国内はもとより、世界中のアニメファンに支持されている『シドニアの騎士』が劇場版最新作でついに完結! 地球を破壊され、巨大な宇宙船「シドニア」で旅を続けながら未知の生命体・ガウナと戦う人類たち。今作ではTVシリーズのラストから10年後の世界を展開。そこで、天才的パイロット・谷風長道を演じる逢坂良太さんと、人間とガウナによって生み出された白羽衣つむぎ役の洲崎綾さんのお2人に、劇場版の見どころや、TVシリーズでの思い出をたっぷりと振り返っていただきました。
◆ファン待望の劇場版です! 制作の知らせを聞いた時のお気持ちはいかがでしたか?
逢坂:最初に劇場版の話を聞いたのは、確か瀬下(寛之/総監督)さんと食事に行った時だったと思うのですが…。
洲崎:そうですね。
逢坂:TVシリーズの放送が終わってからも時々瀬下さんたちと食事に行く機会を頂いていたんです。そうしたら、ある日何気なく、「劇場版が決まりました」とおっしゃって。あまりにもさらっと言うものだから驚くに驚けず(笑)、後になって少しずつ実感が湧いてくるという感じでした。
洲崎:TVシリーズ第2期が終わったのが今から6年前で、ちょうど原作も同じくらいの時期に完結されたんですよね。それもあって、“続きはいつやるんだろう?”とずっと期待して待っていましたし、“ついに続きが!”という喜びもありました。
逢坂:また何と言っても、この物語をアニメでも完結させられるということがすごくうれしかったですね。たとえどれだけ人気のある作品でも、原作のラストまでアニメ化されることって本当に難しいので。
◆プレスコに向けて脚本を読んだ時は、どのような印象を持ちましたか?
逢坂:第一印象は…(脚本が)分厚いなと(笑)。
洲崎:私も同じだった!(笑) でも、“すごく分かりやすい物語になっているな”とも思いました。『シドニア』には専門用語がたくさん出てくるので、集中して見ていないと、たまに置いていかれそうになることがあるんです。ですが今回は劇場版ということで、初めてご覧になる方も多いと思うんですね。そうした初見の方々にも理解しやすい脚本になっているなと。それに、10年後の世界のお話になっているので新鮮な部分もたくさんあって。しかも完成した映像を見るとみんなちょっと凛々しくなっているんです。
逢坂:一番雰囲気が変わっていたのはやっぱり(谷風)長道だったね。長寿のキャラクターが多い中で、長道は普通の人間と同じように年齢を重ねるから、時間の流れを表現しようとすると成長や生き方が現れて、顔つきが自然と変わります。だからか、予告映像とかを見て、驚いているファンの方も多かったみたいで…(苦笑)。
洲崎:長道以外で大きく変化を感じたのは…小林艦長かな?
逢坂:そうだね。雰囲気が柔らかくなったし、人間らしさも出ていて。
洲崎:その一方で、(白羽衣)つむぎは当然ながら全く変わらずでした(笑)。もちろん、10年がたち、シドニアの艦内の仲間ともすっかりなじんでいたので、時々お姉さんぶっているようなところもあるんですが(笑)、そうしたちょっとした違いがあるものの、これまでと同じかわいさを感じてもらえるように意識して演じていましたね。
◆また、今回はキャッチコピーに“身長差15メートルの恋”とあるように、長道とつむぎの恋の行方もキーとなっています。お2人は彼らの恋をどのように感じていましたか?
逢坂:シドニアの中にはいろんな種類の人間がいて、一緒に生活しているんです。ですから、誰もが種族の違いや見た目の違いを気にしないように、長道もつむぎとの身長差なんて何も気にかけていなかったと思います。
洲崎:そうだね。それにつむぎは融合個体で、長道は特殊な生い立ちの人間なので、だからこそ、似たもの同士として共感できる部分もあるでしょうし、ちゃんと心と心で会話できているんだろうなと思います。
逢坂:ただ、つむぎ自身はちょっとだけ自分の容姿というか、自分の存在の違いを周りと比べて気にしているところがあるけどね。でも、長道はそれすら全く気にしていなくて。
洲崎:気持ちがいいくらい意識していない(笑)。
逢坂:むしろつむぎに対して、“なんでそんなことを気にしてるの?”って不思議に思っているぐらい(笑)。けど、そうやって相手の気持ちを考えられるようになったところにも長道の成長を感じます。これまでの長道だと、不安がっているつむぎを見て“どうすればいいんだろう?”って悩んでいただけでした。それが劇場版では、ちゃんと“僕はこう思ってるよ”って自分の考えを伝えられている。そうやって成長した長道だからこそ、よりつむぎと心で通じ合えて、2人の関係を強く前に進められたのかなと思います。
◆ちなみに、ご自身の役に共感する部分や憧れる部分はどこでしょう?
