◆次々といろんな新しい意見が飛び交う中、会話の流れを壊すことなく自分の言葉を述べるのってすごく難しいような気がします。
本当にそうです! 特に昔はすごく苦手でした。20代前半のころ、バラエティ番組にまだ慣れていなかったので、エピソードトークをしなくてはいけない番組だったりすると、“これをこう話さなきゃ”という準備をして、ほぼ暗記した状態で番組に挑むんです。でもバラエティって筋書きどおりにいかないことがほとんどなんですよ(笑)。その場で生まれる流れ、空気感、出演者同士の化学反応。どれも生ものなのに、私は前日から真空パックしたエピソードを準備しているので、司会の方と会話になっていないことや、かみ合わないことがあったんですね。当時のスタッフさんやマネージャーさんから、「普通に会話すればいいだけだよ」とアドバイスを頂くこともあったのですが、“その普通の会話が難しいのよ!”と思ったりもして(笑)。ただ、当たり前のことですが、やはり会話として成立していないものは視聴者の皆さんにも伝わらないんです。ですから、まずは周りの声をしっかりと聞く。そうした基本的なことが何よりも大事なんだなとあらためて感じるようになりましたね。
◆その一方で、共演者の皆さんの意見をまとめながら、時間どおりに進行していくのも大変な作業なのでは…と感じます。
時間の管理は基本的に井上(貴博)アナとスタッフさんが担当してくださるのですが、井上さんがお休みの時は、その役割が私に回ってくるのでものすごく緊張します(笑)。あのドキドキは4年たっても慣れないです。また、進行で言えば、急に大きなニュースが入り、スタッフさんから「もう少しこの映像を視聴者に届けたいので、しばらくコメントでつなげてください」といった指示が出ると、みんなの中に多少の緊張感が走ります。でも、そうした時はものすごいチームワークが発揮されるんですよね。誰かがアイコンタクトで、<私、コメントいけます!>という合図をしたり、発言している人の呼吸を読んで「今一段落してるな」という一瞬を逃さずまた違う誰かが話しだしたり。そしてそのバトンは自然とMCに戻ってくる。特に、井上さんをはじめとするアナウンサーの皆さんは、まだ詳細が入ってきていない速報ニュースでも、今ある情報だけで冷静に状況をお伝えしていくので、日々の訓練のたまものとはこういうことを言うんだなと、いつも感心させられます。