関西を拠点に活動する“ちょうどいい”イケメン演劇集団・劇団Patchの連載「劇団PatchのLIFE GOES ON」がWebで出張連載! 誌面では語り切れなかったはみ出しトークを紹介しちゃいます!
舞台『「刀剣乱舞」无伝 夕紅の士-大坂夏の陣-』に出演中の近藤頌利さんに、舞台の見どころや共演者とのエピソード、今後の目標についても伺いました。
◆近藤さんにとって「刀剣乱舞」は今回が初参戦となります。
僕がまだ仕事もあまりない時に、東京で初めて見た舞台が「刀剣乱舞」初演のゲネプロだったんです。ただもう、すごいなって。それから5年越しに出演することになって。作・演出が、劇団Patchがずっとお世話になっていた末満(健一)さんということもあって、いつかは出たいなと思っていました。
◆実際に出演されてみていかがですか? やはり独特の世界観なのでしょうか?
独特ですね。今まで僕が出演した舞台の中でも、特に1人ひとりのキャラクターが強い作品だなと思います。演じるものが“人ではないもの(刀)”なので。
◆その“人ではないもの”を演じる難しさというのはありますか?
そうですね。ゲームが原作の作品も初めてですし、原作がゲームだと本当に絵と声だけが頼りなんです。アニメの声優さんも原作の漫画を見て声を出してらっしゃると思うので、今回はそういった声優さんのやり方も参考にしないといけない部分もあって。そういうところはやっぱり難しいですね。
◆近藤さん演じる「大千鳥十文字槍」はどういう設定のキャラクターでしょうか。
内面に熱いものを持っている誇り高いキャラクターです。一見クールに見えるけど、発する言葉が熱い。熱血ではないけれど、内に秘めた熱さというものを意識しようと思いました。あと、相方の泛塵(熊谷魁人)との対比も意識して演じています。
◆ものすごく長い槍を持ってらっしゃるんですよね。
はい。具体的な長さは言えないですが、だいたいバレーボールのネットくらいの高さです。
◆演じていて楽しいのはどういうところですか?
やっぱりアクションは楽しいです。命の駆け引きというか。リアルではなく安全にやってはいるものの、そういう“命を削っている感じ”が好きですね。
◆前回ご登場の星璃さんに槍を教わったと伺いました。
アクション経験もそんなにないですし、槍もやったことがなかったので、そのまま現場に行くのがちょっと怖かったんですよね。星璃君に「槍の基礎を教えてほしい」と連絡したら、快諾してくれて。槍を練習できる大きなスタジオを借りるとなるとなかなか大変なので、練習場所は公園とかでした。人が来ないような朝の時間帯を狙って。週1、2回、3週間ぐらい練習したと思います。自宅の近くに広い場所があるので、自主練もしました。昼間やると危ないので、深夜とかに黙々とやってました。
◆槍の変わりに何を使って練習されていたんですか?
量販店で買った180センチの棒です。でも現場に入って実際の槍を持つと全然長さが足りませんでした。それでも教えてもらっておいてよかったです。
◆ある程度、槍の基礎ができた状態で現場に入られたんですね。
そのつもりだったんですが、いざ現場に入ると…まあ大変でした。殺陣師の方が少し変わった手をつけたりされるので、苦戦しましたね。
◆あの長さで実際に人に当たらないようにするのが大変そうです。
当たったらすごく痛いんですよ! 遠心力がすごいので。今回の舞台ではアクティングエリアが2つあって、1つにはスクリーンがあるんですね。そのスクリーンの前のスペースが、僕が持っている槍の長さとそんなに変わらないので、そこで移動殺陣をするのが一番大変です。少しでも失敗したらスクリーンに当たりますし、人が入り乱れているので、結構神経を使います。お客様も近いですし、客席から見たら僕の槍がすぐ目の前にある感じなので、迫力あるんじゃないかな。
◆客席が360度回転するIHIステージアラウンド東京は、横にも広いんですよね。
僕が今まで出演した劇場の中でも断トツで大きいです。自分の立ち位置まで行くのに一回25メートル走してから出る、みたいな感じです。そしてはけるのにも25メートル、あくまで体感ですけど(笑)。端から端まで抜ける時は50メートル走してるみたいです。
◆まさに体力勝負ですね!
