加藤諒インタビュー「『パタリロ!』にはギャグの中に争いごとや恋愛要素もあり、僕らが生きる現実世界と通ずるところが魅力」

特集・インタビュー
2021年08月16日

◆この「パタリロ!」シリーズの演出を手掛ける小林顕作さんとは1作目からタッグを組んでいらっしゃいます。これまでの演出で強く印象に残っていることはありますか?

一度、パタリロの役作りですごく悩んでいる時期があったんです。その時に顕作さんが放ったのが、「パタリロって腹黒いでしょ。諒君も腹黒いじゃん。だから普通にやればいいんだよ」という言葉で(笑)。その時は正直、ドキッとしました(笑)。でも、その言葉があったからいろんなことに吹っ切れて、どんどん挑戦していこうという気持ちになれたのを覚えています。また、顕作さんは劇中の歌も全て作詞・作曲されているのですが、レコーディングがものすごく早いんです。基本的にほぼファーストテイクのみ(笑)。今回の舞台でラストに歌う曲もサビのキーが高くて、声が裏返りそうになったんですが、「それでOKです!」と言われて。“顕作さん、恐るべし!”と思いましたね(笑)。

◆なお、8月の衛星劇場では3本の舞台作品と劇場版を一挙放送致します。それぞれのお気に入りのシーンを挙げていただくと…?

舞台1作目で印象に残っているのはマライヒ(佐奈宏紀)とバンコラン(青木玄徳)の長いキス! 公演を重ねるごとにどんどん時間が長くなっていったんです(笑)。「パタリロ!」は原作の連載が始まったのが1970年代で、BL漫画の先駆けとも言われているのですが、1作目の時の佐奈ちゃんと玄ちゃんは“本当に付き合ってるんじゃないの!?”と思うぐらい普段から仲が良くて。その関係性が舞台上でも表れていると思います。2018年の「★スターダスト計画★」は個人的に原作でも大好きなエピソードで、舞台版ではさらに「FLY ME TO THE MOON」というもう1つの人気のエピソードも盛り込まれているんです。ネタバレになるので詳しくは言えませんが、どちらもすごく感動的なお話ですし、パタリロが心の底から泣くシーンがあり、その場面を演じられたことがうれしかったですね。ちなみに、この涙のシーンがあったから、僕は今後、「パタリロ!」の舞台では演技以外で絶対に泣かないでおこうと心に決めたんです。でも何度も言いますが、「霧のロンドンエアポート」だけはちょっと堪え切れなかったです…。

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