脚本・演出を映画監督の橋口亮輔、三浦大輔、大九明子、谷口恒平といったそうそうたるメンバーが務めるMBSドラマ特区『初情事まであと1時間』が7月22日(木・祝)からスタート。恋人たちが初めて結ばれるまでの直前1時間を、オムニバス形式で描いていく。第1話は工藤阿須加&臼田あさ美、第2話は萩原利久&木竜麻生、第3話は松雪泰子&大森南朋、第4話は望月歩&青山美郷&中田青渚、第5話は岡本玲&ニシダ(ラランド)、第6話は中尾明慶&さとうほなみ、第7話は趣里&渡辺大知、第8話は細田佳央太&大友花恋が出演する。第7話「プラスマイナス、インタレスティング」(9月2日(木)放送予定)に出演する渡辺大知さんに撮影が終わっての感想や、役との共通点を語ってもらいました。
◆本作への出演が決まった時の感想を教えてください。
情事に至るまでの1時間を描いたオムニバスドラマと聞いて、面白そうな企画だなと思いました。その上で、豪華な監督たちが参加されるということにすごくワクワクしたのを覚えています。そんな豪華な監督たちの中で、面識もあって、すごく信頼を置いている大九さんの回に出演させてもらえると聞いて、光栄だなと思ったので、ぜひとお返事させてもらいました。
◆実際に台本を読まれていかがでしたか?
結構コミカルで、少しファンタジーなお話ではあるんですけど、読んでいて親近感が湧くというか。うそみたいな話なのに、感情移入できちゃうというのがすごくて、さすが“大九マジック”がかかった脚本だなと思いました。それと同時に、どうやったらこの脚本がより生き生きとしたものにできるかという不安もありましたし、現場で趣里さんがどんな感じで月子を演じられるのか想像できなかった分、ワクワクもしました。
◆どういったところに、大九監督らしさを感じましたか?
月子の「チューイングガムから恋の匂いがした」というせりふは、大九さんらしいと思います。大九さんが描くせりふには、すごく些細で、身近にあるものの中にできる限りの愛を詰め込んだようなせりふがたくさんあるんですが、そういうのがすてきだなと思っています。そんなこと実際に言う人がいるかどうかとかは置いといて、笑えるし、伝わるというか。リアリティーがあるから伝わるのじゃなくて、うそだろって思うようなことの中にも、切実さみたいなものが込められてるのが大九さんの作品の魅力かなと思ってます。今回のお話で言うと、プラスドライバー、マイナスドライバーが出てきますが、ファンタジーだけど、もの自体は身近なもの。誰もが知ってるものに、すごく夢を与えてる感じが大九さんらしいです。
◆原作の絵柄などを見てすごくコミカルな感じを受けたのですが、実際に演じて原作とのギャップはどう感じましたか?
原作のコミックを読ませてもらったんですけど、あえてあんまり深く読み込みませんでした。原作のトーンやタッチ、雰囲気のまねをしようとするんじゃなくて、原作で描かれているもう少し内面の人間臭い部分とか、伝えようとしてる大事な部分を今回のドラマでも引き継げたらなと思ったんです。それは大九さんも同じなんじゃないですかね。原作を具現化しようとするのではなくて、大事な部分をちゃんと生身の人間がやるドラマにどう置き換えられるかというのがすごく考えられていたような気がして、映像的にカッコいいとか、きれいに見えるものになっていると思います。
◆“原作の伝えたい大事な部分”をあえて言葉にすると、どんな言葉になりますか?
人と人が出会って、情事に至るまでの短い時間の中で、自分のことを自分はどれだけ分かっているのか、相手のことを自分はどれだけ見れているのかみたいな葛藤は誰の中にもあると思うんです。ひと言で表すと、「相手のことを考えるとはどういうことか」がテーマな気がしたんです。情事に至るってことは、そこに至る相手のことを考えて、その間に自分自身のことにも気づかされる。他者と自分との共存関係みたいなのをすごく考えさせられる内容で、そういうところを引き継ぎたいなと思いました。
◆ご自分が考えられていた陽太から、現場に入って変えたところはありますか?
結構変えましたね。趣里さんが演じる月子はどんな感じなんだろうなというのもあったので、現場の空気感でやっていこうと思っていました。趣里さんとやっていく中で、もう少しコミカルに言おうと思っていたせりふが、うそっぽくなってしまったことがあって。その時はせりふはコミカルなんだけど、本当に思っていることが思わず出ちゃった感じにしたいと現場で掛け合いをしている中で思って変えていきました。でも、「プラスドライバー」と叫ぶシーンは、ノリノリでやりました。
◆この作品に出演するに当たって心掛けたことはどこですか?
