6月18日(金)にいよいよ最終回を迎える『リコカツ』(TBS系)。先週放送の第9話で、「やっぱり一緒にいたい」と思いを伝え合った咲(北川景子)と紘一(永山瑛太)。しかし、咲にはパリで3年間の研修の話も持ち上がっていて…。果たして2人はどのような決断をするのか? 最後まで見逃せない第10話の放送に向けて、最終回のラストシーンの撮影を終えた直後の主演・北川景子さんのインタビューをお届けします!
◆ここまで咲を演じてきて、また最終回の撮影を迎えていかがでしたか?
このドラマが始まった時は、どんな最終回になるのか聞いていませんでした。クランクインした時も4話までの台本があったぐらいで、1、2話を撮っているころは、まだ本当に離婚するのかも分からなかったんです。咲と紘一は6話で離婚しましたが、その準備稿を頂いた時も、私は“届に不備があって、実は受理されてなかったんじゃないか”“紘一さんは出したって言ってるけど、実は出してなかったんじゃないか”って思っていたほどで。離婚届を出してからも、“結末はどうなるんだろう?”って思いながら撮影していました。最終話を迎えますが、ネタバレはしたくないので(笑)、今言えるのは、私自身も素直に“こういう終わり方でよかった”と思える形になっています。
◆撮影を振り返ってみていかがですか?
リアルな時間軸で行くと、咲と紘一は1か月間しか結婚していないんです。離婚してからも半月しかたっていないけど、2人とも“やっぱりお互いしかいなかった”と確認する。すごく早く時間が過ぎていくので、そのドタバタ感も含めてリアルに皆さんに見ていただけるように1話から積み重ねてきました。「1か月で離婚してるんだからやり直しても無理じゃん」とか「半月でまた何言ってんの?」とか、ツッコミ出したらキリがないんですけど、ドラマとして、ラブコメとして皆さんに楽しんでいただけるにはどういうさじ加減でお芝居したらいいのかを常に考えてましたね。(永山)瑛太さんやプロデューサーの方たちとも、「このせりふよりも、こういう言い回しの方が伝わるんじゃないか」と毎回話し合ってここまで築き上げてきたので、最終話の台本が出来上がった時は、“ここに向けて撮影して行こう”っていう着地点が見えたというか。“後は安心して、最後までいいものを撮るだけ”という達成感がありました。
◆この作品を通して、結婚観に新たな気づきはありましたか?
最初に台本を頂いた時は、1か月で“離婚”ってなることが衝撃的でした。自分自身が結婚した時は相当な覚悟だったというか。お互いに顔も名前も表に出ている人間っていうこともあるのかもしれないですけど、「もし不倫とか離婚とかしたら、この会見の映像が一生使われるよね」なんて言いながら(笑)、本当に重い覚悟で結婚会見もしたので。ドラマでは、売り言葉に買い言葉みたいな感じで「離婚よ、離婚!」となるので、自分の価値観とは全然違うところを役としてどう割り切って演じようかというのがテーマの1つでした。この役を演じたから結婚観が変わったとか、そういうことはあまりないです。やっぱり“離婚”って軽はずみに言っちゃいけないって、演じていても思いましたし。咲はけんかになったら印籠を出すみたいな感じで、すぐに「じゃあ離婚よ!」って言うんですよ(笑)。33歳で、5年付き合って結婚を考えた男の人に「結婚できない」って言われて別れて、そうしてようやく結婚できたのに、何でそんなこと言うんだろう…と考えだすとすごく難しかったです。
◆撮影を終えて家族への考え方に変化はありましたか?
このドラマ全体を通して言いたかったのは、夫婦の数だけそれぞれの夫婦の形があるし、家族も家族の数だけ在り方があるってこと。“これが完璧な家族”とか、“これが理想的”とかじゃなく、いろんな形が家族にあっていいんじゃないかと伝わる最終話になっていると思います。他人同士は気が合わなかったら“さよなら”でもいいんですけど、家族ってやっぱり切っても切れないからこそいろいろ難しい問題とかもあると思うんです。でも、家族だからこそ乗り越えられる問題もあるんだな、絆ってあるんだなって、自分でも演じながら思いました。
◆永山瑛太さんとの印象的なエピソードはありますか?
