◆とても美しい銀幕女優として作品の中に存在していらっしゃったと思います。特別な雰囲気をまとうためにどんな準備をされましたか?
いろんな衣装やカツラも何パターンか準備していただきました。「東京物語」のオマージュになっているシーンがあり、そこは原節子さんが身につけているものとそっくりの衣装やカツラを身につけて、メイクもしていただきました。今回は現場に結髪(髪を結う職人)さんもいらっしゃって、皆さんが作り上げてくださったものにとても助けられましたね。女優である園子の扮装をして、その時代のセットの入ると本読みではつかめなかったものがちょっとつかめた気がしました。
◆山田監督から当時のお話を聞かれたりもしたのですか?
撮影の合間に監督が「撮影が終わった後は、食堂でみんなとご飯を食べた」、「原節子さんはカジュアルで大きな口を開けてカラッと笑う方で、役とのギャップがとてもすてきだった」といった撮影所時代の女優さんのお話をたくさんしてくださったんです。劇中には園子が主婦を演じたり、プライベートで菅田(将暉)さん演じるゴウちゃんたちと出かけるような、“素”の園子のシーンもあるので、監督のお話から、女優として表に出ている時と、仲間たちと接している時、それぞれの園子の雰囲気を変えられたらいいなと思いついたり、そんなふうに監督が合間にしてくださった思い出話にイマジネーションをかき立てられました。他にも昔の女優さんの画像を検索したり、撮影所にあった原さんの写真集や、松竹映画の過去の名シーンがいろいろ載った本も見ました。その上で「こんなメイクはどうだろう」とスタッフの皆さんと話し合いながら園子を作り上げていきました。