逢坂:人見知りなところは同じです。ただ、先ほどもお話ししたように、長道はどんどんと自分の意見を周りに言えるようなっていったので、そこはすごく尊敬しますね。戦いの場などで焦っている時も、ただ自分の感情に身を任せるのではなく、しっかりと先のことを考えて意見を言えるようになっているし。そうした成長は素直にうらやましく思います。
洲崎:私がつむぎに対してすごいなと感じるのは…やはり、かわいいところに尽きますね。特殊な風貌をしていますが(笑)、作品のファンの方からも“かわいい!”と言っていただけて。
逢坂:確かに、登場するたびにかわいくなっていったよね。
洲崎:もちろん、そういうふうに感じてもらえるのはアニメーションを作ってくださっているスタッフさんたちの素晴らしい演出があってこそなんですけどね。…あ、あと、私の声もね!
逢坂:……。
洲崎:ちょっと〜! 今のところはちゃんとツッコんでくれなきゃ!!(照笑)
逢坂:いや、照れて赤くなるぐらいなら言わなきゃいいのに(笑)。
◆では、これまでのTVシリーズも含めて、印象に残っているシーンを挙げていただくと?
洲崎:TVシリーズの第2期はラブコメといいますか、コミカルな要素も結構多かったんです。つむぎの動きもすごくかわいかったりして。特にこたつに入ったり出たりするシーンは大好きでした。第1期だと、星白(閑)と長道のエピソードはどれも思い出深いです。一緒に海中浮遊槽や重力祭に行ったり。それに戦闘に出た星白機が大破して、宇宙を何日間か漂流するエピソードでは、生死をさまようギリギリな状況なのにどこかロマンチックな感じがして好きでしたね。
逢坂:すごくすてきなシーンだったよね。2人の命を救ったあの貴重な水を後に公式が「星白水」とか出すから(2015年、講談社漫画賞の贈呈式で参加者に配られた非売品)ネタみたいになって(笑)。
洲崎:そうだった、そうだった(笑)。『シドニア』にはそういうバズる要素がたくさんあったよね。それも含めて、やっぱり原作の弐瓶(勉)先生は天才だなって思った。
逢坂:いや、「星白水」に関しては、ひと言も原作でそんなワード出てこないんだけどね(笑)。
◆逢坂さんが印象に残っているエピソードは?
洲崎:光合成のシーンじゃない?(笑)
逢坂:光合成のシーンはどうだろう…基本的に女性たちにボコボコにされる場面ばかりだから、あまり思い出したくないなぁ(苦笑)。
◆では最後に、お2人にとってこの『シドニアの騎士』はどんな作品になっていますか?
逢坂:最初にもお話ししましたが、収録が2013年から始まり、そこから原作の最後までアニメでやり遂げることができたのが何よりもうれしいです。またこの8年間ずっと、スタッフさんや原作者の弐瓶先生、それにキャストのみんなと一緒に、それぞれの思いを注ぎ込んできました。そうした熱量がたっぷりと詰まった作品に参加できたことが本当に幸せだったなと思います。
洲崎:この作品は、関わっている全ての人たちの熱量が本当にすごいんです。だからなのか、テレビシリーズが終わって6年ぶりに収録で再会しても、そんなに長い期間、皆さんと離れていたという感覚もなくって。そうした思いで作られてきたこのシリーズが劇場版で完結するということに喜びを感じますし、この物語の終わりをぜひ劇場で見届けてほしいですね!
PROFILE
逢坂良太
●おおさか・りょうた…8月2日生まれ。徳島県出身。O型。今後の出演作は映画「さよなら私のクラマー ファーストタッチ」(2021年6月11日(金)公開)が待機中。
洲崎 綾
●すざき・あや…12月25日生まれ。石川県出身。最近の出演作に『バック・アロウ』『ふしぎ駄菓子屋 銭天堂』などがある。
作品紹介
映画「シドニアの騎士 あいつむぐほし」
2021年6月4日(金)よ全国公開
(STAFF&CAST)
原作/総監修:弐瓶勉
総監督:瀬下寛之 監督:吉平 “Tady” 直弘
脚本:村井さだゆき
出演:逢坂良太、洲崎綾、豊崎愛⽣、⾦元寿⼦、
櫻井孝宏、佐倉綾音、喜多村英梨、⼤原さやか、坪井智浩、⼦安武⼈、
新井⾥美、⽥中敦⼦、本⽥貴⼦、⿃海浩輔、阪脩、佐藤利奈、能登⿇美⼦、
内⽥雄⾺、上村祐翔、⽔瀬いのり、岡咲美保
(STORY)
未知の生命体・ガウナに地球を破壊され、かろうじて生き残った人類は巨大な宇宙船「シドニア」で旅を続けていたが、100年ぶりにガウナが現れた。再び滅亡の危機に襲われた人類だったが、人とガウナから生み出された白羽衣つむぎや人型戦闘兵器・衛人のエースパイロットである谷風長道の活躍により、ガウナを一旦撃退。何とか勝利を収めたのだった。あれから10年――。シドニアの人々は、つかの間の平和を楽しんでいた。つむぎも、今やシドニアの英雄となった長道に思いを寄せながら、穏やかな日々を過ごしている。だが、艦長・小林は分っていた。ガウナがいる限り、この平穏は長く続かないことを。そして、人類の存亡をかけ、最終決戦を決断する。愛する人を守るため、シドニア最後の戦いがついに始まった。
©弐瓶勉・講談社/東亜重⼯重⼒祭運営局
●photo/干川 修 text/倉田モトキ
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2021年6月18日(金)23:59