天海祐希さんが主演するドラマ『緊急取調室』の第4シーズン(テレビ朝日系 (木)後9・00)が、7月8日に初回10分拡大でスタートする。取り調べ専門チームの「緊急事案対応取調班」、通称“キントリ”の敏腕取調官である真壁有希子(天海)たちの活躍を描く本シリーズ。2年ぶりとなる今シーズンには、初回に伝説の活動家役で桃井かおりさんがゲスト出演。取調室という密室の戦場を舞台に、壮絶な“言葉の攻防戦”を繰り広げる。その放送を前に、天海さんに撮影の手応えや見どころを伺いました。
◆第4シーズンの初回ゲストである桃井かおりさんとは、初共演だったそうですね。
そうなんです。桃井さんが出演してくださると聞いた時は、悲鳴にも似た喜びの声を上げました(笑)。大先輩であり、素晴らしい女優さんであり、何よりも大好きな方でしたから、本当にうれしかったです。もちろん、緊張もありました。あまりにもビッグな方ですので、足を引っ張ることにならなければいいなと。だけど、こうなったらもう“私にはこれしかできないので!”と、当たって砕けろの精神で誠実にぶつかっていくしかないなと思っていました。
◆桃井さんとの撮影はいかがでしたか?
現場でお会いした初日に、桃井さんから「ねぇ、ちょっと聞いて。私、こういうふうに台本を読んできたんだけど…」と声をかけてくださって。今のしゃべり方、ものまねです(笑)。ものすごく深く台本を読み込まれていて、しかも桃井さんの方から窓口をバンッ! と広げてくださり、本当に敬服しました。私の意見にも真摯に向き合って、「いいんじゃない! じゃあそれ、やってみようよ!」と尊重してくださって。あ、今のしゃべり方もものまねです(笑)。
◆(笑)。そうやって意見交換をしながら、作り上げていったのですね。
そうですね。互いの解釈をすり合わせながら一緒にシーンを作っていくことができて、初日からとても充実感に包まれていました。やはり、すごい方というのは器も大きいです。“いつか私もこんなふうになれたらいいな”と思わされることばかりでした。休憩中には役者を目指したきっかけや、当時の貴重なエピソードなども聞かせてくださって。一緒にいた小日向(文世)さんと、「すごい話を聞けちゃったね!」と感動したのを覚えています。オンとオフの両面で、とても濃密な時間を過ごさせていただきました。
◆クライマックスでは、真壁が桃井さん演じる伝説の活動家・大國塔子と取調室で緊迫の対決を繰り広げます。そのシーンに臨むに当たっては、やはりプレッシャーもあったのでは?
取調室のシーンは毎回、他のゲストの方の時でも、失敗しないようにあえて自分自身にプレッシャーをかけているところがあって。だから、撮影前日の夜は眠りが浅く、何度も目が覚めてしまうんです。でも、それが返っていいのかなとも思っていて。取調べというのは、被疑者にしてみれば人生や命が懸かっている。だから、対する真壁も寝られない精神状態で当然だろうと。とはいえ、今回に関しては特にそれが強かったなと感じました。
◆撮影は本番一発勝負だったそうですね。
そうなんです。途中で何度も感情を途切らせるわけにはいかないと思って提案しました。私たちのわがままを、スタッフの皆さんも聞き入れてくださって。そうなると、失敗はより許されなくなる。でもそのプレッシャーがあるからこそ、現場にいた全員に一体感が生まれて。とてもライブ感のある撮影になりました。
◆そんな緊張感のある撮影を無事に終えた時の心境は?
もう、興奮状態でした! 家に帰ってもなかなか寝られなくて。やっと寝られたと思ったら、今度は起きられなくって(笑)。それぐらい幸せな気持ちに包まれていました。今思い返しても、何年かに一度経験できるかどうかと思えるほどの撮影でしたし、自画自賛をするわけではありませんが、あの取調室のシーンを共演者の皆さん、スタッフの皆さんと一緒に作れたことは、今の私の誇りになっています。
◆2年ぶりにこの作品を送り出す意義をどう感じていらっしゃいますか?
