加藤諒インタビュー「『パタリロ!』にはギャグの中に争いごとや恋愛要素もあり、僕らが生きる現実世界と通ずるところが魅力」

特集・インタビュー
2021年08月16日

◆では、劇場版と最新作「霧のロンドンエアポート」はいかがでしょう?

劇場版は舞台の1作目をさらにスケールアップしたものです。数少ない外ロケの中で、マライヒがバンコランを見つめるシーンがあったのですが、夕陽が後光のように射していて、それが本当に素晴らしくて。監督の顕作さんも、そのシーンを撮った瞬間、「勝った!」と思ったそうなので、ぜひ見ていただきたいです!「霧のロンドンエアポート」はバンコランの心の葛藤が繊細に表現されています。舞台「パタリロ!」シリーズはどれも笑いと感動のバランスがすごくよく取れた作品で、そこが見どころでもあるのですが、最新作は感動の要素がこれまで以上に強くなっていますね。…まぁ、そんなすてきな雰囲気をパタリロたちがぶち壊すんですけど(笑)。

◆(笑)。お話を聞いていると、加藤さんもバンコランとマライヒの恋模様にキュンキュンしているんですね。

はい! バンコランとマライヒの純粋なラブストーリーは「パタリロ!」において重要な部分の1つですし、それを役者さんたちもすごくピュアに演じていらっしゃるので、いつも“すてきだなぁ〜”と思いながら、本番でも舞台袖からのぞいて見ています(笑)。

◆劇場版を含めると、加藤さんはこれまでに4作品でパタリロを演じていらっしゃいます。あらためて、「パタリロ!」を実写化する面白さはどんなところだと感じていますか?

そもそも、「パタリロ!」は実写化不可能と言われていたんですよね。いろんな方から「無理でしょ!」ってすごく言われましたし(笑)、僕自身も原作を読んで、「えっ、これをどうやって舞台でやるの?」と、ワクワクとドキドキでいっぱいでしたから。でも、稽古や本番を重ねていくうちに、いい意味でのチープさやアナログ感が魅力なのかなと感じるようになりました。例えば、パタリロの足が高速で動く“ゴキブリ走法”は漫画だからこその表現ですし、人間には無理だと思っていたんです。家でちょっと練習もしたんですが、“これじゃあ見えないな”って諦めましたから(笑)。でも、顕作さんからゴキブリ走法のイラストを手に持って動かすという方法を提案していただき、“なるほど!”と思ったんです。

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