研修医たちが医療現場で葛藤しながら成長していく姿を描くドラマ『泣くな研修医』(テレビ朝日系 (土)後11・00)の第4話が、2021年5月15日に放送される。TVLIFE webでは、メーンキャストへのリレーインタビューを実施中。今回登場するのは、主人公の雨野隆治(白濱亜嵐)の同期の研修医で、3年間の社会人経験を経て医師の世界に飛び込んだ滝谷すばるを演じている柄本時生さん。にぎやかな撮影の舞台裏や、滝谷役への思いについてお聞きしました。
◆柄本さんは滝谷をどんな人物と捉えていらっしゃいますか?
滝谷は素直すぎて不器用でだまされやすい。社会人としても医者としても優秀ではないのですが、その分、エリートじゃない人の気持ちが分かるという設定で。僕はつまり“とにかく優しい人”なのだと思っています。ただ、同期の中では滝谷だけちょっと年上なので、先輩風を吹かせるようなところがあって。一番面白いと思ったのは、嫁さんと別居しているんだけど、それを周囲にバレないようにしているんです。そういうところが人間らしくて、僕は好きです(笑)。
◆滝谷のキャラクターは、柄本さん自身にも通ずるところがありますか?
う~ん、どうなんでしょう。だまされやすいかと言われたらまぁ確かに…(しばし黙考して)…いやいや、そんなことないかも! 自分ではあまりよく分からないですけど、だまされやすくはないと思います(笑)。強いて共通点を挙げるなら、人の意見を聞いて素直に従うところですかね。
◆演じる上で苦労していることはありますか?
滝谷はあまり専門的なことを言う役柄ではなくて。同期の研修医役のみんなは患者さんの今後の治療方針を話すカンファレンスのシーンで、医学用語を含む長ぜりふがあるのですが、滝谷にはそれがない。だから、そういう意味ではそこまで難しいと感じることはないです。みんなのせりふに耳を傾けながら、自分のせりふを楽しく言わせてもらっています(笑)。もしかしたら今後、滝谷にも大変なシーンがあるかもしれませんが、そうなったら全力で頑張りたいと思っています。
◆オープニングでは同期役の白濱亜嵐さん、野村周平さん、恒松祐里さんと共に手洗いダンスを披露されていますよね。踊ってみた感想は?
あぁ、そう言われてみればダンスに関しては本当に苦労しました。僕、ダンスが全然だめで。振り付けも覚えられないし、リズムも取れない。それでも事前に送っていただいた動画を参考に練習だけはして現場に入ったのですが、カメラの前に立ったら全部飛んじゃって…。結局、亜嵐君にカメラの後ろで踊ってもらって、それをそっくりまねすることで撮影を乗り切りました。亜嵐君に助けてもらわなかったら、あのオープニング映像は完成しなかったと思います(笑)。
◆キャスト同士で協力し合える、雰囲気の良い現場なんですね。
本当に、みんなで楽しくワイワイやっています。恒松ちゃんとは前の仕事も一緒で。周平君とは現場で一緒になるのは初めてなのですが、お会いしたことは何度かあるので、仲良くなるのは早かったです。何より亜嵐君がすごく話し掛けてくれるので、助かっています。役柄同様、実年齢も僕だけちょっと上なのですが、みんなちゃんと先輩として立ててくれつつ、いい意味で友達っぽく接してくれる。それがちょうどいいあんばいなんです(笑)。だから、本当に居心地がいいです。
◆野村さんは、柄本さんの顔写真を撮るのが現場ではやっているとおっしゃっていました。
亜嵐君が何気なく写真を撮ったら、僕が白目になっていた…というのが全ての始まりです(笑)。よくよく考えてみると、僕の写真って学生時代から白目になっていることが多かったなと思って。そんな話をしたら、みんなが面白がって事あるごとに僕の写真を撮るようになったんです。「時生君の面白タイミングを見つけよう」みたいな(笑)。で、昨日もいっぱい撮られました(笑)。でも、全然嫌じゃないんです。むしろ、自分で“白目になっていることが多い”と言った手前、普通の写真ばかり撮れたらどうしようと心配で。せっかく撮ってくれているのに、全然面白くなかったら申し訳ないですから(笑)。
◆第3話では、隆治が認知症の胃がん患者・森山(品川徹)のために奔走。しかし、森山の症状のケアに特化した施設がないため転院させざるを得ず、涙ながらに見送る姿が描かれました。柄本さんはこの回にどんなことを感じましたか?
