4月29日(木)の『プレバト!!』(MBS/TBS系)で放送される名人・特待生による「第6回春の水彩画コンクール」に参戦した名人3段の光宗薫さん、特待生1級の辻元舞さんにインタビュー。今回の「水彩画コンクール」についてや、今後挑戦したいことを聞きました。
◆「第6回春の水彩画コンクール」に挑まれていかがでしたか。
辻元:皆さんレベルが高すぎて…。
光宗:コンクールがあるたびに、皆さんどんどん上達されていて。もともとがお上手なのに…。
辻元:そうなんですよね!
光宗:現状を保っていると、どんどん下になっていく気がして。新たな成長ポイントを見つけていかないとと思いながら、毎回参加しています。
◆今回は、SDGsの一つである“安全な水とトイレを世界中に”という目標から「東京の水のある風景」がお題でした。水の表現は、いかがでしたか?
辻元:あんなに細かく描いたのは初めてかもしれません。暗い中の水っていうのが難しくて、ぼかそうと思っても、どんどん汚くなってしまって…。
光宗:夜景で絵の具の黒を使わないって、「そういうやり方があるんだ!」って初めて知りました!
辻元:本当ですか!
光宗:確かに絵の具の黒と、いろんな色を合わせて作った黒って違いますよね。
辻元:そうなんです。黒を使ってしまうと、空の黒も、ビルの黒も、海の黒も全部一緒になってしまうので、それでは、きっと野村重存先生に加点はもらえないなと。それぐらい皆さんのレベルがすごいので、何か工夫しないと優勝を狙えなくなってきました。
光宗:水って水色という固定観念があると思うんですけど、その先の色、その中に何色が入っているのかっていうことを意識しないといけない。
辻元:「自分の目を信じるな」みたいな感じに、脳が思い込んでいるんですよね。透明は透明って。でもその先にある色を見ないといけない。
光宗:水彩画に関しては、特にそうですよね! 色の先の色を考えないと、上がっていけないと、今回あらためて感じました。もともと私は色に根本的に興味がないし、好きじゃなかったので、初めのうちは全部の色に黒を入れて塗っていたんです。統一感を持たせたくて。ですが、この数回でそれをやめて、ちゃんと色の先の色を見るようになりました。
辻元:すごい! ちゃんと更新されてる!
光宗:色って奥が深いんだなと、辻元さんが描かれていた夜景や皆さんの作品を見ていて感じました。
辻元:今回のお題は全体的に難しかったですね。光宗さんのお題は本当に一番当たりたくないお題でした。
光宗:私のですか?
辻元:7人の中で一番難しそうだなと思いました。
光宗:確かに、今回「このお題だったら良かったのに」っていうお題はなかったですね。
辻元:全部難しいお題でしたよね。
光宗:これラッキーだなっていうお題が1つもなかったですよね。
◆お2人は、題材が決められてランダムで選ぶものと、テーマが決まっていて題材を自分で考えるものとでは、どちらが描きやすいでしょうか?
辻元:私は、お題を出されたほうが描きやすいですね。お題から考えながらやるほうがすごく丁寧に描けるんです。描いていて楽しいのは、自分でデザインするものですね。自分で考えながらの場合は、結構いろんなところをはしょってしまったりするんです。
光宗:え、あれではしょってるんですか!? 黒板アートとか、そんなふうには見えなかったですけど…。
辻元:傘にもう少しグラデーションを入れればよかったなと思ったり…。やっている最中は少しでも楽をしたいから、全部一緒に塗ってしまったりするんですけどね(笑)。
光宗:普段は、自分で考えて描くことしかしないので…。題材があるのとないのとでは、頭の使う部分が違うので、何かを見て描く分には、映画を流しながら描けちゃうぐらい、作業に近い感じなんです。ですが、考えて描くとなると、考える想像のほうを使うので、そこを集中して考えないと進まないところがあるんです。だから、辻元さんと同じで、考えて描くほうが楽しいですね。ただ完成した時の答え合わせというか、自分がどれくらいできたかっていうのは、自分で考えるほうは未知数なので、終わってからもこれでいいのかと悩むこともあります。
辻元:やめ時が分からないですよね。
光宗:なので、査定をしていただく上では、見ながら描くっていうほうが、自分でも採点ができるから、やりやすいかもしれないですね。
◆黒板アート査定(3月25日放送)は特に終わりがなかったのではないでしょうか?
