今年6月に最終回を迎えた人気アニメ『七つの大罪』の劇場版が7月2日(金)から全国公開中。今作にゲスト声優として出演している麒麟の川島明とNON STYLEの井上裕介のインタビューをお届け。オファーを受けてから実際にアフレコするまでの心境をはじめ、原作の大ファンだというお2人が本作の魅力をたっぷり語ってくれました。
◆劇場版の声優としてオファーを受けた時の状況を覚えていらっしゃいますか?
川島:僕ら、2人とも声優のお話を頂く前から原作漫画が大好きで、アニメも見ていたんですが、お話を聞いたのは結構前なんですよ。ね?
井上:そうそう。僕はルミネ劇場のエレベーターの前で聞きました。プロモーション系からルミネ劇場の配属に代わったマネージャーに「前の部署の最後の置き土産として、井上さんに声優の仕事を入れておきましたので」とすごい上からの感じで言われました(笑)。その時はこの世界に入ってからの僕の夢の1つが、声優としてお仕事をすることだったので、夢がかなったなと。幸せでいっぱいでしたね。
川島:僕は楽屋でマネージャーから『七つの大罪』からお声が掛かってますよ、と言われました。それが昨年の秋くらいで、「マジですか。やります、やります!」と答えてから何も音沙汰がなくなったんです。
井上:そう!
川島:これはまた何か問題が起きたのかなと思ったんですよ。
井上:2回目の緊急事態宣言が出て、延期になったり中止になるアニメーション作品もあったので、(劇場版は)なくなったんやと思っていました。
川島:映画自体がなくなったのか、映画は作られているけど、僕らの出番がなくなったのか…楽しみすぎたので、「(あの話は)なくなりました」と言われるのが怖くて、マネージャーに確認もできませんでした。
井上:分かるー!
川島:で、2月下旬くらいかな。たまらんようになって、(小声で)「『七つの大罪』どうなってるのかな?」って聞いたら「(スケジュールは)入っています」と言われて、「そう」と平静に返したけど、内心「やったー!」と大喜びでアフレコの日を迎えました。なので、ホンマに名誉に思っています。
井上:分かりますわー。僕も兄さんと一緒で不安でした。テレビ東京でアニメを紹介する番組もやっているのに、全く話が漏れてこなかったんですよ。だから完全になくなったんやと思っていました。
川島:それくらい不安でしたね。だからお話を聞いた時と、本当にやると知った時、二度うれしかったです。
◆お2人とも<十戒>と呼ばれる10人のキャラクターのリーダー、ゼルドリスに仕える魔神役を演じられましたが、役柄について知ったのはいつごろですか?
川島:アフレコの10日くらい前にこういうデザインですと、先にキャラクターデザインを見せていただきました。鈴木央先生描き下ろしのキャラクターでしかも僕ら2人に寄せたキャラクターだったので、めちゃくちゃうれしかったですね。その絵を描いていただいただけでも感謝です。
井上:僕はアフレコの前日にキャラクターデザインを見ました(笑)。ゼルドリスに忠誠を誓っているキャラクターですが、見た目は完全に川島さんと井上になっているので、そこを見ていただけたらと思います。僕のキャラは劇中では全身映ることはないんですが、全身見ていただいたらピエロ感があるんです。魔神なんですけど、鈴木先生が井上の陽気さやポジティブさをピエロっぽい衣装で表現してくれたのかなと勝手に思っています。
◆川島さんはいかがでしたか?
