◆作品からは意外な真実を知ることもたくさんありました。例えばジェンツーペンギンたちが群れの中で走っているのは、実は子供たちの足腰を鍛えるためだったり。
そうなんです。ただ見ているだけだと、親子やきょうだいでかわいく追いかけっこをしているようなんですけど、実際はめちゃめちゃスパルタで(笑)。“そうかぁ、こうやって毎日を過ごしながら大人になり、それが次の子供たちにも受け継がれていくんだな”って、命の連鎖のようなものを感じました。しかも何がすごいって、誰かに教わるわけではなく、ましてや言葉や文字で伝えていくわけでもなく、本能で引き継がれていくんですよね。それを思うと、私たち人間は言葉が使えるのに人見知りとかしているのはもったいないって思ったりして(笑)。“もっとしっかり生きなきゃ!”と背筋がピンとなる思いでした。
◆では、特に印象的だった生き物はいましたか?
親子の映像はすごくかわいかったですね〜。どの世界でも赤ちゃんという存在は癒やしであり、希望なんだなと思いました。それといろんな生き物たちの求愛の仕方も面白かったです。どれもちょっとヘンテコで(笑)。興味深かったのはズキンアザラシ。オスの鼻の穴の中からちょうちんが出てきて、それをぶつけ合ってメスを取り合うんですよね。しかも、血が出るほど攻撃し合っていて。また、激しく威嚇し合うオーストラリアコウイカもそうですが、まさに男と男のけんかのようで、“これ、マジなやつだ!”と思いました(笑)。もちろん、本能で戦っているのでどれも真剣なんですけど、何となく海の生物たちって、時間の流れもゆっくりで、どこか優雅に生きている勝手な印象があったんです。でも、とっさの時の動きが驚くほど俊敏だったり、結構けんかっ早いところもあるんだなと思って(笑)。そうしたアグレッシブな面を知れたのも大きな発見でした。