峯田和伸さんが「物語なき、この世界。」で7年ぶり、二度目の舞台に挑む。作・演出を手掛けるのは、前回の初舞台作品や映画「ボーイズ・オン・ザ・ラン」でタッグを組んできた三浦大輔さん。人生にドラマを求める人間のエゴをあぶり出す今作に、峯田さんは果たしてどう立ち向かうのか。前作の思い出とともに、三浦作品の魅力や稽古前の意気込みを聞いた。
◆峯田さんにとって2度目の舞台出演となります。公式コメントでは前回を振り返り、“濃密だった2ヶ月間の暗闇”という表現をされていました。まずはこの言葉の真意を教えていただけますか。
前作(「母に欲す」)はもう7年前になりますよね。あの年の夏は暑くて、ちょうどサッカーのワールドカップが開催されていたんです。僕、ワールドカップが大好きで。でも、全く見られなかったんですよね。稽古から家に帰るころにちょうどテレビで放送されていたんですけど、帰宅するなりスイッチが切れたように寝ちゃって。で、朝起きて、稽古場に行って、室内で一日を過ごすということをずっと繰り返していて。せりふを覚えることにもいっぱいいっぱいでしたし、稽古や本番中に友達と会って遊ぶようなこともなくて。だから、今思い返しても“暗闇の2ヶ月”だったんです(笑)。
◆その経験を経てなお、よくもう一度舞台に戻ってこようと思われましたね(笑)。
僕、暗闇好きなので(笑)。
◆(笑)。ただ、「母に欲す」のパンフレットでは、対談の中で「もう舞台はやらない」という発言もされていました。
えっ、僕、そんなこと言ってました?(笑) うーん、でも、当時は確かにそんな感じだったのかも。きっと最初で最後くらいの気持ちでやろうと思っていたんだと思います。ただ、舞台が終わってからも三浦さんとは家が近かったこともあって、よく会っていたんですね。その会話の中で、“また一緒にやろうよ”ということもお互い言っていたんです。それで3年くらい前かな、はっきりと「やりましょう」と言われたのは。その時、僕は「本当にやるんですか!?」って返したものの、どこかうれしい気持ちもありまして。ほら、恋人と別れたりすると、その時はお互いやってられないという思いがあっても、時間がたって、自分自身も周りの環境も変わったりして、次第に許せてしまうことってあるじゃないですか。あんな感じですかね(笑)。数年たって、僕もまたやってみたいなという気持ちになっていったんだと思います。