川島:川島がムキムキになったらって感じのキャラクターです。僕より首が3倍くらい太いので、相当低い声で頑張りました(笑)。今こうしてしゃべっている声よりも、相当低く、下から聞こえるような声になっていますが、非常に紳士的なキャラクターだったので、丁寧な言葉遣いで収録しました。
◆アフレコのために準備されたことがあれば教えてください。
井上:川島さんとご一緒するということでしたので、川島さんは低い声のキャラクターを求められているんだろうなと思いました。なので、僕が低い声にするのも違うなと。だからといって、ハイトーンの高い声にするのもふざけすぎる感じがするなと思い、テレ東のアニメ番組でご一緒している美山加恋ちゃんに相談しました。彼女は声優経験もあるので、「どうやって声って決めてるの?」と尋ねたら、「5、6種類の声を持っていくしかない」と言われたので、家でいろんな声をあててみました。現場では、音響監督さんのアドバイスや意見を反映して変えてみようと思いましたが、そのままのあてた声で何も言われなかったので、収録本番では自分の元の声から少しズラした声でやりました。
川島:僕は過去にもアフレコのお仕事をさせていただいたことがあり、精いっぱいの低い声を作っていったことがあるんですが、その時は「そんなに存在感出さなくていいから」と怒られたので、今回は全くのプレーン、白ご飯の状態でいきました。芸人としては頑張っていますが、声優としては数えるほどしか経験がありませんので、変に決めていくと修正が大変やろうなと思ったんです。勝手にカレーを待っていたらルーが現れるんちゃうかなと思って、だったら白ご飯の方がいいかなと。だから最初のあいさつの時に、井上君と2人で「何でも言うてください。1秒でも駄目やったらすぐ言うてください。全部言うとおりにします」と監督と音響監督に託しました。
◆現場にはプレーンな状態で入ったということですね。
川島:はい。その状態でやったんですが、ビックリするくらい2人ともNGが出ましたね。
井上:いや、でも白ご飯、お米が光ってました。ふっくらしてたわ~。
川島:ありがとうございます(笑)。
◆実際にアフレコした感想をお聞かせください。
井上:難しかったです。こんなにもキャラクターの口と自分の口が合わへんかと思いました。自分でしゃべっていて気持ちいいリズムがあるけれど、アニメーションと現実のおしゃべりの速度は違うからアニメに合わせるのが難しかったです。普通のしゃべり言葉ならここに句読点は入れへんなと思うところでも、アニメでは「ここに句読点入れてください」と指示されるので、芸人を21年やっているけど、見てきた世界が全く違うんやろうなと思いました。
◆音響監督からキャラクターの口の動きとしゃべる速度を合わせるポイントについてアドバイスはありましたか?
井上:シンプルにもっとゆっくりしゃべってくださいと言われました。
川島:アフレコ中、2人とも4回ずつくらい「落ち着いてください」と言われましたね(笑)。
井上:言われましたねー(笑)。
川島:せりふを1個言うと1個言われたことを忘れるんです。「そこ間を空けてください。句読点入りますよ」と言われて間を空けたら、「ゆっくり落ち着いてください」と言われ、落ち着くと「句読点空けてください」と。こういうやりとりのラリーが結構ありました。
井上:あったあった!
川島:2人とも緊張していたんでしょうね。楽しくやっていたつもりなんですけど、慣れないことなので、マイク前に立つとどうしてもそうなってしまう。現場で梶(裕貴)さんの声を聞きながら収録できたので、プロの声で「次、おまえやで」と言われている気がしました(笑)。もちろん梶さんの声を聞きながらアフレコできたのは良かったけど、このクオリティーに合わせなあかんのかと焦りました。一瞬そこを目指そうと思いましたけど、どうしたって無理ですからね。自分たちなりに楽しく伸び伸びやりました。
井上:川島さんも僕もアニメが好きやから、声優さんってこんな感じやろうって情報だけは持っていて、頭でっかちになっていた部分があると思います。多分、その情報から頭で考えたことを現場でやろうとすると違うんでしょうね。
川島:うん。自分なりに考えて何かしようとしたけど駄目だったってことですよね。(良い声で)「クソォ!」とか作った声を出したらあかんっていうのは分かってるんです。声優の振りをした芸人になってしまうから。だからアフレコには自然体でいったほうがいいと分かってはいましたが、まず「声が小さい」って言われましたもんね?
井上:言われた!(笑)
川島:「井上さん、ちょっと聞こえないです」とか。
井上:そう、声を張ったつもりでいたのに、これで小さいんやと思いました。
◆大きい声を出しているつもりでも小さかったと。
川島:それは声のボリュームのことだけじゃなかったんですよね。脚本上では僕としゃべっている相手との距離は結構離れていたんです。でも最初、僕は目の前にいる人にええ声で言うみたいな感覚で話していました。そこで音響監督の方に5m先の人にそういう言い方はしないでしょ、「ちょっと待ってくださいよ」って呼びかけるように話すでしょ、ということを教えていただいて、短時間でしたがすごく勉強になりました。
井上:漫才の時のセンターマイクの使い方とは明らかに違いましたね!
