◆この作品に携わることで、土村さん自身も“死”との向き合い方に変化はありましたか?
生きるということ、死ぬということをたくさん考えるようになりました。それでもまだ、自分にもいつか死が訪れることに対する実感が沸かないというのが正直なところです。ただ、自分が最期を迎える時、「ライオンの家」のような場所だったり、全てを受け入れてくれるマドンナさんのような人がいてくれたらいいなぁとすごく思いました。そうした考えが新たに私の中に生まれただけでも、この作品に参加できてよかったなと思います。
◆なお、このドラマのタイトルは「ライオンの家」の居住者たちが思い出のおやつをリクエストできる「おやつの時間」からきていますが、土村さんならどのようなお菓子をリクエストしますか?
これはすっごく悩みます(笑)。よく現場で共演者の皆さんともこの話をするんです。でも、なかなか決められなくて。ドラマではリクエストの書かれた紙を箱に入れて、その中から誰の希望なのかが分からないようにランダムで選ばれるので、私はたくさん書いて入れちゃいそうです(笑)。思い出のお菓子と聞いてふと頭をよぎるのは、母が作ってくれた紅茶とりんごのケーキ。それは子供のころ、私が友達に自慢できたものの一つでもあって。母は働きっぱなしで、ずっと家にいるということもなく、そんな中、特別な時に作ってくれていたのが、このケーキでした。なので、それをリクエストしたいなぁと思いつつ…でもやっぱり一つには絞れないです(笑)。
◆そのケーキのレシピは教えてもらったんですか?
当時は私も手伝っていたんですが、言われるがままのことしかしていなかったので、分量とかまでは分からないんです。母も本を見ずにちゃちゃちゃっと調理していたので。そう考えると、まねしようにもまねできない、唯一無二の母の味だったのかもしれません。
◆ドラマでも描かれていますが、それぞれがリクエストするお菓子の一つひとつにもそうしたいろんな思い出が詰まっているのがすてきですよね。
そうなんです。お菓子と一緒に思い出もみんなで頂いているんだなと思います。