◆お好きなシーン、また見てほしいシーンがあれば、教えてください。
僕が個人的に大好きなのは、橋爪さんと高畑さんが銀婚式でメモリアル映像を見ているシーンです。お二人の表情がすてきで、何回見ても涙を流してしまいます。あと、菅野のトラウマな存在である父親役の西村まさ彦さんと出会うシーンも印象的でした。ちょっとマニアックなところだと、作品の冒頭で僕が朝起きるシーン。香月監督によると「バック・トゥ・ザ・フューチャー」でのマイケル・J・フォックス演じるマーティの寝方なんです。このささやかなオマージュが、どれだけ伝わるか分かりませんが…(笑)。
◆本作のテーマである「終活」からイメージされることは?
この作品に参加したことで、寡黙だった僕の祖父が亡くなった時に、いろんなことを書き留めていたエンディングノートが残っていたことを思い出すなど、本作といろんなことが一致していました。「終活」という言葉にどこかネガティヴなイメージがあったんですが、ポジティブなものへと変わりました。正直「終活」がテーマの映画と言うと、悲しさや儚さみたいなイメージを持たれるかと思いますが、出来上がった映画は、それとは真逆の仕上がりになったと思っています。
◆本作に出演されたことで、水野さんの死生観のようなものは変わりましたか?
今や「人生百年時代」なので、僕はまだ死に対してのイメージはありません。ただ、両親は、終活に差し掛かってくる年齢なので、もっと大切にしていかなきゃいけないなと思いました。こういう仕事をしている僕はさすがに難しいので、妹に「早く結婚して、孫の顔を見せてあげてよ」と言っています(笑)。ただ、結婚や夫婦に対してのイメージはわきましたし、劇中に登場する“魔法の言葉”は、とても勉強になりました。