大九さんって女性を描くのがすてきで、このドラマも女性目線で描かれているなと思ったんです。現場に入って大九さんに「女性目線のドラマにしようと思わずにやります」と伝えました。女性目線ではあるけど、そこに僕が乗っかっていくんじゃなくて、僕はそれに気づいていないというか、同調せずに素の感じ。男性から見た女性像が見えてきたらいいなって思ったんです。女性だけのお話みたいになるのではなくて、どんな人にでも伝わるものにしたいっていうのがあったので、男性が見ても共感できるようなものにしたかったんです。いい意味で女性を立てるというよりは、「分からねえよ、それ」っていう感じも残したくて。それが今回の「初情事まであと1時間」っていうテーマにも合うし、男性と女性でどういうところが違って、どういうところが結局一緒だというのを考えるきっかけになるドラマになったらいいなと思うし。違わないでもいいし、こういうところは違うと思うでもいいし、1人ひとりが考えることが重要だと思います。
◆今回演じた陽太と似ている部分、全く違う部分など教えてください。
おバカな感じの役はたくさん頂くので、「あ、そう見られてるんだなぁ」と思うんですけど(笑)。他の誰に何と言われようと「俺はこうだ!」みたいな自分の気持ちに真っすぐというか、猪突猛進しちゃうタイプは、すごく共感もするし、憧れる部分もあるので、やってて楽しかったです。自分にもそういう性質は心の中にあるんでしょうけど、日常生活の中で少し抑えちゃってるというか、なりふり構わず自分の気持ちだけで真っすぐいくみたいなことを隠してる部分があって。だから、今回の役も、似てるな~というよりは分かるな~と思いながら演じさせてもらいました。で、分かるな~と思いながら、“これができる男、こうなれる男はすげぇな”と思っていました。実際に、相手の趣里さんをどう巻き込めるかはすごく考えました。それをうそっぽくなくやれたらという思いでやりました。
◆陽太の優しいところってどういうところだと思いますか?
優しさというと、やっぱり相手の気持ちにいかになれるかっていう気がしてるんです。自分だけじゃなくて、他に人がいて、こうやって一緒の世界で生きていて。支えてくれたり、自分が支えたいと思ったりとすることが優しさのスタートで。何か自分が行動する時も、目の前にいる人がどういう気持ちになるだろうって考えることというか。自分のことをいったん置いて、相手の目線になろうとすること。完全に相手の目線になるって、難しいというか、少しきれいごとのような気もしてるんですけど、試みることが大事なのかなと思います。頑張って相手の目線になりたいって思うことが大事な気がしてます。
◆相手からそういうふうに思われたらうれしかったり、距離が近づいたように感じますか?
そうですね、うれしいかな。いや、僕は相手に同じようなことは求めないし、勝手にそう思ってるだけですけど、みんなはどう思ってるんだろうなっていうのは聞きたいです。例えば、“優しさとは何か”は人によって違うと思います。それを常に尊重していきたいし、コミュニケーションを取っていく中で、自分と違う考えの人がいるんだなって思えることが人と接するってことなんじゃないでしょうか。
◆作中で、月子と陽太のキーアイテムとして“ドライバー”が出てきます。渡辺さんが必ず持ち歩いているものは何でしょうか?
のどあめかな。何個か用意していて、その時の気分で選んでいます。必ずかばんにのどあめは入れていて、のどのケアをしています。
◆第7話「プラスマイナス、インタレスティング」の見どころを教えてください。
雷が鳴ったり、風音がビュービュー鳴ったり、大雨の中の2人の物語ですけど、現場ではスタッフさんたちがめちゃくちゃ頑張って、雨とか雷を表現してたんです。それが出来上がってどうなってるのかがすごく楽しみです。閉ざされた空間のワンシチュエーションでの2人のドタバタした会話劇なんですけど、雷とか雨の中という状況を作るのが大変で、スタッフさんたちのすごさをあらためて感じたところがあるので、特殊効果にも注目してもらいたいです。あとは、ちょっと引いてみるとバカバカしいくらい初々しい2人なんですけど、切実なせりふもたくさんあって、見ていて一緒に考えてしまうような話になっていると思うので、このドラマを通して笑いながらも自分のことに置き換えて、考えながら見るのが楽しいドラマなんじゃないかなと思っています。
PROFILE
渡辺大知
●わたなべ・だいち…1990年8月8日生まれ。兵庫県出身。O型。ミュージシャン・俳優として活動。現在、『イタイケに恋して』(日本テレビ系)に出演中。
番組情報
MBSドラマ特区『初情事まであと1時間』
2021年7月22日(木)スタート
MBS 毎週(木) 深0・59~(初回のみ深1・09~)
tvk 毎週(木) 後11・00~ほか
チバテレ、テレ玉、とちテレ、群馬テレビでも順次放送
TVer、MBS動画イズム、GYAO!で見逃し配信1週間あり(全8話)
TELASA J:COM オンデマンドほかにて見放題独占配信(全12話)
<監督・脚本>
橋口亮輔、三浦大輔、大九明子、谷口恒平
原作:ノッツ『初情事まであと1時間』
制作プロダクション:ビデオプランニング
製作:「初情事まであと1時間」製作委員会
©「初情事まであと1時間」製作委員会
●photo/金井尭子 text/田中ほのか
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<応募締切>
2021年8月5日(木)23:59