光宗:実は、最後まで描き切れなかったところもありました。
辻元:え!
光宗:28時間かかったんですが…でも、辻元さんはどうでしたか?
辻元:私はもう気力の限界がきて、よし終わりって感じでした。こだわればいくらでもできたと思うんですが、もう「限界!」って思って(笑)。
光宗:でも、そうしないと、終われないですよね。
◆これまで、さまざまな芸術査定に挑戦されていますが、お互いの技術で、驚いたこと、すごいなと思ったところはどこでしょう?
光宗:辻元さんは丁寧で正確ですよね。正確な上にさらに丁寧さもあって、細部まで見えているし、そこまで追うっていうところが、私は性格的にもできないので…。
辻元:私も、光宗さんに同じことを思っていますよ? 本当に正確で、本当に丁寧で細かくて、どこにも欠点がない。
光宗:お互い褒め合い(笑)。自分と違うところで言うと、色使いがきれい。私はわりとくすんじゃうんですよね。
辻元:それがカッコいいんですよ。個性があって!
光宗:いやいや。どうしても明るい絵が、昔は特に苦手だったし、描きたいとも思っていなかったので…。
辻元:私は逆に色ばかり使い過ぎてしまうんですよね。
光宗:本来、たくさん色を使うと、そういう汚さみたいなのが出てくることもあるんです。ですが、辻元さんの作品は、鮮やかな色をたくさん使っていても統一感を出すことができるんですよね。今回描かれた題材に関しても、黒を使わずに、さまざまな色を使っているのに写実的でなおかつカラフル。実際とはまた違った形で全体がまとまっているっていうのが、色彩感覚のバランスがすごくきれいなんです。
辻元:私は、光宗さんの正確さが素晴らしいと思います。いつも定規を使わずにフリーハンドで直線を描いていて。私はそれができないので、絶対に定規を使ってしまいます。以前描いた、新宿の景色を描く時もビルやビルの窓など一つひとつ定規で描いていきました。
光宗:えー!それが考えられない!
辻元:光宗さんはずば抜けて技術がある方だと思うんです。「その技術欲しい!」と思ってしまうほどです。本当に直線を描くのって、一番難しいと思うので。
光宗:それを言われたら、私も辻元さんみたいな絵を描けって言われたら、描けないですよ。今日見ていてあらためて思ったんですが、皆さんと同じように描けない。
辻元:そうですね。お題との相性もありますよね。黒板アートの時みたいに、生徒さんたちが作品を見てわーって喜んでくれている反応を見られたのは、うれしかったです。Instagramにコメントをもらったりすることはありますが、主に点数をつけている先生の反応しか見られないので。
光宗:うれしい半面、恥ずかしさもあります。特に自分が想像して描いているものだと、本当に自分以上に自分の部分が出てしまうので。なので、『プレバト!!』の出演者の方々とそんなに深い話をするわけじゃないですけど、私は勝手に絵を見て、こういう感じの方なのかなと思ったりします。
辻元:絵に出ますよね。小倉(久寛)さんのあんなに優しさが出ている絵なんて描けないですもん。
光宗:皆さん、どんな絵を描いてるんだろうって、毎回収録が楽しみですもん。
辻元:そう!皆さんの作品が楽しみですよね!
光宗:上手い下手というよりも、どういうのを描くんだろうみたいなのが楽しみです。
辻元:すごく前のめりになって見ています。
光宗:でも自分もそう見られていると思うと、ちょっと嫌ですけど(笑)。それがその絵自体の楽しいところだなって思います。あと、先生に褒められたい!
