AKB48卒業後、現在は女優として活動中の太田奈緒さん。これまで主に舞台で活動してきた太田さんが、7月23日(金)スタートの金曜ナイトドラマ『漂着者』(テレビ朝日系)で初めて連続ドラマにレギュラー出演する。作品への意気込みや将来の夢について、真っすぐに語ってもらった。
◆まず『漂着者』にレギュラー出演が決まった時の気持ちを教えてください。
オファーを頂いた時は、とてもうれしかったです。同時に、秋元康さんが企画・原作をされているので、すごく気が引き締まりました。ほとんどの視聴者の方は、私がアイドルだったことを知らないと思うので、「なんでこの子がキャスティングされたんだろう?」って思われないように頑張ろうと思いました。初めてなので分からないことも多いのですが、他のキャストさんやスタッフさんから学ばせていただきつつ、できることをやるしかないって気持ちです。
◆秋元さんからは何かメッセージなどあったんでしょうか?
まだ特にないのですが、ドラマを見て私をキャスティングしてよかったなと思っていただけたらうれしいです。
◆これまで舞台には何度か出演されていますが、舞台とドラマでは違いますか?
舞台だとしばらく稽古期間があってから本番という流れですが、ドラマは台本をもらってカメラテストをして、オッケーだったらすぐに撮影なので、スピード感が全然違います。あと、音声だけ後から録るとか、同じシーンを違う角度から何回も撮るとか、撮り方にも驚きました。そう言えば今度、食べるシーンを撮る予定なんです。そのシーンも “カメラテストの時は食べちゃ駄目なのかな?”とか“食べるタイミングや回数ってどのくらいなんだろう?”とか分からないのでドキドキしています(笑)。
◆今作で太田さんが演じる“ラペ”は、どういうキャラクターですか?
何でも勝手に動画に撮って勝手にSNSにアップしちゃう、行動力がある今どきの女子高生です。私とは真逆だと思います。SNSの怖さは身に染みて感じているので、私だったら勝手に動画をアップするなんて考えられないです(笑)。でも若さ故に行動力があるっていうのは理解できる部分です。私が高校生だったのはもう10年前くらいになるんですけど、そのころのことを思い出しつつ演じています。
◆ちなみに、太田さんご自身はどんな高校生だったんですか?
ハンドボール部に所属していたので、勉強と部活の日々でした。ちょうどガラケーからスマホに変わったくらいの時期で、SNSも当然なかったですし…。一応、mixiには登録してたんですが(笑)、それも友達の投稿を見る用で、自分で何か発信することはなかったです。
◆現在は公式SNSを持っていらっしゃいますが、気をつけていることはありますか?
自分が意図していなくても言葉の選び方で悪い方に捉えられてしまうことがあるんだなと感じたことがあって。「もしも違う立場の人がこの投稿を読んだらどう思うんだろう?」というのは、できるだけ考えて使うようにしています。出来ているかは分からないんですが…(笑)。
◆今の女子高生のはやりなどについて、ラペを演じて初めて知ったことは?
若者言葉については、TikTokなどを見ながら一緒に女子高生トリオを演じる隅田杏花ちゃん(ペリ役)、吉田志織ちゃん(リモ役)と話し合ってます。「最近の子って、こういう言葉使うらしいよ!」みたいな(笑)。最近覚えたのは「アセアセ」と「おはようでやんす」(笑)。YouTuberのパパラピーズさんが使ってる「大丈夫そ?」は前から知っていて、本当にみんな使ってるんだ〜って。あと「はにゃ?」とかもありますよね。…って、いろいろ覚えてはいるんですけど、実際どういう場面でどういう発音で使われているのかは、まだまだ勉強中です(笑)。
◆ラペが撮った動画も、事件解決の重要な手掛かりになっていきそうですね。
そうなんです! なので、「このシーンではこのくらいズームしてほしい」とか「このシーンではカーテンが少しだけ映っててほしい」とか、段取りが細かく決まっているんです。せりふを言いながら動画も回さないといけないので、頭が混乱しています(笑)。一応、プロのカメラマンさんも動画を撮ってくれているんですが、実際に私が撮影したものもそのまま放送されるかもしれなくて。
◆責任重大ですね(笑)。あらすじを見ると、かなり謎の多いストーリーのようですが、台本を読んでみていかがでしたか?
今、4話の台本まで頂いているんですが、その先の展開は知らされていないので、私も「これからどうなるのかな?」とワクワクしています。斎藤工さん演じるヘミングウェイがなぜここに来たのかとか、ヘミングウェイの体に入っている刺しゅうは何なのかとか…。(マネージャー「刺しゅうじゃなくて、タトゥーじゃない?」)あっ、すみません! タトゥーです(笑)。台本を読みながら考察するのが楽しくて、マネージャーさんと「これって何かの伏線かな?」と話し合っています。
◆共演者の方とのエピソードはありますか?