そうなんです。今後「刀剣乱舞」に出演される方は、トレーニングしてから出られた方がいいと思います。絶対、走り込んでからの方がいいです(笑)。
◆共演者の皆さんとのエピソードを教えてください。
今回の座組は、相方(熊谷魁人)以外、皆さん年上なので、時にはアドバイスをいただいたりもしています。一路真輝さんに「ミュージカルで合う役が多いと思うから、興味があるならいろいろ相談に乗るよ」言っていただいたのはすごくうれしかったですね。他にも野球が好きな方が結構いらっしゃるので、野球の話ばかりしてます。特に和田雅成さんや牧田哲也さんはすごく野球がお好きなので、よく話しています。鈴木拡樹さんには「野球に興味持ってください!」「いつか球場に行きましょう!」ってずっと言ってます(笑)。
◆劇団Patchメンバーの星璃さん、代役で急きょご出演された吉本考志さんとの現場でのエピソードはありますか?
通し稽古が終わった後に末満さんのチェックがあるんですけど、そのチェックを言い渡す係が劇団Patchの3人でした。僕が刀剣男子に、星璃が真田十勇士に、考志君がアンサンブルにそれぞれ伝えに行ってました。
◆ではあらためて、「刀剣乱舞」の見どころについて教えてください。
とにかく「これぞエンタメ」というエンターテインメントが繰り広げられています。アクションも多いですし、みんな超走り回ってます。ぐるぐる回る劇場なので、普通の舞台にはないIHIステージアラウンド東京ならではの迫力を味わっていただけると思います。「刀剣乱舞」というアトラクションに遊びに行く、という感覚で来ていただいたら楽しんでもらえるのかなと思います。
◆この舞台を通して近藤さんが得たものは?
一番は槍ですね。稽古初日に末満さんから「同世代の役者の中で一番槍がうまくなりな」って言われたんですよ。「槍の使い手と言えば近藤頌利だと言われるようになれ」と。今使っている槍以上に扱いにくい槍とは今後おそらく出会わないと思うので、自信をつけたいです。
◆特技欄(バレーボール、野球、水泳、跳躍)に槍が加わりそう?
そうなればいいですね(笑)。公演数も多いので槍の経験値はつくと思います。構えや力を抜く加減をいろいろ調整して、もっときちんとした見せ物として成長していきたいというのが今の課題。槍のせいで、右肩が2回りくらい大きくなりました(笑)。
◆2回り! 左右対称じゃないんですね。
スポーツをしていたので、もともと右肩の方が大きいんですけどね。毎日見てもらってるトレーナーさんには「ゴツくなったね。なんで役者になったの?」って言われてます(笑)。「もっと若いころに知り合ってたら、絶対アスリートにしたのに」って。筋肉の質がわりといいらしいんですよ。柔らかくて大きくて。「今からでも遅くないから、この身長とこのバネにもう少しお尻大きくしたら、いいピッチャーになれる」ってずっと薦められてます(笑)。
◆野球と言えば、7月20日(火)に東京ドームで開催される「ACTORS☆LEAGUE」に出場されますね。トレーナーさんもお喜びなのでは…(笑)。
「見たい!」って言ってました。「刀剣乱舞」のスケジュールが6月末までなのでちょっと難しいんですけど、「もっと時間があったら本物のトレーナーさんを紹介してプロのトレーニングを受けさせてあげたのに」って。そこまで入れ込んでくれてます(笑)。
◆9、10月には、兵動大樹さんと桂吉弥さんのW主演舞台の3作目『はい!丸尾不動産です。~本日、家で再会します~』へのご出演が決定しました。こちらは「刀剣乱舞」とはガラッと違う、大阪が舞台のホームコメディですね。
