◆葬儀社に転職した菅野を演じるにあたっての役作りを教えてください。
実際に葬儀社の方が受ける講習に行きましたが、僕は松下由樹さんが演じられた指導者役と違って新人社員という設定だったので、あえてフォーマットだけ教えてもらい、あまり知りすぎないようにしました。また、いろいろ勉強したこともあり、遺族の方に伝える「ご愁傷様です」というせりふが気になるほどでした。正しくは「このたびは大変でございました」であることを学ばせてもらいましたし、葬儀場でテンパってしまうような“新人社員あるある”も演じさせてもらいました。
◆菅野と水野さんとの共通点はありますか?
ずっと同じ芸能という仕事をしている自分としては、転職して、新たな仕事に就いた菅野に共感性というものはありませんでした。そういう意味では難しい役柄だと思いましたが、仕事だけでなく、いろいろなものに対する一生懸命さに関しては共通しているので、それが大きな突破口になりました。そして、てんぷらを食べてこぼしてしまうところなど、ちょっと慌て者で、どんくさい部分も大切にしながら演じています。それがかなり強調されたシーンはカットされてしまったので、いつか「完全版」も上映してほしいですね(笑)。
◆共演したベテラン陣との撮影エピソード、彼らから学んだことを教えてください。
松下さんが出演された『ナースのお仕事』『振り返れば奴がいる』など、僕が好きだったドラマの裏話をいろいろ聞くことができたんです。あのころは視聴者だった僕が、共演者として、そんな話ができるなんて! 何事にも代え難い時間を過ごさせていただきました。そして、今回スキルの高い皆さんとお芝居させていただいて、お芝居の根底にあるものは、鏡と同じ反射だということ。自分が投げたものを相手が返す。そんなお芝居の原点について、あらためて再確認した作品でした。そして、菅野として、そこに存在していれば、役として成立することを感じました。