明日ついに最終回『着飾る恋には理由があって』新井順子プロデューサーインタビュー「SNSとどう付き合っていくかを描きたかった」

特集・インタビュー
2021年06月21日

622日(火)にいよいよ最終回を迎える『着飾る恋には理由があって』(TBS系 毎週(火)後10001057)。615日放送の第9話で、着飾ることに限界を感じてしまった真柴くるみ(川口春奈)が葉山祥吾(向井理)を頼り、一方の藤野駿(横浜流星)は着飾ることに悩む真柴は、彼女らしくないと訴えてしまう。真柴の恋の行方が気になる最終回を目前に、プロデューサーの新井順子さんから胸キュンシーンの裏話や、見どころを語っていただきました。

◆共感できる部分とドラマならではのファンタジー要素がちょうどいい作品だと思います。そのあんばいは監督たちとどのように決めていたんでしょうか?

塚原あゆ子監督はリアリティー重視の方。なので、提案したキュンを却下されることもあって(笑。そんな時は、棚澤孝義監督の回に再度キュンを提案したりして、何とか実現してもらおうと画策してました

◆そういった王道シーンの中での新鮮さを出すために気をつけた部分はどういったところでしょうか。

よくあるキュンシーンはやめようという話はしました。キスをするにしても、単にキスをしても面白くないからどうしようかと。2話でキスシーンを入れることになったんですが、まだ真柴と駿は好き同士ではないので、その中でキスをするっていうのは難しくて。“いい人かも”ぐらいの時に、どうしたらキスにつなげられるか、印象に残るキスになるかは考えました。

◆新井さんが印象に残っているキスシーンは何でしょうか?

2話の冷蔵庫前でのキスも、5話のキッチンカーからのキスもきれいに撮ってもらって良かったなと思っています。セットを作る前に、2話では冷蔵庫前でキスシーンがあることが決まっていたので、きれいに撮ってもらえるセットを作りました。冷蔵庫を大きくしておいて、芝居の流れで撮れるように配置されているんです。

◆演出からセットを組んだのですね。ほかに、新井さんがやりたいと思って生まれたシーンはありますか?

1話には、真柴と駿のラブ要素がなかったので、キッチンカーに乗る時にキュンとくることができたらなと思っていたんです。ですが、やれることは、シートベルトを着けてあげることぐらいしか思いつかなかったんです。強く引っ張りすぎるとシートベルトが出てこなかった時に、運転手の人にぐっと引っ張ってもらうのっていいなと、それを再現してみました。

◆8話で真柴が駿の口をむぎゅっとするシーンは、川口さんが発信だったとか。

その時は急に口をむぎゅってしたから、現場は大爆笑でした。撮影の前日にいろんなパターンを考えたらしいんですけど、川口さん的にはそれが一番良かったみたいです。かわいかったシーンでした。

◆9話の祥吾が真柴を抱き締めるかと思いきや、隠すというところは、視聴者もその空気に引き込まれたと思います。

現実から逃げたくなってしまう真柴を、逃げるなっていう駿と、駿の逆の立ち位置にいる祥吾という構図にしたかったんです。これまで、祥吾は真柴に接近させていなかったんですけど、これがラストチャンスなのではと思い、肩に顔をぐっと持っていくというのをやってもらいました。あの時の祥吾の白のパーカーは、最初は別の衣装だったんです。その衣装を着てもらった時にこれじゃない感があって、予備で用意していた白のパーカーになったんです。以前、向井さんに演じていただいた『わたし、定時で帰ります。』の種田晃太郎で、ファスナーが付いているパーカーを着てもらっていたので、それは絶対にやめようとなっていたんですけどね(苦笑)。今回も向井さんに白のパーカーを着てもらったんですが想像以上のパンチ力がありました。なので、評判がよいということで毎回パーカーを着てもらっていたら、初夏の設定なのに、いつも厚着になってしまいました(笑)。

◆さまざまなキュンとくるシーンがありますが、これは絶対入れたかったシーンはどこでしょうか?