そうなんです。真逆の舞台で、どちらかというと日常に近い会話のお芝居になると思います。僕が今まであまりやってこなかったテイストの舞台ですね。演出のカンテレ・木村(淳)さんが、映像やドラマを作っていた方なので、そういうテイストのお芝居を身に着けられるいい機会なので楽しみにしています。
◆多方面でご活躍中の近藤さんですが、今後の目標を教えてください。
今までずっと舞台をやってきていますが、いずれは幅を広げて、いろんなお芝居に挑戦したいという気持ちはあります。そして何より、僕を見た人の心を動かせるような人間になりたいと思っています。そうなるために具体的に何が必要なのかは分からないですが、まずは目の前の仕事に集中してきちんと向き合っていけば、おのずとチャンスは巡ってくるのかなと。それから自分の短所を直して、長所も伸ばして。それを一番できるのは、やはり演劇だと思うので、舞台は続けていきたいです。あとは対人関係は大事にしていきたいです。僕、縁がつながることが多くて、人とのご縁で仕事させていただいているようなところもあるので。そういったご縁を大切に、深めていきたいと思います。仕事場では仕事の関係だけど、一歩外に出ると身内、みたいな関係を作りたいと思っています。
◆前回ご登場の星璃さんからのメッセージです。「僕は頌利の真面目な部分が好きや。ある意味営業妨害になるかもしれないけど(笑)。『刀剣乱舞』が始まる時も、すぐに『槍を教えてください』ってメールしてきたよね。頌利のそういうところが、ホンマに好き。頌利は華があるし、ポテンシャルも感じるし、僕も感化される部分が多い。これを機に“Wしょうり”として、2人でいろいろ活動しませんか? 2人芝居とかもやってみたいね」とのことです。
僕、真面目じゃないんですけど、やらないと人前に立てないから、やる。好きだから、より良くしたいためにやるって感じで。人に与えられたモノでなはく、自分の興味のあることだから。その代わり、興味がないことは全くやらないんですよ。「しょうり」呼びに関しては、ちょっと照れくさいですけどね(笑)。いずれは普通に呼べるようになると思います。イベントのMCとかいつもやってもらってますし、今現場も一緒ですし、2人で出る機会は増えましたよね。同じ名前の2人が組んで仕事するってちょっと恥ずかしいですけど(笑)、劇団内で2人1組になって何かするとか、そういう機会があれば組んでみたいです。
◆では次回ご登場予定の三好大貴さんにメッセージをお願いします。
らんくん(三好)に曲作ってほしいな。僕のテーマソング。「持ち歌あります」ってカッコいいじゃないですか。曲調は…、らんくんのフィーリングで。でもテーマソングとなるとポップな感じがいいか。締めに歌うならバラード。2曲必要ですね(笑)。詞は僕も入ります!
PROFILE
「演劇で大阪を元気にしたい!」という大きな志の下、関西を拠点としたさまざまなエンターテインメントを発信する演劇集団。中山義紘、井上拓哉、松井勇歩、竹下健人、三好大貴、星璃、吉本考志、近藤頌利、田中亨、納谷健の10人で構成。近藤、星璃が「舞台『刀剣乱舞』无伝 夕紅の士 -大坂夏の陣-」に出演中。納谷が舞台「タンブリング」(東京公演:6/17~24)に出演。近藤が舞台『はい!丸尾不動産です。~本日、家で再会します~』(大阪公演:9/4~7 姫路公演:10/3)に出演。「カンテレ×劇団Patchプロジェクト『マインド・リマインド~I am…~」のDVDがワタナベ商店(https://7net.omni7.jp/fair/patch)でオンライン販売中。
●text/青柳直子