Non Stop Rabbitインタビュー「どうしようもなくチャラい俺らですら“三大欲求”に勝てる時がある」

特集・インタビュー
2021年05月19日

“ノンラビ”の愛称で親しまれる3ピースロックバンド・Non Stop Rabbitが、2021年5月19日(水)にメジャー1stシングル「三大欲求」をリリース。総チャンネル登録者数は76万人以上、総動画視聴回数は2憶8000万回超えを突破し、YouTuberとして活躍を続ける一方、本格的な演奏で今最も勢いのあるYYouTuber)系バンドとしても注目を集めている。そんな彼らに本作へ込めた思いやこだわりなどについて聞いた。

◆メジャー1stシングル「三大欲求」がリリースされますが、どんな作品に仕上がりましたか?

田口達也:名刺として渡すのに一番いいんじゃないかなと。アルバムだと曲数が多すぎて「ちょっとずつ聴こうかな」ってなる人もいると思うんですけど、4曲なら聴きやすいし、今回の収録曲を通して僕らがどんなバンドなのかということも伝えられる聴き応えのある作品に仕上がったと思います。

◆ジャケット写真の小物や衣装などにも田口さんの意見が反映されているそうですが、こだわったポイントを教えてください。

田口:大切な人にプレゼントを贈る時って、自分できれいに包んで渡したいじゃないですか? 今回のシングルは、収録曲をギフトラッピングするようなイメージにしたかったんです。あと「三大欲求」に合わせて、机の絵柄が性欲を表していたり、置いてある食べ物も全て本物を使ったりとかなり細かいところまでこだわらせてもらいました。よく見るとワインのラベルもNon Stop Rabbitになっているんですよ。衣装も670着用意してもらった中から選びました。ちなみに歌詞に三大欲求も敵わないほどにとあるように、奥のカーテンからチラッと見えているアートは、本当に欲しいものは芸術なんだという思いが隠されているんです。

◆皆さんはYouTuberとしても活躍されていますが、いい意味で本作を聞いてYouTuberとしてのイメージを大きく覆されました。

太我:実はそれが狙いであるという(笑)。

矢野晴人:まさに狙いどおりですね!

◆YouTubeではマシンガントークで、キャラもかなりぶっ飛んでいるのに、音楽に対しては真摯に取り組まれているんだな、と。皆さんのギャップはもちろんですが、楽曲の振り幅もすごいですよね。しかも、どの曲も一度聴いただけでメロディーが頭に残りますし、そこに乗った言葉がダイレクトに伝わってきます。制作にあたって意識した部分はありますか?

田口:僕は基本的にサビかBメロから作り始めるんですけど、歌詞と一緒に降りてきたものしか使わないんです。今回も三大の欲求もというフレーズとメロディーが同時に浮かんできたので、そこから膨らませていったんです。ただ曲だけ書いてピアノだけ打つということがないんですよ。フレーズとメロディーは絶対にセット。セットではない時のアイデアは捨てちゃいますね。

◆レコーディングはいかがでしたか? 

田口:特に変わったこともなく、いつもどおり進行しましたね。基本的には僕が作詞・作曲、デモまでを一人で仕上げて、そこに(仮)歌を入れてもらってOKとなったらレコーディングをする感じなんですが

◆プリプロはされないんですか?

一同:しないです。

太我:っていうか、プリプロってなんですか?

矢野:そもそも意味が分かってないという(笑)。

田口:うそでしょ!? 試すんだよ!

◆ぶっつけ本番でうまくいくから、むしろプリプロをする必要がないと。

田口:そうですね。デモ自体、そのままリリースできるレベルまで完成図がはっきり見えているので、そこから逸れなければ失敗しようがないんです。

◆デモを忠実に再現されるわけですね。

田口:はい。でも、たまに「面白いのちょうだい」ってむちゃ振りをすると、スティック持ったまま固まってて(と太我を見る)。

一同:(笑)

太我:煮詰まったら、一旦作業を止めてご飯を食べに行きます。近所にお気に入りの韓国チキン屋さんがあって、そこのヤンニョムチキンを食べるとドラムがうまくなるんですよ。

◆ヤンニョムチキンが太我さんのパワーフードなんですね。

太我:チキンの味でドラムのテイストも変わりますから。好みはハニーチキンです!

