◆夫婦のすれ違いやいさかいで、共感する部分はありましたか?
自分自身が共働きの夫婦なので、5話のお互いの大事な仕事が重なってしまった時、仕事と家庭のバランスに悩むっていうのがすごくリアルだと思いました。どちらかが仕事を辞めて家庭に入る訳にはいかないのか、でもそうする訳にもいかない…っていう葛藤にすごく共感できましたね。咲は、担当している水無月先生(白洲迅)に誠実に向き合いたいと思っていて。紘一さんにももちろん向き合いたいんだけど、どちらかと言うと水無月先生は外の方だから、そっちに丁寧になっちゃって。“夫は家族なんだから分かってくれるだろう”とどうしても家族に甘えがちになってしまうって、すごくリアルだなって。自分でも“気をつけよう”ってやりながら思った回でしたね。実際、夫が帰ってきても私が仕事の電話をしていたり、夫が話したい時に私が時間を取れなかったり、そういうことはよくあって。そのたびに「もうちょっと話し合う時間が取れたら…」「今、仕事にかかりっきりで向き合えてないよな」って自己嫌悪になる時もありましたから。特に今回は連続ドラマで主演するということで、4か月間、家を空ける時間も長かったですし。子供がいるので、親にもすごく協力してもらって。相手の親も含め、家族総出で何とか育児と家庭を回していった感じだったので、まずこのドラマが終わったら家族にみんな「ありがとう」と言いたいです。“負担かけてるな~”“我慢させてるよな~”って思う4か月だったので、家族には本当に感謝でいっぱいです。
◆北川さん自身がキャリアを積む中で、咲のように仕事で悩むことはありましたか?
17歳でデビューして、若いころは休みの期間があるとすごく不安でした。「1か月何も演じてないけど大丈夫かな?」って。その間に他の同年代の女優さんが活躍してるのを見ると、自分は怠けてるんじゃないかとか、“もっと働かなきゃ”って思ってましたね。29歳で結婚しましたが、それまでは仕事だけに生きるのが当たり前でした。結婚してからもその前に決まっていた仕事が2、3年あったので、籍は入れたもののしばらくあまりスタンスは変わらず、仕事優先みたいな感じで。本当にここ数年でしょうか、“このペースじゃ自分も年齢的に難しいな”“子供や家庭とも向き合いたいな”という気持ちになってきたのは。どっちが大事かなとは、迷わなかったですね。ずっと“仕事が命”っていうのがこの世界で生きていく上で当たり前だと思っちゃってて。お互いの仕事が忙しいのが分かった上で結婚してますし、やりたい仕事はもちろんお互い反対しないです。長期ロケとかあっても「どうぞどうぞ」みたいな感じで。それも含めて尊重するって感じてやってました。子供が出来るまでは、同居人みたいな感じでしたね。相手がそういう職業っていうのも含めた結婚だったので。私がドキュメンタリーの仕事で10日間海外に行ったり、夫もバラエティで遠方に行ったりして。だから、迷ったことはなかったです。若いころが一番悩みましたね。