◆律子を演じている間は不安定だったとおっしゃっていましたが、そんな中でも気が休まる瞬間はありました?
ありませんでした。キツかったです。でも後になって内田監督が「あえて不安にさせた」とおっしゃっていました。内田監督とのお仕事は安心感もあるし信頼していますが、その中で私の不安定な状態を放置していたそうです。それも全部含めての演出なので、私がどれだけ苦しんでいようと「まりか大丈夫?」みたいな気遣いは一切ありませんでした。私をそのままにしていたほうがいい演技につながると思い、現場で厳しくいるのが内田監督の優しさだったと思います。いい芝居を引き出すために最大限のことをしてくださったんだと思いますし、それで全然良かったです。ただ拠り所が全くないってこういうことか…という心もとない感じはありました。家に帰っても不安で心細かったですね。
◆そんな不安に潰されそうな中で演じて、クランクアップの瞬間はどんな心境になりました?
なんか…ワナワナしました(笑)。最後は柿澤勇人さんと山野海さんと一緒で、柿澤さんから取り調べを受けるシーンだったんです。そこは柿澤さんにすごく引き出してもらった気がしていて、奇跡的な瞬間もありました。柿澤さんともほとんど話さず、その中で奇跡的な時間を共有できて、この研ぎ澄まされた時間はなかなか経験できないだろうなと思いましたね。だから「終わった!」感がすごくありました。役をやり遂げたというより、「この瞬間を生き切った」と思えました。あまりそう思えることってないのですが、大洪水のように全ての感情を出し切って。ちょうど律子の心を全てはがされていくシーンだったので、すごくいい瞬間でした。清々しい気持ちにもなりましたね。
PROFILE
松本まりか
●まつもと・まりか…1984年9月12日生まれ。東京都出身。B型。主な出演作にドラマ『ホリデイラブ』『竜の道 二つの顔を持つ復讐者』『妖怪シェアハウス』『先生を消す方程式。』など。現在は『最高のオバハン 中島ハルコ』(フジテレビ系)に出演中。
番組紹介
『WOWOオリジナルドラマ向こうの果て』
2021年5月14日(金)放送・配信スタート
WOWOWプライム、WOWOWオンデマンド 毎週(金)後11・00 放送・配信(全8話)(第1話無料放送)
TELASAでは各話終了後配信スタート
(STAFF&CAST)
原案:ゴツプロ!第六回公演『向こうの果て』
監督:内田英治 脚本:竹田新
出演:松本まりか、松下洸平、柿澤勇人、加治将樹、渋川清彦、豊本明長、宇野祥平
(STORY)
昭和60年、東京のマンションの一室で放火殺人が発生。逮捕された池松律子(松本)と被害者の君塚公平(松下)は幼なじみであった。担当検事の津田口(柿澤)は、事件の真相を追って、過去に律子と関わってきた人物と接触する。その証言で彼女の数奇な人生が明らかになるが、彼女を取り巻く男たちによる律子の印象は全て違っていた。事件を追うほどに津田口は律子という人物に傾倒していく。やがて津田口は、律子と公平が子供時代を過ごした昭和30年代の青森・津軽に殺人事件の真相を解く糸口を見つける。
●photo/金井尭子 text/佐久間裕子 hair&make/千吉良恵子(cheek one) styling/コギソマナ(io) 衣装協力/under the rose、ダイアナ
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2021年5月30日(日)23:59