◆原作や台本、そして撮影を通して、役に対する変化などはありましたか?
役の印象自体は最初からそれほど大きく変わることはなかったです。ただ、物語が進むにつれて、彰太を取り巻く環境が刻々と変化していくので、そこは気をつけて丁寧に表現していきたいなと思っていました。また、娘が行方不明になり、彼女の身を案じ、“もしかすると命も奪われるかもしれない…”と思う展開はあまりにもつらく、どれだけ想像してもしつくせないものでした。彰太は過去のことに追い詰められながらも、父親としての感情もしっかりと持っている。その2つを絶えず表現していく必要があったので、そこは演じる上でもすごく大変だったのを覚えていますね。
◆彰太はそうした娘への強い愛情はもちろん、過去のことを悔いてしっかりと自分の過ちに向き合いながら、真実を解明しようと奔走します。その姿には誠実さも感じました。
彼が誠実かどうかは…過去の行いを見ると、簡単に「そうですね」とは言えないですね(苦笑)。でも、昔の過ちから逃げようとしない強さは感じました。また、余談ですが、彼が犯した罪は果たしてどのくらいの重さのものなのかということを監督に聞いたことがあったんです。そうしたら、想像していたよりも意外と重たいものだそうで。とは言うものの、よくよく考えたら、彼はうその情報を流しただけで、誰かに犯行を指示したり、直接手を下したわけではないんですよね。ですので、“それでも、(罪は)重くなるのか…”と、ちょっと驚きがありました。
◆むしろ、周りの人間たちのほうがよほど悪どい印象がありましたが…。
そうなんです。みんなすごく自分勝手ですしね(笑)。それに誰もがずっとうそをついていて、隠し通そうとしているから本音や真実が全く見えない。その意味では、たくさんのうそにまみれたドラマですし、ラストまでを見終わった後にもう一度最初から見ると、“ここのリアクションの時はうそをついていたということになるのか…”と、違った楽しみ方ができると思います。中には本当にひどい裏切り方をする人もいますから(苦笑)。全てを知った上で、それぞれの場面場面での反応を見返してほしいなと思います。