今のところは斎藤さんとの共演シーンがほとんどなのですが、斎藤さんはすごく気さくな方で、休憩中も話しかけてくださって。お薦めの映画を教えてくれたり。あと、1話で斎藤さんが水があるところにうつ伏せになるシーンがあるのですが、斎藤さんは映らないシーンで、スタッフさんがやる予定だったんですけど、「僕がやるよ」ってテストから入ってくださって。すてきな方です。白石麻衣さんとはまだ1シーンしか一緒になっていないので、特にお話もできていなくて。そのシーンでも私たちは動画を撮影しているんですが、カメラテストの時にその動画に手を振ってくださったのが印象的でした。
◆太田さんのこれまでについてもお伺いしたいです。太田さんが芸能界に入ったきっかけを教えていただけますか?
小さいころから女優に憧れがありつつも普通に地元で学生をしてたんですが、1度あるオーディションを受けたらファイナリストまで残ることができて。そこで演技のレッスンを受けて、やっぱり演技って楽しいなと思ったんです。その気持ちが忘れられないまま就職活動の時期になった時、父に相談したらチーム8のオーディションがあることを教えてくれました。「AKB48は卒業して女優として活動してる先輩もいるし、こういう道もありなんじゃない?」って。
◆すてきなお父さんですね。
本当にありがたいです。保育の学校に通っていたので、あの時父が背中を押してくれていなかったら、今ごろ幼稚園の先生になっていたと思います。
◆その後、夢に向かってチーム8を卒業し、女優として独立されたんですね。上京して1年半ほどと伺いましたが、東京での生活には慣れましたか?
だいぶ慣れました!でも、方言には苦労しています。チーム8の時は“京都代表”として活動していたので、方言はなるべく消さずにそのままでいてほしいって言われていたんです。なので標準語に染まりそうになっても耐えて(笑)。でも今は逆にお芝居で標準語を話す機会が増えたので…。イントネーションが分からないところはマネージャーさんに聞いたり、今回の『漂着者』では杏花ちゃんが神奈川県出身なので、「間違ってたら教えてね」って約束しています(笑)。
◆昨年は京都府文化観光大使にも任命されました。京都の魅力は?
街並みがきれいで落ち着くところですね。普通の街の中にいきなりお寺が建っているような光景って、他の都道府県ではあまりない、京都ならでは魅力なのかなと思います。私が特に好きなのは清水寺です。紅葉が有名だと思うんですが、実は四季によっていろんな顔があるんですよ。道中にもご飯屋さんがたくさんあって食べ歩きも楽しめますし。実家に帰った時は、頻繁に行ってました。
◆逆に、東京で好きなスポットはありますか?
カフェが好きなので、インスタでかわいいカフェを検索してチェックしています。お休みの日は「#表参道ランチ」みたいな感じで検索して、雰囲気がかわいいなーとか、ドーナツがおいしそうとかいろいろ調べてます。
◆今後、なりたい女優像はありますか?
ドラマや映画にも呼ばれるようになりたいですが、舞台をやり続けたい気持ちもあって。活動の場を限定せず、いろんなところで必要とされる女優になれたらうれしいです。好きな女優さんは、篠原涼子さん、芳根京子さん。いろんな役を演じていらっしゃって、そのたびにいろんな色に染まれるところに憧れています。お二人の出演作を見て心を動かされることが多いので、私もお二人のように、見ている人の心を動かせるお芝居がしたいです。
◆演技力を磨くために、現在頑張っていることは?
最近はドラマや映画をたくさん見て、目線の動かし方とかを意識して研究しています。ドラマだと特にそういう細かい部分が大事になってくるので、舞台での演技とはまた違う繊細さが必要なんだなと思っています。
◆ありがとうございました。最後にあらためてドラマ『漂着者』の見どころを教えてください。
ヘミングウェイが何者なのかとか、どんな事件が起きて誰が巻き込まれて行くのかとか、1話1話考察をしてワクワクしながら見ていただける作品になっていると思います。私もまだどうなるのか分からないことだらけですが(笑)、楽しんで見ていただけたらうれしいです。
PROFILE
太田奈緒
●おおた・なお…1994年12月5日生まれ。京都府出身。2014年「AKB48 Team8 全国一斉オーディション」に京都府代表として合格。2019年12月にAKB48を卒業し、現在は女優として活動中。主な出演作に舞台「真・三國無双〜赤壁の戦いIF〜」「ハンズアップ」「知り難きこと陰の如く、動くこと雷霆の如し。」)など。ドラマのレギュラー出演は今作が初めてとなる。
番組情報
金曜ナイトドラマ『漂着者』
2021年7月23日(金)スタート
テレビ朝日系 毎週(金)後11・15~(※一部地域をのぞく)
●photo/関根和弘 text/井上明日香