「Seventeen」のモデルとして活躍し、最近は話題の映像作品に数多く出演して注目を集める秋田汐梨さんが、初めての舞台「目頭を押さえた」(6月4日(金)初日)に挑む。「稽古場で感じること、体験することの全てが刺激的で毎日がすごく楽しいです!」と話す彼女に、本番に向けての思いを伺った。
◆ついに初舞台ですね! 最初に出演のオファーがあった時はどんなお気持ちでしたか?
お話を頂いた時はびっくりしました! それまで舞台を見たことがなく、自分が出演するということも考えたことがなかったんです。だから、ただただ驚くことしかできなくて(笑)。それに漠然とですが、舞台は難しいというイメージがあったので、私にできるのかな…という不安がありました。出演が決まってからは、今回の脚本を手掛けていらっしゃる横山拓也さんの舞台(「逢いにいくの、雨だけど」)を観劇する機会を頂きました。そこで “舞台ってこういう世界なんだ!”と、演劇の魅力を知ることができました。
◆実際に見てしまったことで、大変さやプレッシャーを感じることはなかったんですか?
見たことによるプレッシャーは全くなく、すごくいい経験でした。その時に見た作品は舞台のセットが抽象的で、その分、自分の頭の中で景色を想像しながら見ていたんです。それがすごく楽しくて。また、何よりも物語が面白かったので、勉強をしに行ったはずなのに、途中から完全に見入ってしまってました(笑)。観劇後も “この物語を書いた方の世界に私も入れるんだ”と考えたら、とてもワクワクしましたね。
◆では、今回の「目頭を押さえた」を読んだ印象は?
山々に囲まれた、とある地方の村が物語の舞台になっています。林業の話や伝統的な葬儀の風習など、さまざまなことがテーマとして描かれていて、最初に読んだ時は一度に全てを理解できませんでした。でも決して難しい内容なわけではなく、そこに家族の話や友情、高校生なら誰もが悩む進路についてなど日常的な話題も盛り込まれていて、共感できるところがたくさんあるんです。読めば読むほど、いろんな捉え方ができるし、深みのある作品だなと感じました。
◆そうした中で、秋田さんが演じる中谷修子はどんな女の子ですか?
第一印象は元気で明るい女の子。等身大で、高校生でありがちな悩みも持っていて、それを良くも悪くも、全部言葉や行動に出してしまうから、その場にいるいろんな人を巻き込んでいくんです。私自身はそういうタイプではないので、最初はどう演じていこうか悩みました。また、(同じく主人公である)遼ちゃんと比べると、遼ちゃんのような特別な才能もないし、大きな目標を持って生きているわけではなくて。だから、いつも一緒に並んで歩いていたはずの友人が、いつの間にか先に進んでしまったのを目の当たりにして、焦りを感じたりもする。そうしたところにすごく共感できました。
◆遼とは関係性も実はちょっと複雑だったりしますよね。
そうなんです。幼なじみであると同時に、いとこ同士でもあるんです。血のつながりや親戚付き合いがあるから、仮にけんかをするとちょっと厄介で(苦笑)。今回の作品では、そういった関係性があるからこその感情も、丁寧に描かれています。そこに寺十(吾)さんの演出が加わり、一人で台本を読んだ時には想像もしていなかった関係性になっていっているので、私もすごく驚いています。
◆楽しみです! また、その遼を演じるのが乃木坂46の筒井あやめさん。一緒に共演していかがですか?
筒井さんは私より2歳下で、現役の高校生なんですが、“私が高校生だった時って、あんなに落ち着いていたかな?”と思うほど、しっかりされています。物静かで、会話をしていてもいつも丁寧な言葉で返してくれますし。ご本人は人見知りで緊張しているからとおっしゃるんですが、全然緊張しているようには見えないです。それに以前、“普段はどんな感じなんだろう?”と思って、筒井さんのライブ映像を見たことがあったんですが、稽古の時には見せないような表情をされている瞬間があって。きっとまだ私の知らないいろんな魅力をお持ちなんだろうなと思い、もっともっと筒井さんのことを知りたくなりました。
◆稽古場では秋田さんから話しかけることが多いんですか?
それが実は、私も結構な人見知りなんです(苦笑)。お互い人見知りで緊張していたので、最初は全然会話ができなかったですね(笑)。そのうち、周りの先輩方が場を盛り上げてくださって、みんなで一緒にいろんなことをしていくうちに、少しずつコミュニケーションが取れるようになりました。コロナ禍でなければ、お稽古が終わってから一緒に食事に行ったり、もっと距離をぐっと縮められたのかなと思うのですが、今回はかなわず残念です。稽古場での雑談もあまり頻繁にできなくて。ちょっとずつ時間をかけながら、役柄と同じような関係性を築いていけたらいいなと思っています。
◆初めての舞台稽古はいかがですか?
