花江夏樹「どれだけ一緒にいて愛情を注いだか…気持ちの面でのつながりが大事なんだと思いました」映画「漁港の肉子ちゃん」

特集・インタビュー
2021年06月11日

◆花江さんは肉子の娘・キクコの同級生、二宮役。二宮をどんなキャラクターだと思って演じていらっしゃったのでしょうか。

二宮は物語の本筋に関わるわけではなく、キクコとの会話を通して彼女にとっての大切なものを思い出させるような、キクコを導いていくようなキャラクターです。二宮は不思議な子で会話をしているようでしていないというか。監督からは「自分の言いたいことを一方的に投げかけるような子」というディレクションがあったので、それを意識してやってみました。なので、多分この作品に出て来る登場人物の中では一番声が小さいんじゃないかなと…声優だけど(笑)。そんな印象を受けましたね。

◆小さい声ということはいつもより音量を抑える感じなのでしょうか。

二宮ってそんなに大きく口を開かないんです。だからそんなに大きな声を出さなくてもいいかなと思いました。普段人がしゃべる時って、良い声を出そうとか、響く声を出そうとは思わないじゃないですか。小学生はなおさら気が抜けている時はダラダラしゃべるだろうし。声優としての技術的なことよりも、口から自然と漏れ出た言葉のほうがいいかなと思って演じた感じでしたね。

◆今までの花江さんの声よりも落ち着いたトーンのように感じました。

今回は大竹さんとCocomiさんがメインなので、お二人のテイストに合わせようと思いました。お二人とも型にハマらないというか、声優としての技術というよりは、実写に近いお芝居をされるんだろうなと思ったんです。だから二宮もそんなに作り込まず、ただそこに立ってしゃべっているような感じをイメージしました。

◆二宮は誰も見ていないところで変顔をしたりする不思議な子ですが、共感できるところはありましたか?

僕もジッとしていられないところがあって、変顔まではいかないけど、インタビューを受けていても紙をイジってしまったりしますね(笑)。それから彼は一人であるものを作っていて、僕も小さいころは集中して没頭するタイプでした。一人っ子で一人遊びが得意だったんで。あと二宮は目が隠れるくらい髪を伸ばしていて、人と接するのがあまり得意じゃないのかなとも思いました。僕も今はそれほどでもないけど、小さいころは人見知りな部分もあって共感できましたね。

  1. 1
  2. 2
  3. 3
  4. 4