◆柳沢さんが書かれた詞を読んでみて、いかがでしたか?
渋谷:タイトルに「名前」という言葉が入っているんですけど、僕が学生時代、“名前”に対して、ただ個人を象徴する、いち記号の意味合い以上のものを見いだせていなかったことを思い出しました。例えば、眼鏡は眼鏡、携帯電話は携帯電話を表す。それ以上でもそれ以下でもないじゃないですか。でも、それが人の“名前”になると少し変わってくるんだなって。
◆なるほど。
渋谷:例えば、今日、田中さんという人に会って「田中さん、はじめまして」と言った時と、今日から10年後に同じ田中さんに会って「田中さん、こんにちは」って言った時では、「田中さん」に込めるエネルギーの量が違う気がするんですよね。10年後の「田中さん」には、僕が田中さんと過ごした10年間の思い出がグッと詰まっていると思うし、僕でしか呼べない呼び方になっていると思うので。それってなんだかすごくすてきじゃないですか。だから17年目に入った僕たちの軌跡を考えると、僕たちにぴったりな楽曲になったと思うし、僕たちが歌うことによってとても強いものになるんだろうなと思いました。
上杉:僕は時間を感じさせないような楽曲だなって。時計に縛られて生きていくこの世界とは違うところになるような、広い世界のことを描いた不思議な曲だなと思いました。
◆大切な人を守るためにパラレルワールドを行き来する主人公の熱い思いや愛も、歌詞にリンクしているなと感じました。ちなみに、皆さんは「東京リベンジャーズ」という作品はご存じでしたか?
柳沢:僕はもともと全巻読んでいたくらい大好きな作品でした。
上杉:僕はよく行く整体の先生に勧められて、整体に置いてある漫画を家に持ち帰らせてもらって読んでいました(笑)。
一同:(笑)。
柳沢:だから主題歌に決まった時はすごく光栄でしたね。
渋谷:過去を変えるために時空を超えるという一見突飛なテーマを持つ作品ですが、僕たちも1度メジャーから落ちて挫折した経験があって、当時悔しい思いをしたことやできなかったことを、こうやって時間をかけて回収してきているので。1つずつ丁寧に自分の思いを落とし込みながらやり直していく主人公の姿には、シンパシーを感じました。