この2年で世の中はびっくりするぐらい変わりました。常識すら覆され、これまで積み上げてきたものがこんなにも簡単に崩れてしまうのかと、多くの方が感じていることと思います。ただその一方で、人間はどんな状況にも対応し、自分たちにできることを探していけるんだという強さも感じました。そして、絶対に変わってはいけないもの、変えてはいけないものも浮き彫りになった2年だったように感じます。例えば、人が人を思う気持ちもその1つ。それを何よりも大事にしているのが、キントリのメンバーなんです。この作品の醍醐味は、被疑者と直接会って会話をし、言葉の端々から感じられるその人の感情を受け取って、真実をひもといていくことなんです。それは決して機械ではできないことで。こんなご時世だからこそ、人と向き合う大切さを変わらず視聴者に届けられるこのドラマを放送できるのは、本当に意味のあることだなと感じています。
◆シーズンを重ねるに連れて、真壁の成長も感じます。
最初のころの真壁はキントリに対してすごく反発していましたからね。もともとSITの所属で、そこでの失敗が原因で転属されられたものだから、 “どうして自分がこんな部署に追いやられないといけないのか”と。でもそこから、“人と向き合うというのはこんなにも深いものなのか”と理解し、同時に、調べに調べ抜いた証拠や事実を武器に被疑者たちと言葉でやり合うことがこれほどまでに難しく、すごいことなんだと気づき、自分の仕事に誇りを持つようになった。たまに暴走してしまいますけど、そこは周りのおじさまたち(キントリのメンバー)がサポートしてくださいますから。今や関係性がしっかり築かれていて、シーズン4ではむしろ、おじさんたちが助けてくれると分かった上で真壁は暴走しているような気がして(笑)。そこがいいなぁと思っています。
◆真壁にとってキントリの男性陣の存在は大きいでしょうね。
真壁自身、おじさまたちのありがたみを本当に強く感じていると思います。ただ、演じるおじさまたちはたまに後ろから私のことを撃つようにちょっかいを出してくることがありまして(笑)。人が真面目にお芝居をしているのに、ちょっとしたことで笑いだしたり、それでカットがかかったりして。もうたまりませんよ(笑)。しかも、時々お芝居じゃないところでも、あのおじさまたちは暴走しますからね。ホント、厄介です(笑)。
◆皆さんの仲の良さが伝わってきます(笑)。また、今作ではキントリが“100日後に解散させられる”という展開も気になるところですが…。
そうなんです。本当にそうなってしまうのか、私も気になります。台本を読んでいても、真壁のせりふの節々に“キントリらしく、最後の最後まで暴れてやろう”という思いが感じられて。ただ、私も先のことは分かりませんが、もしこれで終わるにしろ、まだまだ続くにしろ、どちらに転んでも自分に悔いのないように、真壁を全力で演じていきたいと思っています。
PROFILE
天海祐希
●あまみ・ゆうき…1967年8月8日生まれ。東京都出身。O型。最近の出演作に、ドラマ『トップナイフ-天才脳外科医の条件-』、映画「最高の人生の見つけ方」など。映画「老後の資金がありません!」が2021年10月30日(土)公開。
番組情報
『緊急取調室』
2021年7月8日スタート
テレビ朝日系 毎週(木) 後9・00~9・54
※初回は後9・00~10・04の拡大版
(STAFF&CAST)
脚本:井上由美子
演出:常廣丈太、樹下直美
出演:天海祐希、田中哲司、速水もこみち、鈴木浩介、工藤阿須加、塚地武雅、池田成志、でんでん、小日向文世ほか
(STORY)
北海道警察へ出張することになった「緊急事案対応取調班(通称・キントリ)」の取調官・真壁有希子(天海)は羽田空港へ。保安検査場で、提示しなければならない持病の薬の処方箋が見つからず、オロオロしている白髪の老女と出会う。とっさに手助けをした有希子は、同じ便に乗るという老女と共に搭乗口へ。別れ際、老女が発した「いい旅を」という言葉に、何とも言えない引っかかりを覚えながらも、自分の座席へと向かう。ところが…出発時刻になっても、飛行機は一向に離陸しない! そんな中、安全確認のため離陸が遅れる旨を告げるCAの機内アナウンスを聞いた有希子は、その声から異変を察知。様子を探るため、CAたちがいるギャレーに駆けつけると、CAのひとりが「ハイジャック」と走り書きしたメモを見せ…!
有希子はすぐさまキントリに連絡を入れ、そのままギャレーへ突入。すると、そこにはCAにインスリンポンプを突き付ける、先ほどの老女の姿があった! しかも、老女は人が変わったかのような殺気をはらみながら、「私は国民青年派の大國塔子(桃井かおり)だ」と名乗り、ハイジャックを宣言。駆け込んできた警乗警察官・山上善春(工藤)が人質解放と投降を促すも、塔子は一切ひるむことなく、爆弾を機内に持ち込んでいることを明かし、同じ便に乗っている国土交通副大臣・宮越肇を呼ぶよう要求! 宮越の汚職疑惑の真相を本人に語らせ、現政権の責任を問うと息巻き…!?
実は、塔子は50年前に国会議事堂前で“7分間の演説”を行い、活動家集団である国民青年派と機動隊の衝突を止めた活動家。黒い鉢巻をしていたことから、「黒い女神」と呼ばれたカリスマだった。しかし、その後は潜伏を続け、今やその存在を知る人間も少ない。そんな塔子がなぜ、50年の沈黙を破り、ハイジャック事件を起こしたのか――。謎が謎を呼ぶ中、有希子は事態を収束させるため、自分が人質になると申し出る。だが、塔子はこれを拒否。一方、宮越も塔子の要求を拒絶し…!
そんな中、“あってはならない事態”が発生してしまう。宮越の代わりに塔子のもとへやって来た第一秘書・東修ニ(今井朋彦)が、揉み合いになった挙げ句、命を落としてしまったのだ! その結果、現場にいた有希子に、世間から非難の声が浴びせられ…!?
●photo/中村 功 text/倉田モトキ hair&make/竹下フミ(竹下本舗) styling/大沼こずえ(eleven.)