NHK総合で放送中のドラマ10『美女と男子』(毎週(火)後10・00~)で、鷲見右京(わしみ・うきょう)を演じる中山麻聖さん。今回、ドラマの中で俳優役を演じる中山さんに俳優という仕事への思いやドラマの見どころなどを伺いました。
演じるキャラクターについて考える時間が楽しい
――『美女と男子』のオファーをもらったときのお気持ちと、演じている鷲見右京について教えてください。
素直にすごくうれしかったですね。NHKでは大河ドラマや時代劇には何度か出させていただいたんですが(※)、現代劇のドラマはこれまでに経験がなかったのですごく楽しみにしていました。
※『篤姫』『江~姫たちの戦国~』『軍師官兵衛』に出演
このドラマは全20話が3部に分かれているんですよ。僕が演じる右京は、第1部ではさわやかな好青年で非の打ち所がない人物。でも、それが第2部に入るといろんな問題が起こり変化していくんですよ。それも急に変わったのではなく、もともと何か心の中に持っていた感情が表面に浮き出てきたという感じです。
――役作りはどのようにしていくんですか?
監督さんやプロデューサーさんはもちろんなのですが、脚本家さんや原作者の方がいらしゃったら、その人物のことを一番理解してらっしゃると思うので、話せる時間をいただけたら自分の中で納得できるまでお話を伺います。あとは自分で「この人はこんな性格で、こういうシチュエーションではこういうことをする」というのをいろいろ考えて決めていきますね。自分が演じる人物について考える過程は、いろんなことを考えられるのでとっても楽しいんです。今回も演じている右京について、例えば「何が嫌いなんだろう、苦手なんだろう」とか考えながら家でずっとニヤニヤしています(笑)。
――俳優の役をするに当たり難しいと感じることはありましたか?
中山麻聖が鷲見右京を演じて、さらに鷲見右京が違う役を演じるという劇中劇があるんですけど、初めはすごくこんがらがってしまって(笑)。最終的にはすごくシンプルに、“劇中劇で演じる役を演じている”という気持ちになればいいというところにたどり着きました。
――印象に残っているシーンはありますか?
役者ならではの“あるある”みたいなものが、このドラマでは本当にリアルに表現されているなって思うんですよ。例えば、第2部で『恋メロ!』という劇中劇があって、その撮影現場で右京の演技に対して批判的な言葉をある人物から言われるシーンがあるんです。実際に自分も演技がうまくいかず、悩んだことがあって、そのときの気持ちを思い出しながら演じていたんですよ。そうしたら、撮影が終わっても気持ちが切り替えられず、それが結構尾を引いて(笑)。ずーん…と家までそのテンションを引きずることがありましたね。
立ち止まることなくずっと走っていきたい
――俳優というお仕事の面白いところはなんですか?
例えば、警察官を目指していたら、警察官のことをずっと勉強したりすると思うんですけど、俳優の仕事は、警察官や消防士、弁護士など、いろんな人の人生、いろんな職業を一度の人生で広く深くたくさん味わえます。もっと勉強しなきゃと思ったら、そこにどっぷりと漬かってしまうこともあるので、いろんなことを体験させてもらえるというのは、この職業ならではかなと思います。
――演じることはどういうことだと思っていますか?
まだまだ勉強中なので、今も演じるとゆうことを考え悩みながらやっているというのが正直なところです。自分の演じる役を客観的に見て芝居をするやり方もあるし、その役にどっぷり芯から漬かっていって憑依して芝居していくやり方もあります、もちろんそれ以外にもありますし…。その答えと言うか、自分自身どうするのが一番いいのかまだ答えは出ていなくて。いろんなやり方を考え見て聞いて学んでいる途中、なのかもしれません。
――今後の俳優としての目標を教えてください。
ずっと芝居を続けていきたいです。自分にはこれしかないので、ずっと走って行こうと思っています。立ち止まることなくもっともっとずっとずっと!
第2部は、右京を推していきたい!!
――第2部では石野さんの新しいオフィスに一子(仲間由紀恵さん)や遼(町田啓太さん)も所属することになります。
もともと石野さんにスカウトされてから2人でずっと歩んできたので、変化というよりは新たに仲間が増えたという感じですね。特に一子さんと遼くんがより身近に来たことは、右京にとっていい影響だったのかなと思います。撮影現場もにぎやかで、とても楽しいです。撮影の合間には、セットの中でも外でも仲間さんや町田さんといろんな話をしたりして、常に笑いが絶えない現場です。
――それでは、改めて『美女と男子』第2部の見どころを教えてください。
第1部では、「ひのでプロ」が倒産したり、一子さんの離婚があったりさまざまな事件が起きました。第2部、またさらに新しい展開で皆さんを楽しませることができると思うんですが……せっかくなので、右京を推していきたいと思います!! 『恋メロ!』という劇中劇では、初めて遼くんと右京が長い期間ずっと一緒に肩を並べて競い合うことになるんです。『恋メロ!』に出会ったことによって、悩んだと思ったら、ものすごく浮かれてフワフワして…かと思いきや、また悩んで…という繰り返しで、第1部では見れなかったいろんな表情の右京の一面が見れると思うので、その変化を楽しんでいただきたいです。
――最後に、ファンの方にメッセージをお願いします。
今回は『美女と男子』で鷲見右京という役を、全力でやらせていただきました!この鷲見右京、今まで演じた役の中でもかなり魅力的で人間臭い人かもしれません。そんな右京と出会えて本当に幸せです。みなさんにも右京を愛していただけたらと思っています。そしてそんな鷲見右京ともども中山麻聖もよろしくお願いします(笑)
PROFILE
中山麻聖…なかやま・ませい
1988年12月25日生まれ。東京都出身。B型。
『牙狼〈GARO〉-魔戒ノ花-』(テレビドラマ、映画)で主演、舞台TAKUMA FESTIVAL JAPAN「夕」、大河ドラマ「軍師官兵衛」では織田信長の三男・信孝役を演じるなど、さまざまな舞台で活躍している。
作品情報
NHKドラマ10『美女と男子』
4月14日(火)~毎週火曜日、後10時から放送中。
6月9日(火)から第2部がスタート。
出演:仲間由紀恵、町田啓太、瀬川亮、中原丈雄、田島令子、徳永えり、前川泰之、東幹久、高橋ジョージ、中山麻聖、浅野和之、森本レオ、真野響子、草刈正雄ほか
作:田渕久美子
制作統括:加賀田透
演出:松浦善之助、田中正ほか
■ストーリー
ひょんなことから芸能マネージャーになったヒロイン・一子(仲間)と、やる気のなかった新人俳優・遼(町田)が、あらゆる困難を乗り越えながら芸能界のトップを目指す痛快サクセス・ストーリー。第2部では、「ひのでプロ」倒産後、大手芸能プロダクションで働いていた石野(前川泰之)が独立して作った事務所「オフィスイシノ」に一子と遼が所属することが決まる。もともと石野のもとで活動をしていた鷲見右京(中山)も「オフィスイシノ」に所属することになり、一子が、遼と右京の担当を命じられる。遼と右京は『恋メロ!』のオーディションに受かり、右京がヒロインの相手役、遼が三番手の役に決まるが、次々と問題が起こり…
●photo/中田智章 text/松永真衣