長編デビュー作で「マンガ大賞2015」2位にランクインした田島列島の同名漫画を、映画「横道世之介」の沖田修一監督が映画化した「子供はわかってあげない」。上白石萌歌さん演じる主人公・朔田美波と意気投合する同級生・もじくんを演じる細田佳央太さんに、苦労した役作りや夏休みの思い出について伺いました。
◆今回演じられたもじくん役は、オーディションで選ばれたそうですね。
はい。オーディションを受けるに当たって、沖田修一監督の映画「南極料理人」を見たのですが、心が温かくなるような世界観にとてもひかれました。そういうこともあり、もじくん役をぜひやりたいと思いました。オーディションでは、もじくんが朔田さんと出会う屋上のシーンを演じたのですが、沖田監督がものすごく汗をかかれていたことを覚えています(笑)。
◆そんなもじくんの役作りに関しては?
原作を読んだ時、何でも受け止めることができるもじくんの性格に憧れるぐらい、自分との共通点がなかったんです。そのため、どうしたらもじくんの雰囲気を出せるのか、という不安がありました。でも撮影前のリハーサルの時に、沖田監督から「台本の中にもじくんらしさを散りばめているから、あとは細田くんが演じてくれれば大丈夫」と言っていただいたんです。それで安心して撮影に臨むことができました。
◆役作りの1つとして、書道を習われたそうですね。
僕、中学生の時に一年間だけ書道を習っていたんです。今回、あまり字は書かない設定ではありますが(笑)、書道部の役ということであらためて習いました。書道をやられている助監督の方からマンツーマンで教わって、久しぶりに書道の楽しさや素晴らしさというか、気持ちが落ち着く感覚を思い出したような気がします。その姿を見ていた沖田監督から「その感じ、もじくんぽいね」と言われて、とてもうれしかったことを覚えています。
◆また、映画「町田くんの世界」で演じた町田くんとの共通する部分も見られるもじくんですが、沖田監督からは「町田くんが抜けていない」と指摘されたこともあったとか?
「町田くんの世界」の撮影からは随分たっていたので、自分では抜け切れていると思っていたんですが、リハーサルの時に沖田監督から直接言われて驚きました。ショックで、モヤモヤしながら家に帰ったことを覚えています。そして僕なりに分析したんですが、その時は自分ができる演技の幅が狭かったことから、町田くんのハイテンションなせりふ回しを無理矢理、もじくんに当てはめようとしていたんじゃないのかと思います。
◆朔田美波役の上白石萌歌さんとの共演はいかがでしたか?
萌歌ちゃんは本当に美波のようというか美波まんまでした。そういうこともあり、彼女に引っ張ってもらった部分が大きかったし、役に対する向き合い方や責任感みたいなものを学ばせてもらいました。アニメ好きな共通点がある2人の会話も、待ち時間のたわいもない会話の延長みたいな感じで演じることができました。僕も好きなものにハマってしまうタイプなので、妙にテンションが上がる感じが分かりました(笑)。
◆ちなみに、細田さんがハマってしまう好きなものとは?
オタクとまで言えるかは分からないですが、「ポケットモンスター」と「バスケットボール」はずっと好きです。ポケモンはゲーム、カード、アニメなど全般的に好きで、バスケは小・中学校とずっとやっていたんです。高校からは見る側になったのですが、特にNBAは、かなり詳しいと思います。ただNBAについて一緒に熱く語れる友達がいないのは、ちょっと寂しいです。
◆また、探偵業を営むお兄さん役の千葉雄大さんとの共演は?
千葉さんは萌歌ちゃんと3人で、家族の話や進路の話などをお話しすることが多かったんですが、どこか安心するんです。そういうこともあり、お兄ちゃんでもあり、お姉ちゃんでもあるという変わった設定なのに、家族としてのつながりを感じながら演じることができました。
◆タイトルにちなんで、大人と子供の境界線は何だと思いますか?
正しいわがままを言えるか、それとも普通のわがままになるか、だと思います。大人になると、自分が思っていることが素直に言えないとか、耐えなきゃいけないことが多くなると思うんです。どこか衝突を避けがちですから。でも僕は全部を耐える必要はないと思っていて、何かしらの理由があれば、わがままを言ってもいいんじゃないかと。僕は周りから「大人だね」と言われることが多いんですが、感情が顔に出やすいし、まだまだ子供ですね(笑)。
◆夏休みの思い出を教えてください。
小学校の時は、夏休みの宿題をかなり早め、だいたい10日以内で終わらせていました。「嫌いなことや面倒なことは早めにやっておいた方がいい」という親の教えもあったので。それで残りはずっと遊びまくっていたのですが、年齢を重ねるにつれ、宿題がどんどん後回しになって、自分のやりたいことを優先するようになっていました。原因はよく分からないし、その変化は今考えると、ちょっとおかしいですね(笑)。
PROFILE
細田佳央太
●ほそだ・かなた…2001年12月12日生まれ。東京都出身。A型。小学2年生で現事務所に所属。主な出演作に、ドラマ『FINAL CUT』『さくらの親子丼』『ドラゴン桜』『ラブファントム』、映画「町田くんの世界」「十二単衣を着た悪魔」「花束みたいな恋をした」「青葉家のテーブル」などに出演。
作品紹介
映画「子供はわかってあげない」
2021年8月13日(金)よりテアトル新宿先行公開、8月20日(金)より全国公開
(STAFF&CAST)
監督:沖田修一
原作:田島列島
脚本:ふじきみつ彦 沖田修一
出演:上白石萌歌、細田佳央太、千葉雄大、古舘寛治/斉藤由貴/豊川悦司
(STORY)
高校2年、水泳部女子の美波(上白石)はある日、書道部男子のもじくん(細田)との運命の出会いをきっかけに、幼いころに別れた父親(豊川)の居所を捜し当てる。何やら怪しげな父に戸惑いながらも、海辺の町で夏休みを一緒に過ごすことになる。
©2020「子供はわかってあげない」製作委員会 ?田島列島/講談社
●photo/関根和弘 text/くれい響 hair&make/菅野綾香(ENISHI)styling/岡本健太郎
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2021年8月27日(金)23:59