◆マリは奈緒さん演じる茉莉に、どこか似せようという意図はあったのでしょうか?
山西:茉莉とマリは違う人物なんだけど、2人の女優さんの持っている質感やニュアンスに関しては、どこか似ている雰囲気にしたいという思いはありました。ただ、現場で演出として、意図的に似せていこうという話は、天野さんとも奈緒さんともしていません。
天野:私も意識していませんでした。奈緒ちゃんは、もともとお友達なんですが、お互いに似てるねといった話をしたこともないし、そんなことを言われたこともないんです。でも作品を見た方から「2人の声が似ている」という意見を頂いて、ちょっとびっくりしました。
山西:作品の醸し出している雰囲気が「2人は似ている」とより思わせているのかもしれないですね。
◆現場で大変だったことなど、撮影時のエピソードを教えてください。
山西:昨年6月の撮影だったので、とにかくコロナ対策が大変でした。時期的にもガイドラインがまだ手探り状態で。ただ、現場は楽しかった印象が強いです。単純にチームとして空気がよかったのもありますし、僕はこれまで演劇の演出をやってきたのですが、違う大変さはあるにせよ、映画は演劇と比べていろんなことが分業されているので、頼もしいスタッフ・キャストのおかげで、作品全体の演出について集中して考える時間がじっくり取れたような感覚があり、新鮮でした。
天野:前原さんと私はお互いにクイズ大会したり、うそをつき合ったり、笑い合っていたり、めちゃめちゃコミュニケーションを取っていました(笑)。現場で大変だったことが思い出せないくらい楽しかったです。
山西:この映画を見た人が想像されるような現場の空気じゃなかったと思いますね。基本的に和やかでした。
前原:いい意味で、あほっぽいすてきなチームになっていました(笑)。こういうやりとりが苦手な役者さんもいると思うんですが、僕たちは心地良かったんです。ただ、僕個人としては、まだ主演というものがよく分かってなくて、そういう葛藤みたいなものはありました。歯車としての主演と、漕ぎ手としての主演。どちらであるべきか? 結果的には、潤滑油として流れに身を任せました(笑)。
天野:前原さんは、私がお芝居で悩んでいる時にポロッとアドバイスを下さったり、現場で助けてくださいました。