花園にも見える華やかなOLの職場が、実は地上最強のOLを目指し抗争を繰り広げる世界だったら? 脚本・バカリズム&監督・関和亮で送るOLバトルロワイヤル映画「秘密の花園」。頂上(テッペン)を目指し、派閥争いを繰り広げるOLを永野芽郁さんと広瀬アリスさんが演じます。TV LIFE Webでは前編・後編に分けて、お2人の対談を掲載。前編では、すてきなOLライフに憧れる普通のOLとカリスマヤンキーOLを演じたお2人に役作りや撮影中の思い出を話していただきました。
◆ヤンキー漫画のような“力が全て”という世界を、OLを主人公に描くのが面白いと思いました。お2人の役柄や設定についてはどう思われましたか?
広瀬:ぶっ飛んでいるなと思いました(笑)。今、あまり考えずに見ることができる作品って少ないと思うので、久々にこういう作品に出会ったなと。台本を読めば読むほど、面白くて早く映像化したいと思いました。キャストの皆さんもいろんな意味で“強い人”ばかりじゃないですか。早く現場に行って、動いている姿を見てみたいと思っていたら、皆さんが予想以上にド派手でした。
永野:最初にお話を聞いた時、今までにない世界観だったので想像できませんでした。でも脚本を読んでいくと、その世界観を理解できている自分がいて(笑)。現場に入ってみると、違和感なく「こういう世界もあるのかもしれない」と思ってしまいました。とにかくアクションを練習しなきゃ! とは思いましたが、あまり難しく考えることなく現場に臨むことができたかもしれないですね。
広瀬:私がアクション練習をしている時に、遠藤(憲一)さんが衣装合わせにいらっしゃったんです。アクション練習が終わった後にごあいさつに行ったらあのヤンキー姿の遠藤さんがいて、膝から崩れ落ちました(笑)。
永野:私は遠藤さんの扮装を見てからは、何の違和感もなく、こんな世界もあるかもしれないと思えるようになりました(笑)。それとアクション練習の時に関和亮監督が「ヤンキーってこんな感じだよね」って分かる本を見せてくださって、昔のヤンキーを想像しながら現場に入ったので、再現度が高いなと思いました。
広瀬:髪を編み込んでコーンローにした菜々緒さんはじめ、皆さんカッコよかったです(笑)。衣装のイメージをイラストにしたものが既に面白くて。「これはどうなるんだろう?」と思っていたら、想像を超えるものが出てきました。
◆永野さんは普通のOL、広瀬さんはカリスマヤンキーOLという設定ですが、演じるにあたり意識したことがあれば教えてください。
永野:作中では私が一番普通のOLでいなければならないと思ったので、自分が想像するOL像を常に持つようにしていました。でも現場に入ると、私1人だけ普通すぎて不安になってしまって(笑)。「大丈夫かな」って常に確認するようにしていました。暴言を吐いたり、ツバを吐いたりするシーンは監督と話し合いながら作っていきました。
◆永野さんは想像する普通のOLってどんな感じですか?
永野:ヒールを履いて背筋をピンとしているイメージがありました。仕事をしている時はちゃんとして、ロッカールームで友達と会話をしているシーンは、学校をイメージしました。ただロッカールームにもいろいろと激しい人が入ってくるので、イメージが揺らいでしまって監督に助けを求めてました(笑)。
◆広瀬さんはいかがでした?
広瀬:私が演じた蘭は暴言もいっぱい吐きますし、巻き舌というか、ヤンキー風の口調をどうやればうまくできるのかなって最初は思ったんですけど、1日2日でなじむものなんですよね(笑)。
永野:早かったですね?(笑)
広瀬:うん、早かった(笑)。それとずっと眉間にシワを寄せていたので、「あのころ、険しい顔をしていた」とか、「どんどん目が鋭くなっていくよ」と周りから言われていて、ファッション誌の撮影の時は柔らかい表情になるように意識していました。
◆濃いキャストがそろっていますが、撮影中に面白かったこと、楽しかったことはありましたか?
広瀬:私は菜々緒さんと大島(美幸)さん、川栄(李奈)さんの4人で会議をするシーンを夜に撮影したんですが、疲れていたのかまず大島さんが全くせりふが出てこなくなったんです。私のほうにカメラが向いている時は、菜々緒さんと大島さんはカメラに背中を向けているんですね。顔は映ってないんですけど、菜々緒さんが大島さんの顔をチラッと見た瞬間にぶるぶるぶるって震えて、笑いをこらえられなくなって。それにつられて川栄さんも私も笑って、20、30テイク撮りました。
永野:そんなに!?
広瀬:うん。最初はスタッフさんも笑っていたけど、どんどんとんでもない雰囲気になっていきました。全員せりふが出てこないし、かむし、最悪な状況になっちゃって。今もそのシーンを見ると当時を思い出して笑っちゃうんですよね(笑)。ある意味すごく面白かったけど、スタッフさんには申し訳ないことをしたと思っています。
◆永野さんは撮影時に印象的だったことは?
永野:すごく印象的だったのは、みんな血だらけなのにカットがかかった瞬間に「疲れたねー」くらいのフラットな空気になったことです。カットがかかるとみんな普通にベンチに座るんです。その光景が今になってよく考えると変だったなって。ただ単に普通に仕事をしているだけだから、終わったら「よいしょ」ってベンチに座るんだけど、みんな血が出てるってシュールじゃないですか。写真を撮っておけば良かったなって思います。
広瀬:確かにすごいシュールだった(笑)。私なんて朝7時、8時に奇声を発して新宿のど真ん中を走りましたからね。「何やってんだろう」って後日思いました。
永野:そうなんですよね。後日思うんです(笑)。
広瀬:その時は全然分からないよね。この現場って変なんだって、他の現場に行ってあらためて思いました。
PROFILE
永野芽郁
●ながの・めい…1999年9月24日生まれ、東京都出身。主な出演作に、連続テレビ小説『半分、青い。』、『3年A組–今から皆さんは、人質です–』『親バカ青春白書』、映画「俺物語!!」「君は月夜に光り輝く」など。今後の出演作に、7月スタートのドラマ『ハコヅメ〜たたかう!交番女子〜』、映画「キネマの神様」(2021年8月6日(金)公開予定)、映画「そして、バトンは渡された」(2021年10月29日(金)公開予定)がある。
広瀬アリス
●ひろせ・ありす…1994年12月11日生まれ。静岡県出身。主な出演作に連続テレビ小説『わろてんか』、『釣りバカ日誌~新入社員 浜崎伝助』シリーズ、『探偵が早すぎる』『ハラスメントゲーム』『知ってるワイフ』、映画「氷菓」「巫女っちゃけん。」「AI崩壊」「サイレント・トーキョー」など。
作品紹介
映画「地獄の花園」
2021年5月21日(金)より全国公開
(STAFF&CAST)
脚本:バカリズム
監督:関和亮
出演:永野芽郁、広瀬アリス、菜々緒、川栄李奈、大島美幸、勝村政信、松尾諭、丸山智己、遠藤憲一/小池栄子
(STORY)
日本経済を支えるOLたち。一見、華やかな職場の裏では地獄のような派閥争いが行われていた。直子(永野)はすてきなOLライフを夢見る普通のOL。ある日、彼女の職場にカリスマヤンキーOLの蘭(広瀬)が中途採用で入ってくる。2人は友達になるが、蘭がトップに立った直子の会社が全国のOLたちから狙われてしまう。
© 2021 『地獄の花園』製作委員会
●photo/関根和弘 text/佐久間裕子