◆すてきな思い出ですね。また、ひと足先に今作の舞台映像を拝見しましたが、奈緒さんの演技にものすごく自然さを感じました。そうした表現を出す上で気をつけていることなどはあるのでしょうか?
私は普段から、うれしい時でも悲しい時でも、すぐ顔に出ちゃうんです。お芝居でもそれは同じで、自然とその時々の感情が動きとして出てしまうので、あえて演じようと考えないほうがいいのかなと思っているんですね。ですから、今回の舞台でも稽古の最初のころは表情を作ることを意識せず、それでも足りない時は倉持さんにアドバイスを頂くということをしていました。
◆自分が感じたことをそのまま素直に出しているんですね。
はい。それに、舞台や映像作品で描かれる物語って思いがけない展開が多いので、意識せずとも感情が出やすいというのもあると思います。お母さんの中身が、ある日突然入れ替わっていることなんて、絶対にありえない状況ですし(笑)。逆に言えば、頭で考えてるだけでは分からないことが多いんですね。そうした時、演技をとおしてそれらを体現してみると、“意外と頭が真っ白になるんだ”とか、 “ここは悲しみよりも、怒りの感情が先に湧いてくるんだな”というのを身をもって感じられるんです。しかも、面白いことに台本を1人で読んでいた時とは全く違う感情が生まれたりもする。それを経験するたびにいつも、お芝居って不思議だなぁ、面白いなぁって思いますね。
PROFILE
奈緒
●なお…1995年2月10日生まれ。福岡県出身。2018年、連続テレビ小説『半分、青い。』で一躍脚光を浴びる。その後もドラマ『あなたの番です』、『姉ちゃんの恋人』など話題作に出演。現在、WOWOWの『演じ屋』に出演中。また、映画『先生、私の隣に座っていただけませんか?』(2021年9月10日(金)公開)、『君は永遠にそいつらより若い』(2021年9月17日(金)公開)、『マイ・ダディ』(2021年9月23日(木・祝)公開)が控えている。
作品紹介
M&Oplaysプロデュース「DOORS」
CS衛星劇場 2021年8月8日(日)後 4・15~6・30 テレビ初放送!
(STAFF&CAST)
作・演出:倉持裕
出演:奈緒、伊藤万理華、菅原永二、野浩喜、田村たがめ、早霧せいな
(STORY)
元女優の母・美津子と二人暮らしをする高校生の真知は、いつもネガティブで近隣の住民とのトラブルも絶えない母を疎ましく思っていた。また、真知自身も学校では孤立し、クラスメイトの理々子に絡まられる日々を送っていた。しかし、ある夜を境に状況が一変する。母が別人のように明るく社交的な人間になっていたのだ。やがて、その原因が一枚の「ドア」にあると知った真知は、理々子と共に「ドア」をくぐり、 “そうであったはずの世界”と“こうなってしまった世界”を巡る旅に出る。
●photo/宮田浩史 text/倉田モトキ hair&make/竹下あゆみ styling/岡本純子(アフェリア)衣装協力/ハウス オブ ロータス