毎日稽古をしていく中で、少しずつ物語の理解も深まっている気がします。それに、毎日同じせりふを言っていてもお芝居がどんどんと変化していくので、常に学んだことをしっかりと積み重ねていけるように頑張っています。
◆映像の現場とは違い、1か月かけて役を作り上げていく作業は刺激的だったのでは?
いろんなことが新鮮でした。お稽古に入る前に、寺十さんと本読みをする機会を頂いたのですが、この時間は本当にありがたかったです。お稽古がどういうものなのか未知数でしたが、スタッフさんや寺十さんとお話をできたことで、少し安心して臨むことができました。実際にお稽古に入ってからは、最初の一週間は全員で読み合わせしました。そこで、まずはこの物語に出てくる村はどんな感じなのか、長年にわたって受け継がれている伝統は彼らにとってどれほど大事なものなのか、といった意見をみんなですり合わせていって。そうやって共通認識を持った上で立ち稽古に移っていったので、頭の中で物語の世界観がイメージしやすかったです。
◆寺十さんの演出やダメ出しで印象に残っていることはありますか?
私にとっては全部印象的なのですが…(笑)。中でも、私が演じた後に必ず、「今、どうしてそういうふうに動いたの?」とか、「今のせりふを言った時、どういう感情だった?」といったことを細かく聞いてくださるんです。普段、人間って無意識に動いたり、言葉を発したりすることが多いと思うので、行動の1つひとつに対して説明することがすごく難しくて。でも、そうやって客観的に考えることで、より修子の心の中が見えてきますし、役と一体化していくことで感情の出し方にも無理がなくなっていくんです。これは今後の映像のお仕事にも絶対に生かさせることだと思いますし、すごく勉強になりました。
◆ちなみに今回はW主演ですが、秋田さん自身は修子と遼だとどちらが自分に近いと思いますか?
どちらかというと…修子かな(笑)。
◆そうなんですね。先ほど人見知りだとおっしゃっていたので、遼に近いのかなと思ってました。
人見知りは最近ちょっとずつ克服できてきているんです。初対面の方に自分から話しかけることはまだ苦手なのですが、相手側から話しかけてくだされば、会話はできるようになりました(笑)。
◆なるほど。また、最近は女優としてのお仕事も増えてきていますが、役に集中するあまり普段の生活でも役柄に影響されることってありますか?
引っ張られることはないです。…と自分では思っているんですけど(笑)。でも、以前「惡の華」に出演した際、作品の内容が結構重たくて。あとになって友人から、「あのころは暗かったよ」と言われたことがあります(笑)。なので、知らないうちに影響を受けているのかもしれないですね。今回の作品は明るい役でよかったです(笑)。
◆では最後に、この舞台で楽しみにされていることを教えてください。
お稽古をしていると毎日発見の連続なのですが、そうした発見は本番に入ってからも続いていくそうなので、千秋楽を迎えるころには私の中でこの作品がどのように変化しているのか、今からワクワクしています。また、いろんな先輩方から「舞台の面白さはお客さんの反応を生で感じられるところ」と伺ったので、劇場にいらっしゃっている皆さんがどこで笑い、何を感じ取ってくださるのかもすごく楽しみですね。そして今回は大阪公演もあるんです! 私は京都出身で、大阪公演には家族と高校時代の友人や先生も見に来てくれる予定なので、大切な人たちに初舞台を見てもらえることもうれしく思っています!
PROFILE
秋田汐梨
●あきた・しおり…2003年3月19日生まれ。京都府出身。O型。主な出演作に『ホームルーム』『3年A組–今から皆さんは、人質です–』、映画「惡の華」「映画 賭ケグルイ」など。今後の出演作に映画「星空のむこうの国」(2021年7月16日より全国公開)がある。
作品紹介
パルコプロデュース
舞台「目頭を押さえた」
(STAFF&CAST)
作:横山拓也
演出:寺十吾
出演:筒井あやめ(乃木坂46) 秋田汐梨/林翔太/枝元萌 橋爪未萠里 大西由馬/山中崇 梶原善
【東京公演】
2021年6月4日(金)~7月4日(日)会場:東京芸術劇場・シアターイースト
【大阪公演】
2021年7月6日(火)~7月7日(水)会場:サンケイホールブリーゼ
【愛知公演】
2021年7月9日(金)会場:名古屋市芸術創造センター
●photo/金井尭子 text/倉田モトキ
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2021年6月18日(金)23:59