物語としては隆治君がまた一つ成長するきっかけになったのが大きかったかなと。彼が本来持っている優しさはこれまでも描かれてきましたが、そこに新しく“気づき”という要素が加わった。患者さんの思いを汲み取り、本当に望んでいることは何なのかに気づく。隆治君の優しさがさらに大きくなるエピソードだったと思います。個人的には、以前から知り合いだった森山役の品川徹さんとご一緒できて、本当にうれしかったです。
◆第4話では、隆治が大腸がんの患者・石井(須賀健太)の治療をめぐり、苦悩することになります。滝谷の見どころを挙げるとしたら、どこでしょうか?
滝谷の見どころで言うと、同期のみんなと吉田拓郎さんの「永遠の嘘をついてくれ」を熱唱するシーンです。滝谷がメーンで歌っている…はずなんですけど、仕上がった映像をまだ見ていないので、どうなっているかは分かりません(笑)。撮影しながら思ったのが、やっぱり亜嵐君が歌うとものすごくカッコいいんです。一種の“職業病”なんですかね(笑)。“何気ない瞬間にこそ本来の姿が出るんだな”と思いました。放送では、僕もカッコよく見えていたらいいんですけど…(笑)。あと、滝谷の“愛妻弁当”の秘密が明らかになるので、そこにも注目してもらえたらと思います。
PROFILE
柄本時生
●えもと・ときお…1989年10月17日生まれ。東京都出身。O型。最近の出演作に、ドラマ『アリバイ崩し承ります』『わたし、定時で帰ります。』、映画「海辺の映画館-キネマの玉手箱」など。映画「BLUE/ブルー」「バイプレイヤーズ ~もしも100人の名脇役が映画を作ったら~」が公開中。
番組紹介
『泣くな研修医』
テレビ朝日系 毎週(土) 後11・00~11・30
(STAFF&CAST)
原作:中山祐次郎
脚本:樋口卓治
演出:豊島圭介、朝烏ツワ子、小松隆志
出演:白濱亜嵐、木南晴夏、野村周平、柄本時生、恒松祐里、木村昴、山口智充、高橋和也ほか
(第4話STORY)
大腸がんで抗がん剤治療中の石井(須賀健太)が、肝臓や肺、リンパ節などに複数に転移し、これ以上抗がん剤治療は継続できないと判断、これからは積極的治療は終了して、痛みや苦痛などをとっていく治療に切り替えることに。まだ25歳という若さの石井の治療をやめてしまうことに、隆治(白濱)は頭では理解しつつも、心が追い付いていかない…。佐藤(木南)が石井と石井の父にそのことを説明するが、顔色ひとつ変えずに真実を伝える姿に、さらに隆治は複雑な気持ちになる。もう少しオブラートに包んで話した方が良かったのでは、と佐藤に伝えるも、佐藤からはうそで期待させるのは患者のためじゃなく、自分が背負いたくないだけだと言われてしまう。
隆治と石井が中庭で談笑していると、石井の具合が悪くなり嘔吐してしまう。佐藤に相談して、がんの影響による腸閉塞が原因で、胃管を入れることに。石井から、いつまでこの胃管を入れるのか聞かれた隆治は、思わず数日で抜けると思うとうそを伝えてしまい、それを聞いた石井は安心して頑張ると前向きになるが…。
そんな中、拓磨(潤浩)がぐったりしているとの連絡が入る。拓磨の父・武(木村昴)がさつまいもを食べさせてしまったという。息子の容態を心配して質問してくる武に、隆治は、今は腸の動きが悪い状態で、おならさえでれば…と伝えてしまっていたのだ。
●photo/映美 text/海老原誠二