矢野:おまえの好みはどうでもええわ(笑)。

◆お二人はレコーディングに詰まった時はどうされるんですか?

田口:僕は休憩することが邪魔なんで、一度始まったら止めないですね。っていうか、休憩するのは太我だけなんですよ!

矢野:僕らは早く終わらせて帰って家でゆっくりしたいのに!(笑)

◆「三大欲求」というタイトルもNon Stop Rabbit(以下 ノンラビ)らしいインパクトがありますが、タイトルに込めた思いや歌詞を通じて伝えたいメッセージは?

田口YouTubeを見ていただければ分かると思いますが、普段の僕らは金・女・酒みたいな、どうしようもなくチャラい人間で(笑)。でも、そんな僕らですら何かをやっている時、例えば曲を作っている時はおなかが空いているのも忘れてるし、朝になっているのも分からない。動画を編集している時も気づかずに作業していたら8時間たってたみたいな、三大欲求に勝つ瞬間があって。僕らはそれを求め続けてきたから、仕事として好きなものを届けたりできるけど、それは誰にでもあることだと思うんですよね。でも、今は日々の生活の中でたくさん制限があると思うので「本当にその制限って必要なの? 制限の中でできることもあるのに欲求にふたしてない?」っていう問いかけも含めました。

◆歌詞を読んで、ご自身の強さだけでなく弱い部分もさらけ出されていて、誰しもが心の中で思っていても言えないことを包み隠さず表現されているなと感じました。リスナーの人たちに寄り添いながらも背中を押すような。

田口:今の若い人たちって素直じゃないなって感じるんですよ。言いたいことも言わないし。でも、ちょっとでも誰かに見られたいし、認められたいという欲求はあるから、ネットがこんなにはやると思うんです。僕からしたら、もっと素直になって、こそこそ隠れずに堂々と好きにやればいいじゃんと思ってて。これまでのバンドマンで自分たちのことを「チャラいです」とか、「キャバクラが好きです」「モデルと付き合いたいです!」なんて堂々と言っちゃうヤツはいなかったと思うんですけどね(笑)。

◆心の内はどうあれ、ここまでオープンにされている方はなかなかいないですよね。

田口:どこのメジャーレーベルでも普通は「そういうのは隠してください」って言うじゃないですか。でも、そういうのに憧れてるのに、それを隠してコソコソモデルの子とデートをしたりするから炎上すると思うんですよ。僕らは隠さずに「デートする!」って前もって言ってるからそういうのもない(笑)。逆に本当にデートができたら「夢あるだ!?」って言えるし、夢の具現化のような3人組になりたいんですよね。

矢野:一日でも早く週刊誌に撮られたいですから(笑)。いつでも家の前にいてもらって構わないです!

田口:なんならこっちで撮って、ちゃんとレタッチしたものを配りますよ(笑)。

◆自らアピールしちゃうと。でも、そう言っているだけで実際は健全だったりするのでは?

田口:いやいや、昔から3人でナンパとか行ってました!

太我:でも、全然駄目だったね(笑)。

田口:だからこそ有名になろうって思ったんです。

矢野:まず売れなきゃ何も始まらないなってね。

田口:当時は自信もなかったしね

矢野:そうそう。お金もないから、ナンパが成功したところでいいお店に連れていけないし。

田口:所詮、女は金と地位ですよ(笑)。だったら、ナンパよりも先にスターになろう、こんなことやってる場合じゃないって。それでたどり着いたのが、YouTuberとバンドで。僕らは自分たちで会社も経営してるんですけど、いわゆる昔の“SEXDRUGROCK’N’ROLL”が、僕らの場合は音楽とYouTubeと社長というだけ。それが新時代なのかなって。リスクを背負っている分、より本気になれますし。

◆そういった過去の苦い経験が原動力となって現在のノンラビが存在するわけですね。昨年メジャーデビューを果たし、最近ではドラマやアニメの主題歌をはじめ、Y系バンドとして活躍の場を広げていますが、“ぶっちゃけ俺たち売れてきているな”と実感したことや環境の変化はありましたか?

