◆この作品を通して、結婚観に新たな気づきはありましたか?
最初に台本を頂いた時は、1か月で“離婚”ってなることが衝撃的でした。自分自身が結婚した時は相当な覚悟だったというか。お互いに顔も名前も表に出ている人間っていうこともあるのかもしれないですけど、「もし不倫とか離婚とかしたら、この会見の映像が一生使われるよね」なんて言いながら(笑)、本当に重い覚悟で結婚会見もしたので。ドラマでは、売り言葉に買い言葉みたいな感じで「離婚よ、離婚!」となるので、自分の価値観とは全然違うところを役としてどう割り切って演じようかというのがテーマの1つでした。この役を演じたから結婚観が変わったとか、そういうことはあまりないです。やっぱり“離婚”って軽はずみに言っちゃいけないって、演じていても思いましたし。咲はけんかになったら印籠を出すみたいな感じで、すぐに「じゃあ離婚よ!」って言うんですよ(笑)。33歳で、5年付き合って結婚を考えた男の人に「結婚できない」って言われて別れて、そうしてようやく結婚できたのに、何でそんなこと言うんだろう…と考えだすとすごく難しかったです。
◆撮影を終えて家族への考え方に変化はありましたか?
このドラマ全体を通して言いたかったのは、夫婦の数だけそれぞれの夫婦の形があるし、家族も家族の数だけ在り方があるってこと。“これが完璧な家族”とか、“これが理想的”とかじゃなく、いろんな形が家族にあっていいんじゃないかと伝わる最終話になっていると思います。他人同士は気が合わなかったら“さよなら”でもいいんですけど、家族ってやっぱり切っても切れないからこそいろいろ難しい問題とかもあると思うんです。でも、家族だからこそ乗り越えられる問題もあるんだな、絆ってあるんだなって、自分でも演じながら思いました。
◆永山瑛太さんとの印象的なエピソードはありますか?
6話ぐらいまで、セットのシーンは撮影とは別にリハーサルする日があったんです。まず本読みをして「ここのせりふに血が通ってないよね」とか、どうしたら生きた言葉になるのか話し合って言い回しを変えたりして。毎回瑛太さんがアイデアを出してくださるんですけど、“あ、そうすればいいのか”と思うことがいっぱいありました。5話に咲が「じゃあ、あなたが仕事を辞めて家庭に入ってもらう訳にはいかないの?」って聞くシーンがあるんですけど、台本で読んだ時はそこまで緊張感のあるシーンになるとは想像できなかったんです。でも、2人でリハーサルするうちに「ここは本気でやらないと“なんでこの人たち離婚したんだろう”ってなるよね」っていう空気になっていって。瑛太さんも話しかけちゃ悪いかなと思うぐらい、すごく集中されていました。この時に関しては、“こうしようああしよう”って言うわけじゃなく、“降りてきた”という感じでしたね。