インパルスの板倉俊之さんが原作・脚本・演出を手掛ける舞台「蟻地獄」。新型コロナウイルス感染拡大の影響による公演中止からおよそ1年、スリルと驚きに満ちたアウトローサバイバルがいよいよ6月に復活上演されることに。“集団自殺の会”に参加するヒロイン・マフユ役で出演する乃木坂46の向井葉月さんに、作品や役どころの印象を聞きました。
◆まずは、出演にあたっての心境を!
私自身お笑いが好きなので、板倉さんの作品に参加できると聞いた時はワクワクしました。ただ、その半年後ぐらいに公演が中止になってしまって。“この思いはどこにぶつければいいんだろう”と、やり切れない気持ちになりました。今回こうして復活公演ができるということで、すごくうれしいです。ただ、演じるマフユはクールなキャラクターだったりするので、うれしすぎてワーッと熱くなりすぎないように…と思っています(笑)。
◆作品としてはどんな印象ですか?
ダークなイメージです。最初はカジノのディーラーという言葉も分からなかったぐらい、私自身知らない世界で。表現するのはなかなか難しいと思うのですが、頭を働かせながらいろいろ考えて演じたいと思っています。
◆物語としてはハラハラドキドキする展開なんですよね?
はい、すごく。原作も台本もそうですが、読んでいるだけで心拍数が上がっちゃいます。見てくださる方もきっとハラハラすると思いますし、そこは私たちの演技にかかってくるところでもあります。私が追い込まれるところは迫真の演技が求められると思うので、しっかり磨いていけたらなって。早く稽古がしたいです!
◆お芝居で特に見てほしいポイントは?
普段とは違う私を見ていただきたいです。私は人に見られるとすぐ『乃木坂工事中』の時のようなテンションになってしまうんですけど(笑)。そうするとマフユではなくなってしまうので、上演期間中はその感じは抑えて、マフユのまま過ごしたいです。ただあまり役に入りすぎても心が病んでしまいそうなので(笑)、アイドルの私とは切り替えながら頑張りたいです。
◆役のビジュアルについてはどうですか?
ロングのウィッグを付けてマフユの姿が完成した時に、自分じゃないみたいで恥ずかしかったです。記者会見の時も“似合ってるかな”って心配したんですが、“きっと堂々としていれば大丈夫!”と思って堂々としていました(笑)。あのウィッグはちょっと重くて、眉毛が出ちゃいそうになるので気を付けたいです。
◆板倉さんの印象は?
お会いする前は近づきがたいイメージだったのですが、実際にお話ししてみたら気さくな方でした。楽屋にいても話しかけてくださいますし、お話もとても面白くて楽しいです。さっきも衣装の話をしていて、「そのジャンパー、暑くない?」「あれ、今の時代ってジャンパーって言わないのかな?」みたいな“ジャンパー談義”でキャストの皆さんと盛り上がっていました(笑)。
◆そんな板倉さんの独特な感性が台本にも反映されている?
所々で濃い表現があって、それは板倉さんっぽいなと思いました。自分では全然思いつかないような表現なんですけど、よく考えてみたら“それだ!”ってぴったりくっつくイメージなんですよ。なので、読んでいて「ん?」と疑問に思うところは全くないです。最初から最後まで面白くて、一気に読んでしまいました。
◆最後に、タイトルの「蟻地獄」にちなんで、今までの人生で過酷だった思い出を教えてください。
中学時代、陸上部に入っていて。短距離だったんですが、練習でものすごい距離を走るんです。そんな中、夏の合宿に向けて髪を切ることになって。でも私は天然パーマなので、汗をかくと髪の毛がすごいことになっちゃうんです。本当は真面目に走りたいのに、それで私も周りもみんな息を切らしながら笑っちゃって、あれは“クスクス地獄”でした(笑)。
PROFILE
向井葉月
●むかい・はづき…1999年8月23日生まれ。東京都出身。A型。乃木坂46・3期生。舞台出演作に「コジコジ」「乃木坂46版ミュージカル『美少女戦士セーラームーン』2019」「ナナマル サンバツ THE QUIZ STAGE ROUND 2」など。現在、『将棋フォーカス』(Eテレ)でMCを務めている。乃木坂46の27thシングル「ごめんねFingers crossed」が2021年6月9日(水)リリース。
公演情報
舞台「蟻地獄」
2021年6月4日(金)~10日(木)東京・よみうり大手町ホール
(STAFF&CAST)
原作・脚本・演出=板倉俊之
出演=髙橋祐理、天野浩成、向井葉月(乃木坂46)、古賀瑠、向清太朗、佐藤恵一、安川里奈、中野裕斗、三木美加子/近藤廉、迫英雄/山口大地
(STORY)
孝次郎(髙橋)は、杉田(迫)という男の助言を受けて親友の修平(近藤)と共に裏カジノへ。女ディーラー(安川)の目を欺いて大金を手に入れたかに見えたが、それは杉田と裏カジノのオーナー・カシワギ(山口)によって仕組まれた地獄への罠だった。修平は人質に取られ、その救済方法は「5日間で300万円を用意する」というもの。孝次郎は、1個40万円で売買されるという人間の眼球を収集することに。だがそう簡単には見つからず、時間は刻一刻と過ぎていく。窮地に追い込まれた孝次郎は、集団自殺志願者が集まる廃墟を訪れる。そこには集団自殺の発起人・宮内(天野)を筆頭に、マフユ(向井)、ケイタ(古賀)、フジシロ(向)といった面々が。そこには、さらなる最悪の罠が待ち受けていて…。
●photo/中田智章 text/橋本吾郎
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