◆監督から見たプロデューサーとしてのさんまさんはいかがでしたか?
渡辺:アニメにチャンスを下さったことがうれしかったですね。その期待に応えたいと思いました。僕はさんまさんの大ファンなので、喜ばせることができればすごいことだなと。
さんま:今日知ったんですが、渡辺監督はすごい賞をもらっていらっしゃるんですよ。
大竹:本当に今日知ったの?
さんま:うん。『ドラえもん』をやっていらっしゃるのは知ってますよ。でもそんなにすごい賞を獲ってるとは知らなかってん。申し訳ない扱いをしたなぁと。
渡辺:いえいえ(笑)。テレビで見て笑わせてもらった方に返すことができるチャンスは、なかなかないですからね。一緒にお仕事をして、あらためてさんまさんは貪欲に面白いものを追求しようとしていらっしゃるなと思いました。良いものを作ろうという熱量があるので、プロデューサーとしても素晴らしい方だと思いましたね。
さんま:悩んだシーンほど良くなりますからね。このままいってもええけど、でも待てよ、もうちょっと悩もうかというのは、舞台の時も思います。
◆アニメの製作に携わったことで、アニメならではの楽しさは見つけられましたか?
さんま:もっと以前からアニメ製作に参加していれば、現場に行って画にも関われただろうな、そしたらどれだけ楽しかっただろうと思いました。例えば、キクコをぺっちゃんこにしたい、肉子を壁にくっつけたい、そういうアニメだから表現できることっていっぱいあるんですよね。私が憧れている「ロードランナー」(『ルーニー・チューンズ』シリーズ)という昔のアニメでは、ワイリー・コヨーテというキャラクターがぺっちゃんこになったり、100m上から落ちても平気なんです。それってアニメならではじゃないですか。今回もアニメならではの表現をたくさん入れていただきましたが、アニメならもっと遊べるなと思いましたね。
PROFILE
明石家さんま
●あかしや・さんま…1955年7月1日生まれ。奈良県出身。B型。主なレギュラー番組は『踊る!さんま御殿!! 』(日本テレビ系)、『ホンマでっか!?VT』『さんまのお笑い向上委員会』(ともにフジテレビ系)など。Netflixドラマ『Jimmy〜アホみたいなホンマの話』でも企画・プロデュースを務めている。
大竹しのぶ
●おおたけ・しのぶ…1957年7月17日生まれ。東京都出身。A型。1975年映画「青春の門–筑豊編–」のヒロイン役で本格的デビュー。以降、舞台、映画、テレビドラマなど、幅広いジャンルで才能を発揮。現在、Bunkamuraシアターコクーンで上演中の舞台「夜への長い旅路」に出演している。
渡辺 歩
●わたなべ・あゆむ…1966年9月3日生まれ。東京都出身。テレビアニメ『ドラえもん』で原画、作画監督、演出などを手掛ける。主な監督作はテレビアニメ『宇宙兄弟』『恋は雨上がりのように』など。映画「海獣の子供」では第74回毎日映画コンクールアニメーション映画賞などを受賞。
作品紹介
劇場アニメ映画「漁港の肉子ちゃん」
2021年6月11日(金)より全国公開
(STAFF&CAST)
企画・プロデュース:明石家さんま
監督:渡辺歩
キャラクターデザイン・総作画監督:小西賢一
原作:西加奈子
脚本:大島里美
アニメーション制作:STUDIO4℃
出演:大竹しのぶ、Cocomi、花江夏樹、中村育二、石井いづみ、山西惇、八十田勇一、下野紘、マツコ・デラックス、吉岡里帆
(STORY)
愛情の深さからダメ男にひかれ、何度もだまされてきた母・肉子ちゃん(大竹)と、しっかりもので大人びた性格の小学5年生の娘・キクコ(Cocomi)。母の恋が終わるたびに放浪していた二人は北の港町へと流れ着く。肉子ちゃんは焼き肉屋さんで働き始め、キクコは地元の小学校に転入。キクコは女子グループの抗争に巻き込まれたり、不思議な少年・二宮(花江)との出会いを通じて、少しずつ成長し、漁港の町をどんどん好きになる。そんなある日、肉子ちゃんとキクコの大きな秘密が明らかになる。
©2021「漁港の肉子ちゃん」製作委員会
●text/佐久間裕子