6話ぐらいまで、セットのシーンは撮影とは別にリハーサルする日があったんです。まず本読みをして「ここのせりふに血が通ってないよね」とか、どうしたら生きた言葉になるのか話し合って言い回しを変えたりして。毎回瑛太さんがアイデアを出してくださるんですけど、“あ、そうすればいいのか”と思うことがいっぱいありました。5話に咲が「じゃあ、あなたが仕事を辞めて家庭に入ってもらう訳にはいかないの?」って聞くシーンがあるんですけど、台本で読んだ時はそこまで緊張感のあるシーンになるとは想像できなかったんです。でも、2人でリハーサルするうちに「ここは本気でやらないと“なんでこの人たち離婚したんだろう”ってなるよね」っていう空気になっていって。瑛太さんも話しかけちゃ悪いかなと思うぐらい、すごく集中されていました。この時に関しては、“こうしようああしよう”って言うわけじゃなく、“降りてきた”という感じでしたね。
◆瑛太さんと作り上げていったシーンですね。
泣くはずじゃなかったシーンで泣くこともありました。区役所の前で「離婚届を出したところだ」って言われて咲が泣いて…っていうシーンも、あそこまでドラマチックになるとは思わなくて。お互い手を離したくないっていうのも、やってみて生まれたものでした。台本だとサラリと書かれてるシーンが、瑛太さんと実際にやると“あ、ここがドラマチックなんだ”って分かるんです。2人で「ここは言葉はいらないよね」って思った時は、せりふもナシになったりして。そういう提案は、いつも瑛太さんがしてくださってました。
◆ご主人のDAIGOさんのツイートも話題になっていますが、ご家族の反応はいかがですか?
家族も楽しんで見てくれていましたね。特に母は「宮崎美子さんや三石琴乃さんに共感できる」って言ってました。老若男女問わず、登場人物の誰かに自分を重ね合わせることができるのがこの作品のいいところなんだろうな~と感じていました。
◆胸キュンシーンの反響も大きかったですが、実感は? ご自身がキュンとするシーンはありましたか?
現場では、“ここは胸キュンさせるシーンだよね”という意識はあまりなくて。そこを狙って作っていた作品でもないですし。個人的に、瑛太さんと私の身長差がいいって言われてるのが「そうなんだ~!」って意外でした。3組の離婚を考えてる家族のホームドラマがベースにあって、そこにちょっとラブコメが散りばめられてる…ぐらいに考えていて、完全に“胸キュン”というふうには思っていなかったのでビックリしましたね。
◆北川さんがお気に入りのシーンはありましたか?
好きなシーンで言うと、3話で旅館に行って雨が降ってる中、咲と紘一が会話するんですけど。「雨宿りをしてるのかも」っていうせりふが好きでした。意外と2人が初めてちゃんと本質的な部分を見せ合った場面という感じがして。あと、貴也(高橋光臣)が傘をパーンって投げるシーンがすごく好きでした。「結婚を前提にやり直さないか」っていう、7話ですかね。そこは王道でトレンディーなシーンになったなって思います。私、貴也推し…というと失礼かもしれませんが、最後まで“貴也って人間的に問題ないよな”と思いながらやっていました。でも、咲は結構失礼なことをしてるんですよね。「あなたとは付き合えない」って言ってるのに、お姉ちゃんとかお母さんの案件はやってもらってて(笑)。そういう意味でも、貴也はすごく心が広いですよね。
◆夫婦のすれ違いやいさかいで、共感する部分はありましたか?
