◆矢部さんとしては、やや消化不良だったんですか?
そうですね(笑)。“もう一回録り直していただいても…”とも思ったんですけど、「全然、大丈夫です!」と言っていただいて。というのも、僕の中ではちょっとリハーサルっぽいテンションだったんです。生意気にもね(笑)。きっとも2〜3回はやるだろうから、最初はやや抑え気味にして、次はもっと声を張っていこうと。そしたらまさかのOKで。まぁ、とは言っても、僕には抑え気味か張り気味の2パターンしかないので、今回は抑え気味が採用されただけのことなんですけど(笑)。
◆なるほど(笑)。では、作品についてもお伺いします。応援隊長ということで、既に本編をご覧になったかと思いますが、どのような印象を持たれましたか?
僕もずっと子供のころからサッカーをしてきたので、感情移入するところが多かったです。この作品はのんちゃん(恩田希)と呼ばれている中学生の女の子が男の子に交じってサッカーをするというお話で、体の成長とともに、どうしてものんちゃんは男子に力で負けてしまうんですよね。僕も高2の時に大阪府選抜の選考のためのトレセン(トレーニングセンター)に招集されたことがあるんですが、そこで落とされた理由が“体の線が細すぎる”ということだったんです。だから、のんちゃんの気持ちが痛いほど分かって。悔しくて仕方がないという彼女の思いも、すごく伝わってきました。“自分が出れば戦力なのに!”っていう自信も実力もあるのに、けがをしたら危ないという理由で試合に出してもらえない。ただ、それでものんちゃんは諦めないんですよね。…そこは僕と全然違うところでしたから、違う意味で心が痛かったです(苦笑)。
◆と、言いますと?
僕はぬるま湯で育ちましたから(笑)。僕の場合は同じ男子同士であったにも関わらず、背の高い選手にフィジカルで負けて、選抜を落ちて、腐ってしまって。のんちゃんに共感はしましたけど、一緒にしたらアカンなと、ちょっと恥ずかしくなりましたね。