先ほどの祥吾が真柴を隠すっていうのはやりたかったので、同じ家に住んでいるのに、道で待ち合わせしてほしいと頼みましたね。2話の冷蔵庫のキスも、3話の駿が真柴のスマホを奪って、電源を切ってしまうデジタルデトックスも狙いました。毎話「これやりたい!」と脚本の金子(ありさ)さんや、監督に提案して、採用されたり却下されたり、でした)。

◆8話では、駿がスマホを持ち歩いていないことで真柴と駿のすれ違いも描かれました。

どこかで駿にはスマホを持たせたいなと思っていたので、8話でそういったシーンを作りました。駿も真柴によって変わっていくっていうのがあったほうがいいかなと。その変化を作るために、スマホを取り出すのがベストだなと思いました。

◆ドラマの後半になって、祥吾の登場シーンが増えてきました。

祥吾には5~6話でドラマに戻ってこさせようと思っていて。前半は出ない話があっても良いかと思っていたのですが、脚本を作ってみたら、いろいろ登場したほうがいいと思い直し、毎話回想で少しずつ登場してもらいました。そのちょっと出しが良かったのか、祥吾が戻ってきた時には、想像以上に祥吾派が多くて、うれしかったですね。

◆視聴者の皆さんが駿派と祥吾派に分かれていますね。

五分五分になればベストかなと思っていたんですけど。とは言え、駿派が多いんだろうなと思っていたんです。ですが、1話放送後で半々くらいになってて。1話は、真柴が祥吾にキュンとしていたから、それが連動したんでしょうか。

◆陽人(丸山隆平)と羽瀬(中村アン)、香子(夏川結衣)と礼史(生瀬勝久)の関係性も見どころの1つだと思います。こだわったところはありますか?

陽人と羽瀬は30代なので、ちょっと大人の関係を意識しました。友達のような感じからスタートして、1話で香子さんが「一緒に住んでいると結婚が早い」みたいなことを言っていたりするので、結婚を意識させる展開にさせようと思って、陽人のプロポーズを入れました。香子さんも、「そうきたか」の選択をします。最終回、この二組がどうなるのかも楽しんで見ていただきたいです。

◆星野源さんの主題歌の流れるタイミングもかなり注目されていますが、これは最初から皆さんでこだわって決められていたのでしょうか?

編集の時点で、ここから始めてここで終わって、ここからかけ直すみたいなことは決めてやっていましたね。1話の時にラストをどう盛り上げようかとなって、1回切るということになりました。また、サイドBに入る予告の前にいったん上げるか、それとも違う曲をかけたほうがいいのか、いろいろ考えていく中で、またいだほうが盛り上がるなと思ったんです。最初は “追い星野源”だったんですけど、いつの間にか “おいげん”になっていました。

◆かなりSNSで“おいげん”が盛り上がっていますよね。

誰から主題歌がスタートして、誰から“おいげん”がスタートするか、キャストも注目しているようです(笑)。

◆最後に、この作品を通して伝えたいことは何でしょうか?

『着飾る恋には理由があって』というタイトルですけど、無理して着飾っているのがつらかったらやめればいいし、でも着飾るのが楽しい人だっているから、それはそれでいいんじゃないって思うんです。着飾る理由、生きる理由は人それぞれみたいなことですね。あとは、SNSをどう見るか。勇気づけられたりする一方、誹謗中傷されて落ち込んだりする。それとどうやって付き合っていくのかを描きたかったんです。

PROFILE

新井順子
●あらい・じゅんこ…2001年にTBSスパークルに入社。2008年からプロデューサーとして活動。これまで手掛けた作品は『Nのために』『アンナチュラル』『わたし、定時で帰ります。』『MIU404』など。

番組情報

『着飾る恋には理由があって』
2021年6月22日(火)最終回
TBS
系 後10001057

©TBS

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