辻元:そう!先生に褒められたい(笑)。
光宗:野村先生のリアクションが大きくて。
辻元:うれしくなりますよね。
光宗:言葉じゃなくて、見た時のリアクションが毎回うれしいですよね。
辻元:光宗さんの作品は、いつも(眼鏡を上にあげ、紙を水平に持って、近くで見ているしぐさ)こうやって見てますよね。
光宗:あの先生を見て、描いてよかったってなります。
辻元:先生の反応で報われたなと感じています。
◆これまでいろいろな査定に挑戦されてきましたが、リベンジしたい査定や、やってみたいなと思う査定は何でしょうか?
辻元:和紙ちぎり絵をやってみたいです。1本前の収録でちぎり絵をやっていたんですが、見ていてとても楽しそうですし、魅力的です。
光宗:丸シールアートってどうですか?
辻元:とても面白いですよ! 下書きなしで、どんどん進めていくってこと自体、私はほかの作品ではないことなんです。丸シールは、自分の感覚で貼っていって絵が完成していくので楽しかったです。こだわればこだわるほど、変になってしまうんです。シールっぽさを残さないといけなくて、「モザイク画みたいに、離れて絵に見えるのが正解」だと分かって。
光宗:そうなんですね!
辻元:初めは正解が分からなくて、隙間なく埋めてたんですよ。そうしたら、「丸シールアートの採点のポイントはそこじゃない」と気づいたんです。全部はがして、配置し直しました。やり直しが何回もできるのが楽しいです。
光宗:楽しかったのは、黒板アートとスプレーアート。スプレー楽しいですよ!
辻元:スプレーアート、すごく興味あります!
光宗:スプレーも黒板に近いです!スプレーの場合、小さいと描き分けるのがすごく難しいので、むしろ大きければ大きいほど、描きやすい気がします。
辻元:いつも小さいところで描いているので、体を使ってできる黒板アートはすごく楽しかったです。
光宗:ただ、スプレーを地面から取ったり、置いたりがあって足がパンパンに(笑)。撮影が終わって3日ぐらい、座るのが大変だったぐらい足がきついけど、本当に楽しかったです。私、辻元さんにスプレーやってほしい! 見てみたいです。
辻元:一度、みんな同じお題でやってみたいですよね。
光宗:みんなで何かを描きたい。
辻元:楽しそうですね!
光宗:『プレバト!!』関係なくなっちゃいますけど(苦笑)。
辻元:すごいのができそう。みなさんそれぞれ得意な部分がありますもんね。
◆スタッフさんにこの思いが伝わるといいですね。
光宗:ぜひ機会があったら実現させてください。
辻元:お願いします。
光宗:全ての縛りがなく、好きな絵を描いたのを私が見たいです。出ている方の、何を使ってもOK、何を描いてもいい、好きなものを描くみたいなのも見てみたいです。
辻元:いいですね!
◆どんどんやりたいことが出てきますね。それはやはり描くことが好きだからなんでしょうか?
光宗:描くの好きですか?
辻元:好きですね。光宗さんはどうですか?
