青森県・津軽を舞台に、メイドカフェでアルバイトする人見知りな少女の奮闘と成長を描いた映画「いとみち」。三味線を弾く時、爪にできる溝“糸道”を名前の由来に持つ主人公・いとを演じた駒井蓮さんに、津軽弁や三味線などの役作りについて聞きました。
◆青森県出身の駒井さんだけに、津軽地方を舞台にした本作の思い入れは強かったと思います。
原作は、私が小学生の時から図書室の目立つところで紹介されていたんです。なので、その時に読んでいましたし、将来、俳優になったら演じてみたいとも思っていたぐらいでした。今回出演オファーを頂いた時は「おっ!」と思ったのですが、主人公の身長が146㎝の設定だったので、「身長が高い私でいいのかな?」とも思いました。
◆主人公・いとの役作りとして、まず訛りの強い津軽弁があったかと思います。
上京して5年ぐらいたっていて、いとの訛りは、私のおばあちゃんよりも強い訛りで…(笑)。津軽弁ならではなの舌の使い方や口の形が違ったりはするんですが、お芝居の時はいとらしくあえて滑舌を悪くし、モゴモゴしながらその訛り具合を出すのは難しかったです。
◆さらに津軽三味線に関しては、9か月ほど特訓されたそうですね?
音楽としては頻繁に聴くことはあっても、三味線に触ったことは全くありませんでした。それでドキドキしながら練習に行ったのですが、案の定全然音が出せず、音が出るまでに、2か月ぐらいかかりました。ギターのようにフレットがあるわけでもないですし、バチの使い方もたたいたり、弾いたり、引っかけたり、いっぱい技があるんです。これまでピアノやギターをやっていたので、音感はあるのですが、三味線より難しい楽器があるのかな? と思うぐらい大変でした。
◆祖母役の西川洋子さんは津軽三味線の巨星・高橋竹山さんの弟子ですが、共演されていかがでしたか?
西川さんは私が三味線を習った師匠と流派が違うこともあって、弾き方が全く違ったんです。そのため、2人でセッションするシーンでは、何の曲をどのようにやるかと何度も話し合いました。結果、2人の弾き方は違っても、違う世代が同じ曲を演奏するという味わいを出しているんです。でも、セッションする時はドキドキしました。
◆父親役の豊川悦司さんとの共演はいかがでしたか?
打ち合わせの時に初めてお会いしたんですが、その時に監督を交えて、相馬家について話し合いました。ただお父さんとのシーンはけんかばかりということもあり、現場に入ってからは、豊川さんと話した記憶があまりありません。あえて私との距離を取られていたのかもしれません。ただ最終日に突然、身長について「170cmあるでしょ?」って言われました(笑)。実際にはないのですが。
◆いとがアルバイトするメイドカフェの面々との撮影エピソードを教えてください。
みんな世代が違うのに、仲が良くて空き時間にふざけ合ってわちゃわちゃしてましたし、昼ご飯も一緒に食べていました。黒川芽以さんが頼りになるお姉さんで、私が悩んでいる時も相談に乗ってくださいました。横田真悠ちゃんは天然な感じが、中島歩さんは独特なテンポ感が面白いんです。撮影が始まったころに監督に「ちょっと距離感が近い」と言われましたが(笑)、そんなメンバーだったからこそ、みんなで支え合いながら撮影を乗り越えられたと思います。
◆本作は「大阪アジアン映画祭」において、グランプリ&観客賞を受賞しました。横浜聡子監督作の魅力を教えてください。
横浜さんが描く登場人物は、クセがあって面白くて、キャッチーなのにどこか繊細だということ。あとせりふがない静寂のシーンが魅力的なんです。そのシーンを見るだけで、その人の生き方や考えみたいなものが見えてくるんです。今回、撮影中からすてきな作品になると思っていましたが、青森県外の方に評価されたことはうれしいと同時に、びっくりもしました。
◆そんな「いとみち」は駒井さんにとって、どのような作品になりましたか?
今回、私の中でテーマだったのが、「いかに自分を生かすか」ということだったんです。いとは状況によって表情やしぐさが変わるキャラで、こういうタイプですとは言い切れない子でした。そこで監督と微調整していきながら、自分の体や表情の使い方を教えてもらいました。口や目の開き具合で、見え方が大きく変わるんです。高い身長も含めて、そうやって自分のコンプレックスや弱点みたいなものを隠すのではなく、あえて使っていきました。完成した作品を見た時に、それがしっかり出ていてとても思い出深い作品になりました。
PROFILE
駒井 蓮
●こまい・れん…2000年12月2日生まれ。青森県出身。O型。主な出演作に『ウソかホントかわからない やりすぎ都市伝説 ザ・ドラマ「きさらぎ駅」』『珈琲いかがでしょう』、映画「名前」「町田くんの世界」「朝が来る」など。
作品紹介
映画「いとみち」
2021年6月18日(金)青森先行上映 &6月25日(金)全国公開
(STAFF&CAST)
監督・脚本:横浜聡子 原作:越谷オサム
出演:駒井蓮、豊川悦司
黒川芽以、横田真悠、中島歩、古坂大魔王、ジョナゴールド(りんご娘)、宇野祥平、西川洋子
(STORY)
相馬いと(駒井)は、津軽三味線が得意な青森・弘前市の高校生。津軽三味線を弾く時に爪にできる糸道に名前の由来を持つ。強い津軽弁の訛りにコンプレックスを持ち話すことが苦手で友人も少ないが、芯はじょっぱり(意地っ張り)。一大決心をして津軽メイド珈琲店でのアルバイトを始めたことをきっかけに、祖母(西川)、父(豊川)や、幸子(黒川)、智美(横田)らアルバイト仲間たち、学校の友達の早苗(ジョナゴールド)に励まされ、16歳のいとは成長していく。
ⓒ 2011 越谷オサム/新潮社 ⓒ2021『いとみち』製作委員会
●photo/関根和弘 text/くれい響 hair&make/宮本奈々 styling/津野真吾(impiger)
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