現在放送中の『仮面ライダーセイバー』(テレビ朝日系)で、主人公の活躍を語る謎多きストーリーテラー・タッセルを演じているレ・ロマネスクTOBIさん。劇中では個性的なビジュアルとキャラクターでインパクトを残し、放送後にはTwitterでトレンド入りを果たすなど、たびたび注目を集めている。物語が終盤に向かう中、明日27日(日)放送の第41章ではついにタッセルに大きな動きが。放送を前に、あらためて自身の演じる役柄や今後の見どころなどについて聞きました。
◆あらためて『仮面ライダーセイバー』(テレビ朝日系)への出演が決定した当時を振り返っていかがですか?
当初オファーを頂いた時は「人間かどうか分かりませんが『世にも奇妙な物語』のタモリさんのようなストーリーテラー役です」とだけ聞いていたんです。それ以外の設定は本当に謎で(笑)。分かりやすく善悪があったりするわけではないので難しそうだなと思いましたが、逆に前例のない謎の役柄を演じられるということが本当にうれしかったので、「ぜひやりたいです」とお答えしました。
◆ビジュアルのインパクトもかなり強いですよね。どのように決まったのですか?
衣装合わせの時に、スタッフさんから「参考資料としていくつか服やカツラを持ってきてほしい」と言われていたので、家にあったステージ衣装や派手めの私服をダンボール6箱分くらいドサッと持って行ったんです(笑)。それらのアイテムを見ながら、衣装さん・持道具さん・監督さんたちと一緒に髪も含めて1から相談をして。他のライダーの皆さんとの色やアイテムにかぶりがないように決めていきました。衣装を着てみて、しっくりきたわけではないです(笑)。徐々に違和感に慣れていっただけで。おかげで人一倍愛着は湧きました。
◆お決まりのあいさつである「ボンヌ・レクチュール」も、タッセルのキャラクターを表しています。この言葉にもご自身のアイデアが反映されているんでしょうか?
はい。最初に台本を頂いた時は決め言葉はなくて。冒頭で発するせりふを、スタッフさん含めみんなでいくつか案を出し合ったんです。僕もエスペラント語(世界共通言語)の「アーモ(愛)パーチョ(平和)」や、スペイン語とラテン語の「アモール(愛)パクス(平和)」などいくつか候補を挙げていって。でも作品のテーマである小説と絡められるようないい決めせりふはないかと考えて、その中でフランス語の「ボンヌ・レクチュール(=良い読書を)」が一番しっくりきたんですよね。フランス語を取り入れることで貴族のような雰囲気が出せるし、ちょっとうさん臭くなるのが良いなと。そしたら採用されまして(笑)。タッセルの役を作っていく上で、ちょっぴり大げさな芝居になったのは、このあいさつがあったからこそですね。
◆他にも役作りで意識したことはありますか?
タッセルは主人公の飛羽真たちがいる現実世界の人間ではないので、ある程度のファンタジーさがあったほうがいいなと思い、できるだけ振り切って演じるようにしました。あと、物語が暗く、重い展開になった時に、タッセルがいるだけでその場が明るくなったと感じてもらえるような存在になりたいと思っていたので、明るさは常に意識していましたね。これまで放送されたライダーの作品で似たようなキャラクターがいると、視聴者の方から比べられてしまったり、自分自身もどこか意識してしまったりする部分があったと思うのですが、タッセルは唯一無二のキャラクターだと思うので、その点においては毎回楽しく演じさせていただいています。
◆明日27日(日)放送の第41章では、ついにタッセルが大きく動き出しますね。撮影現場では、主人公の飛羽真を演じる内藤(秀一郎)さんがTOBIさんのお芝居に飲まれてしまっていたというお話もお伺いしたのですが…。
ないない! 飲まれてないです!(笑)しっかり演じ切っていたと思いますよ。タッセルは、最初のころからずっと飛羽真推しじゃないですか。せりふでも「神山飛羽真に期待してるよ」と言っていたり。だから僕も実際に飛羽真と会えた時は、なんだか“推しメン”に会えたような気持ちになりました(笑)。これまでは一人での撮影が多かったので、41話では「やっと皆さんと共演できる!」とすごくうれしかったんです。ただ、これまでにないくらいの量のせりふを言わなければならなかったので、正直僕もいっぱいいっぱいで(笑)。あまりコミュニケーションを取れずに終わってしまいました。でも、ある意味タッセルは視聴者に一番近い立ち位置だったと思うので、自分が出演していない場面では客観的に周りを見ることができていたんじゃないかなと。キャスト同士の絆が深まっていく様子や、監督に言われたことを即座に理解して演じている様子が目に見えて分かって「1年前よりも成長してるんだな」と思いましたね。
◆『セイバー』は複数の監督さんがいらっしゃる分、それぞれの演出方法があり、指導の仕方も異なると伺っています。現実世界ではないからこその展開やそれに伴うユニークな演出もありますよね。
そうなんです。タッセルもこれまでに3人に分かれたり、風船で飛ばされたりといろいろな経験をしました(笑)。台本を読んでいても、タッセルのところだけト書きで“突飛なことをしながらボンヌ・レクチュール”などと、ざっくりとしか書いていないことがあって。もちろん監督の中ではイメージが定まっていると思うんですが、事前に教えていただけないので、現場に行ってから演出方法を知るんです(笑)。あと、現場だけにあるスケジュール表に“ワイングラス”“割れたカップ”などと小道具が書いてあるんですが、それを見て「今回は何かな?」と推理することもあります。本当に予想できない内容もありますが、普通のドラマだとそういった経験はできないと思うので貴重ですね。でもその演出シーンが盛り上がりすぎて、時々カットされてしまうこともあるんですけど(笑)。
◆ちなみにこれまでにはどんなシーンがカットされてしまったんですか?
例えば話の最後に入る予定だった「この先はどうなってしまうんだろう?」という一人語りが、飛羽真たちの戦いのシーンが増えたことで入り切らなくなってしまったり…。あと、実は手のアップを撮るためにマニキュアを塗ったこともあって。メークさんと相談して緑とシルバーを交互に塗ったんですが、結局放送では1回も映らなかったような気がします(笑)。いつかカットされたシーンをまとめたDVDが欲しいですね。
◆きっと振り幅のあるお芝居ばかりだと思うので、ぜひ見てみたいです。では、最後にTOBIさん自身の今後の展望を教えてください。
今回のタッセルも“謎のストーリーテラー”で、今『お伝と伝じろう』(Eテレ)で演じている役柄も、小学生だけどなぜか髭が生えているという謎のキャラクターなんです。なのでこれからは、謎の宇宙人、謎のお父さんなど、謎と付くものは全てやっていきたいなと思っています。“謎の専門家”として役を極めていきたいですね。
PROFILE
レ・ロマネスクTOBI
●れ・ろまねすくとびー…3月1日生まれ。広島県出身。B型。『仮面ライダーセイバー』(テレビ朝日系)のほか、『お伝と伝じろう』(Eテレ 毎週(月) 前9・10~)にレギュラー出演中。書き下ろし小説『七面鳥 山、父、子、山』が現在発売中。
番組情報
『仮面ライダーセイバー』
テレビ朝日系 毎週(日)前9・00~
●photo/大石隼士 text/矢嶋咲良
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2021年7月10日(土)23:59