◆受け止めてくれる陽太の存在も大きかったと思います。
そうなんです。それぐらいの勢いを持っている人。でもそれを不幸だと言ったら笑えなくなってしまうし、それでも前に進むんだというユーモアとともに進んでいく大九さんの本がすてきだなと思って。“人生はユーモアだ”ということも感じて、自分もそうなりたいなと思いました。
◆趣里さんは月子のようにコンプレックスを人に話せるタイプですか?
隠して振る舞ってしまいます。分かっているのに、それを考えてしまう自分も嫌だなとなりがちです。すごく心配性だし、自信もないですし、ただ、作品を見て楽しんでいただきたいという気持ちに立ち返って、突き進んでいけるようになりたいと思っている途中です。映画「生きてるだけで、愛。」などの出演作品で強めの女性のイメージを持たれることが多いのですが、実は真逆なんです(笑)。それでも前に進んでいくのは大事だと思っているので、コンプレックスを認めながらもうまく付き合っていく。それがいいのかなと思っています。未来に期待して今頑張ろうという気持ちです。
◆常に変わりたいっていう気持ちがある?
あります。それはきっと月子もそうだと思います。多分変わりたいと思ったから陽太君にコンプレックスを伝えたんじゃないかと思います。
◆趣里さんにとって、今思えば笑い話だけど、当時はつらかったというようなエピソードはありますか?
今から数年前に舞台中に捻挫をしてしまって、とても痛くて大変な思いをしたことがあります。もともとけがが原因でバレエを断念したのですが、同じところを捻挫してしまったんです…。その時は本当につらくて、鍼灸院に通ったりしました。その捻挫をした日に、マネージャーさんが迎えに来てくれたのですが、そのマネージャーさんがヘルニアで腰を痛めていた時期で(苦笑)。だからお互い「何も助けられないけど」って言いながら、2人で肩を貸し合ったことがあります。それが今思うと、すごい画で面白いなと(笑)。その後、何とか舞台も出来ましたし、今ではそのマネージャーさんも腰の調子が良くなっているので、今だからこそ「あの時、大変でしたよね」って笑えますし、「だけど痛かったですよね」と話せるエピソードです。俯瞰で見ていたら、相当面白い画だったと思います。