかと思えるようになって、ちょっと楽になったんです。いろんなものが曖昧になった。それが自分にとっての大きな変化だと思います。
◆作品依頼の数が増えるなど、周囲の変化や評価も変わってきたと思います。
映画の公開やドラマの放送があると、連絡をもらえることが増えましたね。でも僕が憧れた人たちは、もっと高いところにいるので、まだまだ頑張らなければいけません。
◆幼いころ、大河ドラマ『武蔵 MUSASHI』を見て、アクション俳優になりたいと思った藤原さんですが、ついに『青天を衝け』では後の水戸藩士となる藤田小四郎役を演じられます。
少年期の憧れといった僕の思いよりも、体が先に反応していて、めちゃくちゃ緊張しています。刀を腰に差しているだけで、ただならぬ気合が入りますね。現場には高良さんもいるので心強いです。そういえば「くれなずめ」の撮影中に高良さんから洋服を頂いたんですが、今回も楽屋に呼ばれて、袋いっぱいの服を頂きました。うれしくて、撮影場所から駅まで、サンタクロースみたいに大きな袋を背負って帰りました(笑)。
PROFILE
藤原季節
●ふじわら・きせつ…1993年1月18日生まれ。北海道出身。B型。主な出演作にドラマ『監察医 朝顔』シリーズ、『西荻窪 三ツ星洋酒堂』、映画「his」「佐々木、イン、マイマイン」など。現在は、大河ドラマ『青天を衝け』(NHK総合ほか)に出演中。今後の出演作に映画「明日の食卓」(2021年5月28日(金)公開)、「のさりの島」(2021年5月29日(土)公開)などがある。
作品紹介
映画「くれなずめ」
2021年5月12日(水)から、テアトル新宿ほかにて公開
(STAFF&CAST)
監督・脚本:松居大悟
出演:成田凌、若葉竜也、浜野謙太、藤原季節、目次立樹/飯豊まりえ、内⽥理央、⼩林喜⽇、都築拓紀(四千頭⾝)/城⽥優、前⽥敦⼦/滝藤賢⼀、近藤芳正、岩松了/⾼良健吾
(STORY)
和希(成田)、欽一(高良)、大成(藤原)ら、高校時代に帰宅部でつるんでいた6人の仲間たちが、友人の結婚披露宴で余興をするために、5年ぶりに集まった。余興を披露した後、彼らは披露宴と二次会の間を持て余しながら、高校時代の思い出を振り返っていく。
©2020「くれなずめ」製作委員会
●photo/金井尭子 text/くれい響
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