川島:全然違いましたね! 最初は結構ふざけて、井上君が「こんな声ですかねー」なんて変な声を出したりしたんですけど、本番が始まったらふざける余裕なんか全くなかったです。
井上:ど真ん中の声を出すしかなかったです(笑)。でも終えてみると楽しかったです。気持ちとしてはもっとリテイクしたかった。監督さん、音響監督さんが「OK」と言われたらそこで終了なんですが、もっと録り直したかったし、もっといろいろやりたかったですね。
川島:うん。終わってみたら楽しかった。でもこれ以上やったらこなれて駄目なんだろうなとも思いました。腹八分目のところで、バンッと終わってくれたのが良かったかもしれないですね。
◆もともとお好きということですが、『七つの大罪』という作品の魅力はどんなところだと思いますか?
井上:まずタイトルにパンチがありますよね。大体のアニメ作品って主人公が善で敵は悪であることが多いけど、この作品は主人公たちが<七つの大罪>だから、主人公たちが善なのか悪なのか分からないままスタートして、読み進めていくと良い部分もあれば悪い部分もあることが分かってきます。Aさんから見たら<七つの大罪>チームは良いやつだけど、Bさんから見たら悪いやつ。リアルな人間関係でもそういうことってあるから、自分たちの世界ともつながるなと。後は仲間の大切さを描く漫画って多いけど、『七つの大罪』は仲間が邪魔をしたり、余計なことをすることもある。そこも他の漫画とは違う面白さなのかなって思います。
川島:井上君と全く同意見ですが、僕は悪役がいないのがすごいなと思います。主人公に当たるポジションにメリオダスがいますが、周りのキャラクターが彼を支えるという描かれ方ではないんですよね。最初はそうかもしれないけど、アニメのシーズンによってはバンというキャラクターが主役を張ったり、それこそマスコットやと思っていたキャラクターが重要なカギを握っていたりする。「最近、あの人、影薄いな」って思うようなキャラクターがいないんです。井上君がパンチのあるタイトルと言いましたが、全部終わった上でのタイトルの意味を考えると、もしかして主役はいなかったのかなって思わせられる。そこも漫画として新しいなと思います。
井上:その上で、今回の映画の話をすると、完全オリジナルストーリーであることがまず楽しみですよね。作者の鈴木先生しか分からないことですが、今回の映画のストーリーをもともと念頭に置いていたのか、今回の映画のために描いたのか。あえて映画版にとっておいた可能性もあるから、そう思うとあっためていた分、より面白いストーリーになっていると思うので、一ファンとして楽しみです。
◆ということは、脚本は…。
井上:はい、僕は自分が登場するシーンしか脚本を読んでいません。ファンの皆さんと同じ感覚で映画館で見たいと思っています!
川島:僕も同じく、純粋に楽しみたいです!
PROFILE
川島 明
●かわしま・あきら…1979年2月3日生まれ、京都府出身。1999年田村裕と麒麟を結成。MCとしても活躍中で、現在は『シブヤノオト』(NHK総合)の司会、情報バラエティ番組『ラヴィット!』(TBS系)の総合MCなどを務めている。
井上裕介
●いのうえ・ゆうすけ…1980年3月1日生まれ、大阪府出身。2000年、石田明とNON STYLEを結成。2008年『M-1グランプリ』で優勝を果たす。ラジオ番組『NON STYLE 井上×ホットリンクいいたかの#バズらない話をしようか』(ラジオ日本)が放送中。
作品紹介
「劇場版 七つの大罪 光に呪われし者たち」
大ヒット上映中
(STAFF&CAST)
原作:鈴木央
監督:浜名孝行 脚本:池田臨太郎
出演:梶裕貴、雨宮天、久野美咲、悠木碧、鈴木達央、福山潤、髙木裕平、坂本真綾、杉田智和、中村悠一、神尾晋一郎、川島明(麒麟)、井上裕介(NON STYLE)/倉科カナ
(STORY)
〈憤怒の罪〉メリオダス率いる史上最強最悪の騎士団〈七つの大罪〉の活躍により、人間、女神族、妖精族、巨人族ら四種族と魔神族とが争った聖戦は終結し、世界は平和を取り戻していた。メリオダスは王女エリザベスと思い出の地を巡る旅の途中で、弟・ゼルドリスと偶然の再会を果たす。いっぽう、〈怠惰の罪〉キングと〈嫉妬の罪〉ディアンヌの結婚式が執り行われる直前、地鳴りのような不気味な音が響き始め、平穏が訪れたはずの地に、妖精族と巨人族の軍勢が押し寄せる。壊れゆく世界の運命は、再び〈七つの大罪〉に託されることに…。
© 鈴木央・講談社/2021「劇場版 七つの大罪 光に呪われし者たち」製作委員会
●photo/金井尭子 text/佐久間裕子
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2021年7月17日(土)23:59