田口:「静かな風」がエンディングテーマとなっているアニメ『ドラゴン、家を買う。』の初回放送の日がレコーディングと重なっていたので3人で一緒に見たんです。画面に“Non Stop Rabbit”って名前が出てきた時は「俺らもメジャーになったな~」とは思いました。でもデビューしたからと言って特に何も変わらないですね。

◆歌手の方々にとっては、『紅白歌合戦』に出場することも1つの目標でもあると思うのですが…。

田口:出れたら出ますね。

太我:いやいや、上から言い過ぎでしょ(笑)。

田口:出れるなら何でも出ます! 俺らNGないんで!

矢野:逆に、悪いことをしてニュースとか週刊誌に載った時に、初めて「あ~俺らって表に出る側の人間だったんだ」ってなるかも。

田口:何かを失った時に初めて自分たちの存在に気づくんじゃないかな。

矢野:あと街を歩けなくなったら実感しそう!

◆そうなった時は鼻が伸び放題になっているとか…⁉

一同:(キッパリ)それはないです。

矢野:逆にそうなるのが怖いなって。

田口:知ってくれる人が増えれば増えるだけ、その対価じゃないですけど、もっとやらなきゃなって思いますね。

◆こうやってお話を聞いていると、すごくご自身たちのことを冷静に分析されているんだな、と思いますが…。

矢野:(間髪入れずに)あの~書かないでもらっていいですか?

一同:(笑)

太我:営業妨害なので!(笑)

◆失礼しました(苦笑)。では最後に、皆さんにとってノンラビとは?

矢野遊び場。ノンラビに勝る遊びはないですし、それでお金を頂けるなんて本当に幸せなこと。みんなができることじゃないと思うので。

田口:僕は承認欲求。個人ではなく、ノンラビで認められたいという思いがあります。まさに「三大欲求」を超えて最大欲求ですね。

太我:なるほど。僕が思うノンラビは、アンナチュラルゾーン

一同:(笑)。

田口:どういうこと?(笑)

太我:みんな普通に生きているからこそ、不自然なものに心奪われると思うんです。僕らみたいな違和感ある人たちを見て笑ってもらって「今日も楽しもう」とか「頑張ろう」って思ってもらえたらうれしいですし、そのゾーンに僕らがなれたらいいなと思います。

PROFILE

Non Stop Rabbit
のんすとっぷらびっと…201611月に埼玉県で結成された、今最も勢いのあるYYouTuber)系バンド。202012月にアルバム「爆誕 -BAKUTAN-」でメジャーデビューを果たした。

(写真左から)
矢野晴人
●やの・はると…1996220日生まれ。B型。Vo.&Ba.

田口達也
●たぐち・たつや…19931118日生まれ。B型。Gt.&Cho.

太我
●たいが…1995420日生まれ。B型。Dr.

作品紹介

メジャー1stシングル「三大欲求」
2021年5月19日(水)発売
初回限定盤/¥2,750(税込)通常盤/¥1,650(税込)

<CD収録曲>
01. 三大欲求
02. 静かな風
03. 是が非でも
04. 推しが尊いわ
05. 三大欲求(Inst.)
06. 静かな風(Inst.)
07. 是が非でも(Inst.)
08. 推しが尊いわ(Inst.)

<初回限定盤DVD収録内容>
Non Stop Rabbit Behind closed doors-live at harevutai
01. ALSO
02. 明るい歌
03. TABOO
04. 最後のキス
05. BIRD WITHOUT

photo/市川秀明 text/星野彩乃

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<応募締切>
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