◆いつもの収録と比べて、声の出し方にも違いがあるんですか?
発声の仕方自体はそれほど大きく変わるわけではないんです。でも、結果的に違っているということはあります。また、語弊があるかもしれませんが、お互いが積極的にぐいぐいとコミュニケーションを取っていく古きよきキャラクターたちの感情の出し方と言いますか、主に感情のぶつけ合いですね(笑)。最近のアニメは、どちらかというと達観していたり、我関せずみたいな反応をするキャラクターが多いので、そうした部分も演じていて新鮮ですね。
◆既に発表になっているキービジュアルを見ても、拓馬はアツそうな主人公ですもんね。
そうなんです。強面だし、言葉遣いも荒いので、取っつきにくそうに見える。でも彼の行動原理をたどっていくと、人思いで優しい面もある。他人に対して直接的な優しさを見せつけるわけではないのですが、どこかにじみ出ている部分もあって。そうしたところが彼の人間味につながっているのかなと感じています。それに、拓馬は頭が切れるし、度胸もあって、どんなことにも挑戦する。それ故、求心力もあるので、まさに主人公らしい人物だなと思います。とは言え、それほどまでにいろんな要素を持ったキャラクターを演じるとなると、本当に大変で。いつもアフレコの前日は“できるかなぁ”と思いながら家で必死に練習しています(笑)。
◆主人公が強面で言葉遣いも荒いというお話にもリンクしますが、『ゲッターロボ』シリーズは、ロボットアニメとはいえ、作品全体にややダーティーさがあるのも魅力の1つですよね。
僕も初めて原作やシナリオを読んだ時、“あれ?(拓馬が乗る)ゲッターアークって敵じゃないよね!?”という印象を持ちました(笑)。フォルムや見た目もそうですが、ちょっと悪魔的と言いますか、あまり類を見ない雰囲気のロボットだなと思ったんです。でも、ロボットアニメってもともと非現実的な世界観で描かれることが多く、その意味では、ロボットアニメが好きな僕としては、久々にアニメならではのインパクトのある機体が出てきたなと感動しました。また、拓馬たちは敵と戦ってはいますが、果たして彼らをヒーローと呼べる存在なのかも分からなくて。本人たちは間違いなくヒーローだと思って戦っていませんしね(笑)。そうした他にない不思議な世界観だけに、初めて見る方には“なんか、すげぇロボットアニメが現れたぞ!”という衝撃を与えられるのではないかと思っています。