光宗:好きというと少しニュアンスが違うんですけど、1日絵を描く日があると、それは自分にとって何もない日なんですよ。日常のことを考えているよりも絵を描いているほうが楽みたいな。だから、長時間絵を描くこともそんなに苦じゃないんですよね。
辻元:私も昔からそうでした。ストレスを感じると、みじん切りをするか絵を描くか。無心になって集中することで、それが自分にとって一番楽な状態になるんですよね。
光宗:思考回路も日常的なこととかではなく、この絵を描くにはどうすればいいかとか、まったく違う世界になれるので、なかなかないですよね。そういうもの。
辻元:普段は慌ただしくして、なかなか集中できることもないので。
光宗:だから、ないと困る。生きていけない。
辻元:かっこいい。
光宗:私はほかに何にもないから、お仕事や家庭がありつつ、絵の世界にも生きているっていうのはすごいことだなと思います。私はずっと絵に逃げているので…。
辻元:そんなことないです。私は嫌でも現実に連れ戻されるので、ずっとそれに没頭できるのはすごくうらやましいです。
光宗:絵は大事な時間ですよね。
◆お2人が新たに挑戦したいと思っていることは何でしょう? 番組以外のことでも結構です。
辻元:私は陶芸に挑戦したいです。本当に何もないオフの日に、何をしたいか考えた時に、「陶芸に興味がある」と思いたって、夫と陶芸教室に行ったんです。それが、とても楽しかったんです! 本格的に陶芸を始めたいと思っています。ほかのことは何も考えず、それだけに集中する時間がすごく好きです。
光宗:感触もいいですよね!
辻元:そうなんです。なんで今まで陶芸をやってこなかったんだろうと思うぐらい、とても好きになりました。
光宗:粘土とかもいいですね!
辻元:粘土だったら、視聴者の方もまねしやすいですよね。
光宗:最近周りに言っているのは、現実世界をもうちょっと楽しくしたい。これまで共演者の方と話すとか考えたことないぐらい、絵以外のことから逃げていたんです。でも、最近は辻元さんをはじめ、いろんな方としゃべるようになって、それがすごく楽しくなると、その現場も楽しくなって。27歳にして、今更かよって感じなんですが、こんなご時世ですけど、直接、直接じゃない関係なく、人と関わることを頑張りたい。
辻元:また作風とか変わってきそうで楽しみですね。
光宗:絵以外のことをもう少し考えると、また絵も変わると思うんです。それは辻元さんの絵とかを見ていて、私にはない部分ってきっとそういう部分だったり、いろんな人生経験から、それが作風になると思うので、自分もそうなっていきたいと思うようになりました。
辻元:本当に唯一無二の世界観を持っている光宗さんがうらやましいです。私には、描けないです。あんなに素敵な絵を、写真を見て描くのではなく、自分の想像力だけでなぜこんな世界観が出せるんだろうとすごくうらやましく思います。
光宗:絵と現実世界はつながってるんだなと、いろんな方を見ていて感じるので、そんな経験も絵になるじゃないですか。ってなると、絵ばっかり描いててもダメなんだなって。いろんな方を『プレバト!!』で見るようになって感じるようになりましたね。
◆最後に、お2人にとって『プレバト!!』はどんな番組でしょう?
辻元:今までも絵を描くことが好きだったんですが、普段なかなか絵を描く時間が取れなかったんです。仕事をして帰ると子供がいるし、明日の準備や家事で、手いっぱい。自分の趣味の絵を描く時間というのが全くなかったので、仕事とはいえ、こうして絵に没頭できる時間ができたことはとてもうれしいです。
光宗:私は普段から絵ばっかりを描いているので、あんまり仕事っていう感覚がないというか。収録に来てはじめて、テレビじゃんって(笑)。ロケをして描くまでは、わりと日常な感覚なんです。だからこそ、集中して描けますし、楽しく続けられるのかなと思います。自分では絶対取り組むことないお題だったりしますし、そもそも普段は色を付けないので。でも、そこから得る学びが結構あって、普段ボールペンで描いている絵に還元されることもあるんです。なので絵ってやっぱり広いジャンルで学んだほうがうまくなるんだなって感じました。
PROFILE
辻元舞
●つじもと・まい…1987年2月6日生まれ。京都府出身。O型。『プレバト!!』水彩画査定では特待生1級、消しゴムはんこ査定では特待生4級、色鉛筆査定では名人5段など。
光宗薫
●みつむね・かおる…1993年4月26日生まれ。大阪府出身。O型。『プレバト!!』水彩画査定では名人3段、色鉛筆査定では特待生5級。
番組情報
『プレバト!!』
MBS/TBS系
2021年4月29日(木)後7・00~8・00
この記事の写真
©MBS