自分自身が共働きの夫婦なので、5話のお互いの大事な仕事が重なってしまった時、仕事と家庭のバランスに悩むっていうのがすごくリアルだと思いました。どちらかが仕事を辞めて家庭に入る訳にはいかないのか、でもそうする訳にもいかない…っていう葛藤にすごく共感できましたね。咲は、担当している水無月先生(白洲迅)に誠実に向き合いたいと思っていて。紘一さんにももちろん向き合いたいんだけど、どちらかと言うと水無月先生は外の方だから、そっちに丁寧になっちゃって。“夫は家族なんだから分かってくれるだろう”とどうしても家族に甘えがちになってしまうって、すごくリアルだなって。自分でも“気をつけよう”ってやりながら思った回でしたね。実際、夫が帰ってきても私が仕事の電話をしていたり、夫が話したい時に私が時間を取れなかったり、そういうことはよくあって。そのたびに「もうちょっと話し合う時間が取れたら…」「今、仕事にかかりっきりで向き合えてないよな」って自己嫌悪になる時もありましたから。特に今回は連続ドラマで主演するということで、4か月間、家を空ける時間も長かったですし。子供がいるので、親にもすごく協力してもらって。相手の親も含め、家族総出で何とか育児と家庭を回していった感じだったので、まずこのドラマが終わったら家族にみんな「ありがとう」と言いたいです。“負担かけてるな~”“我慢させてるよな~”って思う4か月だったので、家族には本当に感謝でいっぱいです。
◆北川さん自身がキャリアを積む中で、咲のように仕事で悩むことはありましたか?
17歳でデビューして、若いころは休みの期間があるとすごく不安でした。「1か月何も演じてないけど大丈夫かな?」って。その間に他の同年代の女優さんが活躍してるのを見ると、自分は怠けてるんじゃないかとか、“もっと働かなきゃ”って思ってましたね。29歳で結婚しましたが、それまでは仕事だけに生きるのが当たり前でした。結婚してからもその前に決まっていた仕事が2、3年あったので、籍は入れたもののしばらくあまりスタンスは変わらず、仕事優先みたいな感じで。本当にここ数年でしょうか、“このペースじゃ自分も年齢的に難しいな”“子供や家庭とも向き合いたいな”という気持ちになってきたのは。どっちが大事かなとは、迷わなかったですね。ずっと“仕事が命”っていうのがこの世界で生きていく上で当たり前だと思っちゃってて。お互いの仕事が忙しいのが分かった上で結婚してますし、やりたい仕事はもちろんお互い反対しないです。長期ロケとかあっても「どうぞどうぞ」みたいな感じで。それも含めて尊重するって感じてやってました。子供が出来るまでは、同居人みたいな感じでしたね。相手がそういう職業っていうのも含めた結婚だったので。私がドキュメンタリーの仕事で10日間海外に行ったり、夫もバラエティで遠方に行ったりして。だから、迷ったことはなかったです。若いころが一番悩みましたね。
◆最終回に向けて、視聴者にメッセージを!
9話の最後で、「一緒に歩んでいくためには自分は変わる」「私も変わる」と言った紘一と咲が、結局本当に変われるのか、というのをまず見ていただきたいです。そして、咲にパリで3年間研修という話が持ち上がっていますが、紘一さんは「別居婚はできない」と言っていて。咲も仕事は諦められなくて。自分が誇りに思っている仕事を捨てるのは違うと互いに思う中で、どういうところに折り合いをつけて、どうやって2人はやり直すことにするのか。多分、視聴者の方もそこが気になってると思います。ここまで仕事と家庭の両立に悩む姿をリアルに描いてきたこのドラマだからこそ、最後にきれいごとで終わらせるのはよくないと思っていますし、皆さんに「そうきたか!」思っていただける終わり方ができたと思うので、最後の最後のラストシーンまで、2人がどうなるかを楽しみにしていただきたいです。私自身、今までは“強い女性で、バリバリ働きます!”みたいなキャラクターを演じることが多くて、こういうホームドラマは初めてやらせていただいたんじゃないかと思うんです。今回すごく等身大で人間らしいというか、自然体な役をやらせていただきました。すごく難しかったですが、この作品で久々に連ドラができて本当によかったなと思っています。それは、視聴者の皆さまが応援してくださって、この作品をより成長させていただけたからだと思います。皆さんがいて、この10話のマラソンを走り続けることができました。とにかく見てくださった方々に「ありがとうございました」とお伝えしたいです。そして、どうか最終話までお付き合いください。よろしくお願いします。
PROFILE
●きたがわ・けいこ…1986年8月22日生まれ。兵庫県出身。O型。主な出演作に『家売るオンナ』シリーズ、『悪夢ちゃん』シリーズ、『フェイクニュース』、映画「ファーストラヴ」など。映画「キネマの神様」が2021年8月6日(金)公開予定。
番組情報
金曜ドラマ『リコカツ』
2021年6月18日(金)最終回
TBS系 後10・00~10・54